プレイレポート
[E3 2016]「バトルフィールド1」のデモ版プレイレポートを,開発者インタビューと合わせて掲載
世界初の試遊なのは間違いないので,これはもう,列に並ばないわけにはいかないだろう。ここで,そのインプレッションをお伝えしたい。ただし,画面の撮影は禁止されていたので,新たなスクリーンショットはお届けできない。その点は,ご了解願えれば,ということで。
現在,「バトルフィールド1」では4種類のマップが公開されているが,試遊の舞台はその1つ,北フランスの小さな村,ST. QUENTIN SCAR。プレイモードは64人対戦のコンクエストで,5つの拠点を長く制圧していたほうが勝利するというものだ。拠点はリスポーンポイントにもなるのだが,試遊では最大5人のプレイヤーによるスクワッドに自動編入されるため,スクワッドの仲間の元にリスポーンすることも可能のようだ。
プレイが始まるとまず,グラフィックスに驚くはず。「Star Wars バトルフロント」で採用されたフォトグラメトリー技術が本作でも使われているようで,荒れ果てた村の様子が,非常に美しくリアルに再現されているのだ。ちなみに試遊はPC版だったが,PCのスペックについては不明。それなりのものが要求されるとは思う。
とりあえず様子見ということで,兵科はアサルトを選択した。本作にはこのほか,メディックとサポート,そしてスカウトの4クラスが用意されており,名前は違うが,数的には「バトルフィールド3」「バトルフィールド4」と同じだ。「バトルフィールド2」の7種類が多すぎたんや,という気がするが,従来作と同様,武器の豊富なカスタマイズが可能で,同じクラスでも使い勝手は異なるというシステムだ。
メインの武器は基本的にマシンガンで,塹壕戦向きのショットガンに切り替えることなども可能だったが,スカウトだけはボルトアクションの狙撃ライフルを持つ。本当なら,第一次世界大戦らしいボルトアクションのライフルが楽しみだが,カスタマイズ画面ではそれらはほとんどグレイアウトしていた。このへんは次の機会に期待したい。
あちらこちらで撃ち合いが繰り広げられ,菱形の戦車や装甲車が意外なほどの高速で走り,空には複葉機が飛ぶ。うーん,第一次世界大戦はやはりいい。とかなんとか思っていたら,航空攻撃でやられてしまったりした。さまざまなオブジェクトが破壊可能で,そのたびに戦場の状況が変化するという「ダイナミックデストラクション」が本作の売りの1つとなる。そのため,いろいろなものを吹き飛ばせて気持ちがいい。
戦車は3人乗りで,1人が操縦と機関銃を,ほかの2人がそれぞれ左右の砲を担当する形になっていた。左右の砲の視界は狭く,なかなか有効打を与えられなかったが,対戦車ミサイルはもちろん,バズーカ砲もない時代なので,シリーズ従来作よりは少し長生きできそうな気もする。
やがて,こちらのチームが優勢になっていったが,そのとき,上空に現れたのが大型の飛行船だ。おお,これはすごい,と思って見上げていたところ,飛行船から攻撃を受けて,乗っていた戦車ごと破壊されてしまった。敵だったのか。ちなみに,体力は速度の遅い自動回復システムになっており,救急パック的なものを使うと,より早く回復するという仕組みだ。
やがて,飛行船から1人,また1人とパラシュート降下してくるではないか。空挺降下が始まったのもまた第一次世界大戦でのことだが,作戦はごく小規模で,戦略的にはあまり意義がなかったという。もっとも,こちらが銃を構えたあたりに落ちてくるので,あっというまに銃火の餌食となり,やがて,筆者が何をしたわけでもないものの,我がチームが勝利を収めて終了した。
プレイ後,開発を担当するDICEのスタッフに短時間ながら話を聞く機会を得た。飛行船の謎を含めて,いろいろと尋ねてみたので,参考にしてほしい。話を聞いたのは,本作のシニアプロデューサーを務める,Aleksander Grφndal氏だ。
「バトルフィールド1」のシニアプロデューサーにインタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。従来作と「バトルフィールド1」との違いは,どういうところにあると考えていますか。
大きな違いはいくつもありますが,もちろん,プレイヤーを世界最初の大戦に連れていくということですね。第一次世界大戦は,またの名を“グレートウォー”といいますが,与えた影響に比べて,これまでゲームのモチーフとしてはあまり取り上げられていません。本作には,フランスの森林地帯やイタリアのアルプス,そして砂漠など,まったく新しい土地がいくつも出てきます。私は,第一次世界大戦は,我々のFPSにとって最高のテーマだと思っています。なぜなら,軍艦や戦車,飛行機など,現在使われているすべての兵器が出てきますから。
4Gamer:
戦場,つまり“バトルフィールド”がより多彩になったということですか。
Grφndal氏:
ええ。今回のデモでは,ST. QUENTIN SCARの64人対戦を楽しんでもらいました。このマップは,片側は砲撃が繰り返された塹壕地帯で,もう片側は,田園の風景が広がるオープンフィールドになっています。塹壕の端という,ユニークな地形ですね。
また,我々はゲームにいくつかの新要素を用意しました。その1つが「ダイナミックウェザー」です。これは,ゲーム中に天候が変化するというもので,例えばスナイパーでプレイした場合,天気が良ければ遠くの敵も見つけやすく,狙撃もできますが,霧が出てくると見えなくなり,敵の接近を許してしまうでしょう。
この要素の狙いは,同じマップでも天候がランダムかつダイナミックに変化して,プレイのたびに異なる,ユニークなマッチにしたいというものでした。
4Gamer:
天候のほかに,昼夜の違いはありますか。
Grφndal氏:
フォーカスしたのは天候で,時間経過による昼夜の違いはありません。
我々はまた,「バトルフィールド1」に新しいタイプの搭乗兵器を導入しました。「ベヒモス」(旧約聖書に出てくる巨大な怪物)と呼んでいるのですが,その1つが飛行船で,飛行船はあなたのチームが負けているとき,自動的に出現してチームを助けてくれます。
飛行船は非常に強力な兵器であり,多数の砲を搭載しているうえに,爆弾も投下します。航空機で落とすのも容易ではないので,飛行船が出現すると,相手チームはこれを落とすことに集中することになります。
4Gamer:
デモをプレイしているときにも出てきて,やられてしまいました。ですがそのうち,パラシュートで敵兵が何人も降下してきたのです。何が起きたんでしょう。
Grφndal氏:
それはですね,飛行船が攻撃を受けて燃え上がったので,搭乗員が脱出してきたのです。やがて,飛行船は火だるまになって落下し,落ちた場所の周辺を広範囲に破壊するので,あなたはすぐに逃げなくてはなりません。
4Gamer:
第一次世界大戦には戦闘ヘリコプターもなく,誘導ミサイルもありません。もちろんドローンも。ゲームを開発するうえでの制約になりませんでしたか。
Grφndal氏:
我々は,現在のように,すべてのものが自動的に動く戦いを避けたいと考えたのです。ロックオンシステムとか,自動的に命中する機関銃などではなく,もっと直接的なもの,例えば銃を正しい方向に向けて撃って,目標に命中させるとか,そういうプレイがいいですね。誘導兵器を持たない複葉機同士の戦いなど,プレイヤーのスキルだけが重要です。最近は戦うというより,ユーザーインタフェースの操作になっていました。そうではない,もっと泥臭いものを楽しんでもらいたいと思ったのです。
4Gamer:
なるほど。ところで,ヨーロッパの人々に比べて日本人はあまり第一次世界大戦に詳しくないと思います。特徴的な部分は,どのへんになりますか。
Grφndal氏:
ゲームのために第一次世界大戦のリサーチを続けるうえで,最も興味深かったのが,この戦争によって,現在使われている武器・兵器が発明されたということです。ライフル,マシンガン,サブマシンガン,機関銃,大砲,戦車,軍艦など,多くがこの戦争で初めて使われました。そういった武器や兵器を多数登場させることができます。
また,この戦いが非常に広範な地域を背景にしているということも,ゲームにとって興味深い点でした。フランスやイタリアなどヨーロッパだけでなく,アフリカや,私の記憶が正しければ,南米での海戦もありましたね。もちろん,アジアの植民地でもです。マップとしての戦場を選ぶうえで,幅広い選択肢がありました。
4Gamer:
デモをプレイしたのですが,戦車は3人乗りでした。実際はおそらく10人ぐらい乗り組んでいたはずですが,そのあたりは史実にこだわらないわけですね。
Grφndal氏:
ゲームに登場する戦車には3種類あって,まずは1人乗りのもの,デモに出てきたイギリスのMk.Vは3人乗り,そしてドイツのA7Vは6人乗りです。質問については,ええ,そのとおりですね。我々はシミュレーションを作っているわけではなく,アクションゲームを作っています。プレイヤーの面白さが最優先であり,より楽しんでもらえるためにどうればいいかを常に考えています。ですので,いたずらに史実にこだわることはしません。ただし,見かけについてはすべて,とてもリアルなものになっていますよ。
4Gamer:
巨大兵器について,もう少し教えてもらえますか。
Grφndal氏:
ゲームには3種類のベヒモスが登場します,先ほどの飛行船と,装甲列車,そして軍艦ですね。役割としては飛行船と同じで,チームが負けているとき,支援のために出現します。
4Gamer:
装甲列車ですか。かなり広いマップが必要になりそうです。
Grφndal氏:
ゲームに収録されるマップは,白兵戦メインの小さいものから,軍用列車が走り回れる大きなものまで,バラエティ豊かに用意する予定です。軍用列車は長さが200mもあり,多数の砲を搭載しているので,これはとても楽しいですよ。
4Gamer:
負けそうになると出てくるわけなので,軍用列車に乗るためには負けたほうがいいわけですね。これはなかなか悩ましい。軍艦にも乗り込めるのですか。
Grφndal氏:
もちろん,軍艦にも乗れますよ。
4Gamer:
例えば,艦隊同士の戦いなどは可能でしょうか。ユトランド沖海戦をやってみたくてたまらないのですが。
Grφndal氏:
それはちょっと,どうでしょうか。今は詳しくお話しできないのですが,ゲームは複数の種類の軍艦が登場する予定になっています。ですので,海上の戦いがないとは言えません。
4Gamer:
最初のムービーの騎馬突撃を見たときから気になっていたのですが,馬を修理することは可能なんでしょうか。
Grφndal氏:
(笑)。えーと,馬は「バトルフィールド」に初めて登場する要素で,特定のマルチプレイマップで使用できます。こちらもいずれお話しできると思いますが,かなり雰囲気が違っており,楽しめるものになっています。兵士が馬を修理できるかどうかは,今のところ答えられません。
4Gamer:
では最後に,読者に何かコメントをお願いします。
Grφndal氏:
はい。「バトルフィールド1」をついに多くの人々にプレイしてもらえることになって,大変ハッピーです。前作「バトルフィールド4」は日本でもヒットしましたので,次の新しい作品を紹介できることを今,嬉しく思っています。すぐに皆さんのお手元に届けられると思いますよ。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
「バトルフィールド1」公式サイト
キーワード
(C)2016 Electronic Arts, Inc.
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