プレイレポート
「NBA 2K17」ハンズオンイベントをレポート。よりリアルでプレイヤースキルが反映される,新たなNBAに進化
なお,記事中の動画は,PS4のシェア機能を使って録画したもので,諸般の事情でサウンドは収録されていない。その点は,あらかじめご了承願いたい。また,スクリーンショットの撮影は禁じられており,このページに掲載したのはオフィシャルのスクリーンショットとなる。
「NBA 2K17」公式サイト
「本物の体験」をキーワードに,リアルなNBA体験を楽しめる
「NBA 2K」シリーズは,1999年にリリースされた「NBA 2K」に始まるバスケットボールゲームで,現在のところ唯一のNBA公認タイトルだ。実写と見まごうばかりのスーパースター達や,リアルな試合展開,そしてプロバスケットボール選手としての人生を体験できる「MyCAREER」モードなどが特徴で,最新作である「NBA 2K17」では,「Authenticity」(本物の体験)をキーワードに,これまで以上に,さまざまな点がパワーアップしているとベニッシュ氏は述べた。
まずは選手のアニメーションで,押し合ったりぶつかったりといった表現がさらにリアルになった。同時に「ユーザーのスキルを,よりゲームに反映させる」「実際の試合でできることは,すべてゲームで可能にする」というコンセプトのもと,これまでよりも自由度の高いプレイが楽しめるという。
リアル志向はサウンドにも及んでおり,開発チームは全米30か所のアリーナを巡り,ボールがバウンドしたりゴールに入るときの音を収録した。録音旅行の総行程は1万6000マイル(約2万5000km)にもなったそうで,ベニッシュ氏は「こんなクレイジーなことをやっているところは,ほかにないのではないか」と語った。
注目の「MyCAREER」モードは,前作「NBA 2K16」がコート外での出来事にフォーカスしていたのに対し,今回はバスケットボール選手としての生き様をしっかり描くものになった。プレイヤーの選択によって,自分の家族やほかの選手との関係が変化し,物語が分岐したりするという。また,絆を深めたパートナーを操作できるようになり,一緒に試合に出場すると特殊な効果が発動するというフィーチャーもある。
スタッフもスパイク・リー氏が監督・脚本を務めた前作から一新され,映画「クリード チャンプを継ぐ男」でアポロの息子・アドニス役を演じたマイケル・B・ジョーダン氏を主役に,同作でジョーダン氏とコンビを組んだアーロン・コヴィントン氏が脚本を担当するといった布陣になっている。
もちろん,自分の分身となるキャラクターは身長,体重のほか,ポジション,プレイスタイル,そしてタトゥーやシューズまで自由にカスタマイズできる。また,自宅の飾り付けを変えるなど,RPG的な楽しみ方も可能であるとのこと。
選手達のカードを集め,夢のチームを作る「MyTEAM」モードもパワーアップしており,NBAの歴史的な試合やパフォーマンスなどがカード化された「モーメントカード」は前作より大量増加。例えば,コービー・ブライアント選手が現役最後の試合で60点を叩き出したシーンなどが収録されるという。
また,新モードとして追加された「MyGM」では,選手ではなくゼネラルマネージャーとなってチームを管理していくことになる。「Start Today」では,現実のシーズンにおけるチームの順位や選手のケガといったデータをオンラインで反映し,例えば,12月25日にゲームを始めた場合,データは12月25日の最新のものになり,12月26日以降を仮想でプレイしていくという形になる。このように,「NBA 2K17」では,バスケットボールをプレイする以外の,いろいろな遊び方が盛り込まれているようだ。
最後にベニッシュ氏は「『NBA 2K』シリーズは,常に新しいことに挑戦していく大きなフランチャイズであり,ゲームの枠を越えたものになっています。これも世界中でサポートしてくれるユーザーの皆さんのおかげです」と語り,プレゼンテーションを締めくくった。
適切なアドバイスでのびのびと操作を学べる「2KU」
プレゼンテーションに続いて,「NBA 2K17」のハンズオンが行われた。選べたモードはチュートリアル「2KU」と,選択したチームで試合を行う「クイックマッチ」の2つだ。残念ながら「MyCAREER」や「MyGM」といったモードは体験できなかった。
「2KU」は,チュートリアルの新機軸だ。与えられた課題を1つ1つこなしていくようなものを連想しがちなチュートリアルだが,「2KU」では試合をしながら操作を学んでいくという形になっている。
プレイヤーの行動に沿って操作説明が出てくるほか,デューク大学の男子バスケットボールチームヘッドコーチで,「コーチK」のあだ名で親しまれるマイク・シャシェフスキー氏がアドバイスをくれたりするのだ。
敵陣に攻め込んでいるときはパスの受け方,ゴールが近くなればシュートのやり方,敵を抜くのに手間取っているようなら「クロスオーバー」(左右のドリブルを切り替えてディフェンダーを抜く)などのテクニックを教えてくれる。タイミング良く適切な指示を与えてくれるのだが,プレイヤーはこうした説明をプレイに活かしてもいいし,無視してもいい。実際の試合をしつつ,のびのびとゲームについて学べるという印象だった。
「コーチK」もプレイヤーの行動に応じて登場し,実践的なアドバイスを与えてくれる。
例えば,シュート体勢に入った相手に身体ごとぶつかったとしよう。これはファウルで,相手にフリースローの権利を与えてしまう。そんなミスをすると即座に「コーチK」が出現し,「なぜ,こうした行為がいけないのか」を動画つきで説明してくれるといった具合で,まさに鬼コーチという雰囲気だ。
「クイックマッチ」は,任意の組み合わせで試合をするモードだ。試合前にはレポーターが登場し,クォーターの合間にはチアガール達が踊り,ハーフタイムではこれまでの試合のハイライトが流れるなど,まるで現実の試合中継を見ているかのようだ。
操作は直感的で,「2KU」で学んだ知識があれば,基本的な試合はすぐできるようになるだろう。もちろん,シリーズの伝統であるさまざまなテクニックは健在で,プレイ中にいつでもヘルプをチェック可能だ。また,特定のセットプレイを練習するようなモードも存在しており,間口は広く,奥が深いという印象を受けた。
グラフィックスのリアルさはもちろん,ベニッシュ氏が見どころとして挙げていた「肉体がぶつかり合う身体性」や躍動感の表現が素晴らしかった。行く手を塞いだり,押し合ったりするときの感覚はとてもリアルだ。バスケットボールの中継を見ているようでもあり,同時に選手としてコートに立っているような不思議な気分を味わえた。
NBAを愛し,リアリティを追求するシニアプロデューサー
エリック・ベニッシュ氏ミニインタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは「NBA 2K17」の見どころを教えてください。
エリック・ベニッシュ氏(以下,ベニッシュ氏):
もう1つは「MyCAREER」モードですね。マイケル・B・ジョーダン氏をはじめとして,ハリウッドのキャストを起用しており,演技も優れたものになっています。
4Gamer:
開発で最も苦労されたのは,どこですか。
ベニッシュ氏:
短い開発期間の中で,いかに自分達のやりたいことを選び,ゲームに盛り込むかという部分です。通常,この規模のゲームなら開発に2〜3年かかるところ,「NBA 2K」シリーズでは6〜7か月ぐらいしか使えません。前作「NBA 2K16」のサポートをしつつ,新機軸を盛り込み,デバッグや実装を行っている,というわけです。
4Gamer:
なるほど。開発には何人ぐらいのスタッフが参加しているのですか。
ベニッシュ氏:
開発チームのコアスタッフは130人ほどで,これは契約社員などを含まない数字です。「NBA 2K」シリーズに14年携わっている私をはじめとして,ほかのメンバーも同程度のキャリアを持つベテランぞろいです。
短時間でゲームを作る,つまり効率化の秘訣といっていいかどうかは分からないんですが,シリーズを長年作り続けていて,スタッフ達はやるべきことをよく分かっています。そして,皆がバスケットボールや「NBA 2K」シリーズが好きで,情熱を持って仕事をしていることがプラスになっているんじゃないでしょうか。
4Gamer:
ゲームにはまるで実写のような選手達が出てきますが,彼らはどのようにして制作されているんでしょうか。
ベニッシュ氏:
いくつかのパターンがあります。選手が希望する場合,実際にスタジオまで来てもらってモーションキャプチャを行います。走ったり,ドリブルしたり,ジャンプしたりなどをしてもらいますので,正に本人そのままのモーションが,ゲーム内で再現されることになります。
一方,収録の時間がない選手の場合,俳優を使ってモーションキャプチャを行います。俳優に試合のビデオを見せて,その動きを再現してもらうわけですね。
4Gamer:
本人がモーションキャプチャを行った中で,プレイヤーに注目してほしい選手はいますか。
ベニッシュ氏:
カール=アンソニー・タウンズ選手と,ディアンジェロ・ラッセル選手ですね。2人ともとても協力的で,スタジオですごいシュートやダンクを決めてくれました。もちろん,こうしたパフォーマンスはすべてゲームに反映されていますよ。
4Gamer:
ゲームに出てくる選手達の能力は,どのようにして決められているんでしょうか。
ベニッシュ氏:
スカウトマンのような人々もいるんですが,基本的には自分達の目で見て決めています。
4Gamer:
スコアシートや試合記録を参照するような作業なのかと思っていました。
ベニッシュ氏:
開発チームは皆NBAが大好きで,しょっちゅう試合を見てます。そんなスタッフが何度も話し合いを繰り返して決めるという,たぶん,みなさんが想像されるよりも泥臭いプロセスを踏んでいるんです。普段からバスケット愛があるからこそ,できることでしょうね。
4Gamer:
例えば,モーションキャプチャに協力してくれた選手が「ゲームの中で僕を強くしてくれ!」とお願いしてきた場合はどうしますか。
ベニッシュ氏:
確かに,そうしたこともないではないです。ただ,私達が目指しているのは「Authenticity」,すなわち「本物の体験」ですから,選手による実際のプレイとゲームがかけ離れていては困ります。なので,もし「シュートをうまくしてよ」とお願いされたとしたら,「まずはコートの中でうまくなるのが先だね」と答えます。もちろん,説明すれば選手達は分かってくれます。
4Gamer:
今回のスタンダード・エディションでカバー選手となったポール・ジョージ選手は,子供の頃から「NBA 2K」シリーズを遊んでいたそうですが,こうした選手の存在についてどう思われますか。
ベニッシュ氏:
シリーズも18年めになりますから,ゲームを遊んでいた人が選手になる例も増えています。そうした選手達はモーションキャプチャやフェイススキャンの際にも非常に協力的なので,シリーズにとっては「いいことしかない」ですね。
4Gamer:
「MyTEAM」では,関係の深い選手を同じチームに入れると特殊効果が発動する「ダイナミック・デュオ」というシステムがあるそうですね。例えば,レジェンド級の選手と現役選手といった感じで,実際に顔を合わせたことのないような組み合わせでも発動するのでしょうか。
ベニッシュ氏:
いいえ。「ダイナミック・デュオ」のコンセプトは「実際のNBAで起こったエピソードを基本にする」というものなので,同時代に活躍したチームメイト同士が基本になります。例えば,マイケル・ジョーダン選手とラリー・バード選手は同時代に活躍したものの,同じチームでプレイはしていないので,「ダイナミック・デュオ」にはなりません。
4Gamer:
なるほど。あくまで史実に基づいた関係性をゲームで描くということなんですね。では最後に,読者へメッセージをお願いします。
ベニッシュ氏:
まずは皆さんのサポートに感謝したいです。バスケットボールのファンでなくとも,ゲームとして楽しめるものになっていますので,ゲーム好きの方には,まず「MyCAREER」モードを見てほしいですね。
4Gamer:
本日はどうも,ありがとうございました。
「NBA 2K17」公式サイト
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