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「DEATH STRANDING」とはどんなゲームなのか? 公開されたトレイラーを何度もチェックしつつ,じっくり考え込んでみた
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印刷2017/12/09 18:33

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「DEATH STRANDING」とはどんなゲームなのか? 公開されたトレイラーを何度もチェックしつつ,じっくり考え込んでみた

 2017年12月7日,カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されたイベント「The Game Awards 2017」で,コジマプロダクションが開発中の新作タイトル「DEATH STRANDING」の最新映像が公開された。

「コジマプロダクション」公式サイト


 「The Game Awards」(以下,TGA)を主催するジャーナリスト,ジェフ・キーリー(Geoff Keighley)氏の友人で,4年前に始まったこのイベントに毎回出演しているのが小島秀夫氏だ。今年も,映画監督のギレルモ・デル・トロ氏や,「ザ・ウォーキング・デッド」の主演の1人で,「DEATH STRANDING」で主役を務める俳優ノーマン・リーダスさんらと一緒にステージに立ち,幅広い交友関係を見せた。しかし,このイベントにおけるコジマプロダクションの本来の目的は,8分にもおよぶこのティザートレイラー第3弾を公開することだったはずだ。

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 なにやら前衛映画の趣さえある内容で,正直な話,ゲームのプロモーションムービーにしては非常に分かりにくいが,イベント後のパーティーで小島氏は,「実際にゲームをプレイすれば,お見せした映像の意味が理解できるでしょう」と話しており,故意に内容がぼかされているのは間違いない。
 プロデューサーの今泉健一郎氏も,「一コマ一コマに意味がある」と述べていたので,本稿で,公開されたトレイラーを何度も見直しつつ,筆者の妄想も交えてゲームの内容を推察することにした。もちろん,完成版とまったく異なっている可能性も高いが,ぜひお付き合い願いたい。

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 公開されたトレイラーは,「サム」という名前であることが分かった主人公の語りでスタートする。その部分を訳してみよう。

 過去に一度,爆発が起きた。その爆発は,時空を生み出した。過去に一度,爆発が起きた。その爆発は,その時空に天体を生み出すことになった。そして過去にまた,もう1つの爆発が起きた。この爆発が起こるとともに,我々が「生命体」として知るものが誕生した。そして,次の爆発が再び起こった……

TGA終了後のパーティーに登場したコジマプロダクションのプロデューサー,今泉健一郎氏。ノリノリでマクドナルドの宣伝をしているような写真だが,なんとパーティーの協賛はマクドナルドで,ハンバーガーやポテトをたらふく食べられたのだ
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 ちなみに,エンディングでもほぼ同様のセリフが挿入されているが,最後が「And the explosion will be our last(そして,この次の爆発は,最後のものになるはずだ)」となっており,微妙に異なる。

 素直に捉えれば,最初の爆発は宇宙を作り出した「ビッグバン」だろう。次の爆発は,衝突を繰り返して生まれた天体の誕生。3つめは,地球における生命体の爆発的な進化を示唆している。そして,4つめの「爆発」は,宇宙もしくは人類の営みを終わらせる何かのことだ。
 どうやら,地球に何らかの異変が発生し,今回のトレイラーで初めて姿を見せた巨人達が誕生したことで人類の文明が危機に瀕しているらしい。そして,最後の爆発が人類文明の終わりを告げるものになるのだろう。

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 著名なタイトルデザイナーのカイル・クーパー(Kyle Cooper)氏が担当したタイトルが流れたあと,急速に死に絶えていく雑草を追い,やがて気絶状態から目を覚ましたサムの姿が捉えられる。彼の防護服(あるいは宇宙服)には「ポーター」(Porter)という文字が確認できるが,これが服のブランド名でなければ,彼のラストネームだろう。
 右胸には「0914-137」とあるが,これは何の数字だろうか。

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 目を覚ましたサムが最初に向かった人物(ここでは,仮にA氏としておこう)は,死体を運搬するボディバックのようなものに包まれ,顔は原形を留めず,泥のような黄土色に変わっている。生きているとはとても思えない状態だ。
 死者を含めて人間は4人いる。彼らが乗っていたらしきビークルは横倒しになり,それに挟まれる形の瀕死のB氏と,肩に探知機のようなものを付けたC氏だ。B氏とC氏の着ている服はサムと異なり,書かれた文字を見ると,「Bridges」という企業の職員であるらしい。さらに腕には「Corpse Disposal Team」(死体廃棄チーム)と記されている。死体の廃棄のために専門チームが必要な,何らかの事情があるのだろう。ワッペンには,「United Cities of America」ともあり,アメリカ合衆国はすでにないか,州ではなく市の集合体になってしまったようだ。

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 やがて,C氏の探知機が反応し,「声を出すな。息も止めろ」というサムの言葉に続いてクリーチャーの足音が聞こえてくるが,肝心のその姿は見えず,足跡だけが増えていく。足跡がB氏やC氏と重なり合うようなポジションを通過していることを考えると,単に姿を消しているだけではない。重力に影響されないというより,別の次元にいるものが移動しているという雰囲気がある。

 おそらくこのクリーチャーは人の声や吐息など生物的な音に反応するが,C氏が発砲に躊躇がなく,また探知機も騒がしく音を立てていることから,機械的な音には頓着しないらしい。サムの流した血の上を足跡が通過した瞬間に煙が立ちのぼるのも,生物的なものに対する影響だ。

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 クリーチャーの登場前,B氏が急激に老衰していく恐ろしい描写があるが,これは冒頭の雑草が枯れていく様子とダブる。クリーチャーが近づくことでそうなるにしては,サムやC氏には何も起きていない。
 映像を見ると,クリーチャーの足跡が黒ずんでいたり,A氏のボディバッグがコールタールのような黒い水たまりの中に沈んでいったり,B氏が黒い水たまりから浮かび上がってくる手に引きずり込まれたりしているので,この黒い液体が何かの意味を持っていることは間違いない。B氏の急激な老化もそれに触れたことが原因かもしれないし,彼らが防護服を着ているのも,それから守るためなのだろう。

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 死んだA氏が黒い水の中に消え,クリーチャーにさらわれかけたB氏をC氏が撃ったあと,謎の人物が空中から車両の上に降り立つ。C氏と同じ探知機を肩に付けており,サム達も恐れていない様子なので味方である可能性もあるが,彼がC氏を指さすと,C氏の持っていた容器の曇りが取れて,中に胎児がいることが分かる。

 この胎児は,昨年(2016年)のTGAで公開されたティザートレイラー第2弾にも登場しているが,間違いなく本作のキーキャラクターであり,それは,C氏が黒い液体につかまったとき,胎児が入った装置をサムのほうに投げている事からも分かる。自分の命より大切な存在というわけだ。

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 ちなみに,C氏を餌食にしようと,黒い液体の中から現れるクリーチャーの中には小島氏のようにメガネをかけたものが混じっているが,たぶん,小島氏をイメージしたイースターエッグだろう。
 小島氏を思わせるクリーチャーに完全につかまってしまう前に自殺を試みるC氏だったが,ピストルを奪われる。仕方なく,自分の胸に何度もナイフを突き刺すものの,死んだ様子はなく,クリーチャー達は人間の生死さえ操作し,生命をエネルギー源にする存在であるようだ。
 C氏の断末魔の声とともに,ブラックホールのように彼を飲み込んだ超巨大クリーチャーの頭部が「爆発」する。サムはこの状況を見ても驚く様子はなく,すでに慣れっこといった感じ。

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 ここからの流れは非常に難解で,サムが気絶した状態で海の中を漂っている場面の中では,胎児がサムの体内に宿っているようなイメージが登場する。やがてサムは目覚め,黒い液体を吐き出すと,自分が先ほどのクリーチャーの爆発でできたばかりと思われるクレーターの縁に立っていることに気づく。周囲には何体もの巨大クリーチャーが浮遊しており,さらにへその尾のようなものが地面と天をつないでいる。このとき,胎児がいたはずの容器は空っぽのようだ……。

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 この胎児について筆者の仮説を述べさせていただくと,胎児は異次元からやってきたクリーチャーと対抗する組織が作り出した,意識だけを記録するクローンのような存在ではないかと思う。人間が黒い液体に触れると,クリーチャーに連れ去られるか,急速に老化してしまう。本作は,何度もキルされながらも,胎児をとおして知識を蓄え,敵と戦っていくというシステムなのではないだろうか。

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 2017年5月に開催されたイベント「Tribecca Game Festival」の基調講演に登壇した小島氏は,「(E3 2016で公開された映像でサムが裸なのは)主人公の髪型や服装,装備が変化していく様子を楽しんでもらいたかったから」という発言をしている(関連記事)のも,筆者がそう考える理由だ。

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 「DEATH STRANDING」は「死の座礁」というような意味で,本作の根本的なテーマが「生と死」であることは間違いない。それが,どのような形でゲームに落とし込まれるのか,さらに注目していきたい。「爆発」や「黒い液体」「胎児」がどういう意味なのか,今のところ明確な解答は与えられていないが,公開されたトレイラーをじっくりと見ることで,ゲーム世界の輪郭は見えてきたような気がする。

 果たして,ゲームがリリースされたときに,筆者がこの記事を苦笑しながら読むことになるのか,やはりそうだったのか,と思えるのかは分からないが,新情報が公開されるたびに多くのゲーマーの期待感を高める本作のリリースが,ますます楽しみになってきた。

北米時間の12月9日に開催された「PlayStation Experience 2017」にも小島氏が登場した。あまり「DEATH STRANDING」の説明はしなかったが,ティザームービー第3弾について,これがPlayStation 4 Proの実機を動かして撮影した4K映像であることや,サムが海中に漂い,カメラがサムの体内に入っていくシーンはプレイアブルであることを説明。ソニー・インタラクティブエンタテインメントのCEOであるアンドリュー・ハウス(Andrew House)氏らとのトークでは,ハウス氏が小島氏によるゲームの説明を2〜3分聞いただけで,小島プロダクションの要求をすべて呑んだことや,PlayStation 4のリードアーキテクトであるマーク・サーニー(Mark Cerny)氏と一緒に欧米を旅して,ゲームエンジン(「DECIMA」エンジン)を探したことなどが語られた
画像集 No.020のサムネイル画像 / 「DEATH STRANDING」とはどんなゲームなのか? 公開されたトレイラーを何度もチェックしつつ,じっくり考え込んでみた

「コジマプロダクション」公式サイト

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