連載
そうだ アニメ,見よう:第219回は異色のオカルティック青春物語「ダンダダン」。Creepy NutsのOPテーマ「オトノケ」も話題に
漫画家・龍 幸伸氏によるバトルファンタジー漫画「ダンダダン」(ジャンプ・コミックス/既刊16巻)は,ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」で連載中の作品だ。2021年4月に連載がスタートした本作は,オカルトをテーマにした一風変わった作風が話題を呼び,総閲覧数が3億6000万超えを記録。コミックスの累計発行部数も320万部を突破している。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第219回のタイトルは,同作をアニメ化した「ダンダダン」(毎週木曜24時26分〜MBS/TBS系ほか)。制作はサイエンスSARU,シリーズ構成は「呪術廻戦」や「進撃の巨人」の瀬古浩司氏が担当。監督は「映像研には手を出すな!」や「平家物語」を手掛けた山代風我氏が務めている。
「ダンダダン」
ある日,人生初の彼氏に振られたモモは,クラスメイトにいじめられていたオカルンを偶然見かけ,彼らから助けた。話しかけてきたモモを同好の士と勘違いするオカルンだったが,オカルトに対して正反対のスタンスを持つ2人は口論になり,「自分の信じるものの存在を証明できたほうが相手をパシリにする」という勝負をすることなる。
互いに否定する宇宙人と幽霊の存在を信じさせるため,モモはUFOスポットの病院廃墟へ,オカルンは心霊スポットのトンネルへ足を運ぶ。そこで2人は,セルポ星人(CV:中井和哉)と妖怪「ターボババア」(CV:田中真弓)に遭遇。オカルンはターボババアに呪われ,モモはセルポ星人にさらわれてしまう。
地球人の生殖機能を研究したいというセルポ星人に襲われるモモだったが,間一髪のところでオカルンが呪われたまま登場し,彼らに襲い掛かる。呪いの力で星人たちを圧倒するオカルン。しかし,セルポ星人も特殊な能力で応戦し,たちまちピンチに。その時,モモは幼いころから鍛えていた超能力に目覚め,彼らを一蹴した。
宇宙船から脱出したモモは,帰宅の途中,オカルンの本名が自分の推しであり理想でもある俳優「高倉 健」と同姓同名だということを知り,胸をときめかすのだった。
話題のバトルファンタジーに多彩な才能が結集
隅々まで描き込まれた精緻な世界観と,ジェットコースターのような展開がコミックファンの間で好評を博し,たちまち「SPY×FAMILY」や「怪獣8号」に並ぶ「少年ジャンプ+」の看板作品となったのが,本作「ダンダダン」だ。
主人公は,「幽霊は信じているが宇宙人否定派」のモモと「宇宙人は信じているが幽霊否定派」のオカルン。性格も男勝りなモモに対して,大人しく友達もいないオカルンと,まったくの正反対。そんな2人が出会い,モモは“超能力”,オカルンは“呪いの力”を使って,宇宙人や怪異に立ち向かっていく。
ファン待望のアニメ化を担当しているのは,映画「夜は短し歩けよ乙女」や「映像研には手を出すな!」などで知られるアニメスタジオ,サイエンスSARUだ。フラッシュアニメを導入し,独特の画面作りで知られる同スタジオは,今回も“これぞアニメ―ション”と言わんばかりに動きまくる映像で「ダンダダン」のカオスな世界観を表現している。
さらに,「Bling-Bang-Bang-Born」で世界的なアーティストの仲間入りを果たしたCreepy Nutsがオープニングテーマを担当。クセになりそうな曲調の楽曲「オトノケ」で早くも多くのアニメファンをトリコにしているようだ。
そのほかにも,伝説的なアニメーターである恩田尚之氏がキャラクターデザイン,亀田祥倫氏が宇宙人・妖怪デザインとして参加しているのも,見逃せないポイントだろう。
「総合芸術」とも言われるアニメは,さまざまな才能が結集することで,傑作が生みだされる。今シーズンでもトップクラスと呼び声の高いアニメ「ダンダダン」は,それにふさわしい作品となりそう。
成田 亨氏のデザインをオマージュしたOP映像
本作には,妖怪「ターボババア」や宇宙人である「セルポ星人」「フラットウッズモンスター」など,どこかで聞いたような怪異たちが登場する。オカルト雑誌「〇ー」に取り上げられるようなキャラクターたちが,お互いの力を駆使して激突するのが本作の醍醐味なのだ。
作者の龍氏は本作を生み出す際に,2016年公開のホラー映画「貞子vs伽椰子」から着想を得たのだとか。“化け物に化け物をぶつける”という,ホラーよりもエンタメ寄りな発想に惹かれたのだという。
怪異たちのデザインも,往年の特撮ドラマ「シルバー仮面」「宇宙猿人ゴリ」などから影響を受けているのだそう。特に宇宙人のデザインは,成田 亨氏のデザインにすごくインスパイアされていると,インタビューで語っている。
成田氏は,円谷プロで「ウルトラQ」や「ウルトラマン」で怪獣のデザインを手掛けた人物。変身を解いたセルポ星人のデザインなどに,その影響を見て取れる。
その成田氏へのオマージュが込められているのが,かつての特撮風のオープニングアニメーションだ。監督の山代氏は龍氏のリスペクトを表現するため,「怪奇大作戦」のような昭和初期の匂いがする映像に仕上げている。
モモとオカルンの恋の行方
怪異たちに振り回されるモモとオカルンの悲喜劇をメインにしている本作だが,素直になれない2人の,恋の行方も気になるところ。“ボーイ・ミーツ・ガールもの”でもあり,“バディもの”でもある本作では,お互いが対等であるということが視聴者に伝わるように,均衡な画面を意識しているようだ。
持っている要素が違うだけで,基本的に似た者同士の2人が,自分の気持ちに正直になるのはいつなのか。本作を見るうえでも重要なポイントになりそう。
強烈なモモの祖母・星子が参戦
第3話「ババアとババアが激突じゃんか」が放送され,ようやくモモの祖母・星子(CV:水樹奈々)が登場した。いろんな意味でぶっ飛んだ星子の参戦で,いよいよターボババアとの対決が本格するわけだが,果たして彼女の呪いに打ち勝てるのか。いよいよオカルトものの本領発揮といった展開だ。
今後も「アクロバティックさらさら」(CV:井上喜久子)や「ドーバーデーモン」(CV:関 智一)といった怪異たちの登場がアナウンスされている。オカルトやバトル,ラブコメといろいろな要素がカオスに交わった本作。今期でも1,2位を争う見逃せない作品となりそうだ。
TVアニメ「ダンダダン」公式サイト
TVアニメ「ダンダダン」公式X
放映データ |
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2024年10月〜 |
毎週木曜24時26分〜MBS/TBS系ほか |
キャスト | |
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モモ<綾瀬 桃>:若山詩音 | |
オカルン<高倉 健>:花江夏樹 | |
星子:水樹奈々 | |
アイラ<白鳥愛羅>:佐倉綾音 | |
ジジ<円城寺 仁>:石川界人 | |
ターボババア:田中真弓 | |
セルポ星人:中井和哉 | |
フラットウッズモンスター:大友龍三郎 | |
アクロバティックさらさら:井上喜久子 | |
ドーバーデーモン:関 智一 | |
太郎:杉田智和 | |
花:平野 文 |
スタッフ | |
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原作:龍 幸伸(集英社「少年ジャンプ+」連載) | |
監督:山代風我 | |
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司 | |
音楽:牛尾憲輔 | |
キャラクターデザイン:恩田尚之 | |
宇宙人・妖怪デザイン:亀田祥倫 | |
色彩設計:橋本 賢 近藤牧穂 | |
美術監督:東 潤一 | |
撮影監督:出水田和人 | |
編集:廣瀬清志 | |
音響監督:木村絵理子 | |
アニメーション制作:サイエンスSARU | |
主題歌 OP:「オトノケ」Creepy Nuts | |
ED:「TAIDADA」ずっと真夜中でいいのに。 | |
(C)龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会 |
■Blu-ray&DVD情報
ダンダダン1
2025年1月29日(水)
Blu-ray(完全生産限定版)
8,800円(税込)
品番:ANZX-16931〜16932
DVD(完全生産限定版)
7,700円(税込)
品番:ANZB-16931〜16932
収録内容
・収録話数:3話
・本編ディスク+特典CD
特典
・サイエンスSARU描き下ろしジャケット
・特製ブックレット
※仕様・特典は変更となる可能性がございます。
アニプレックスオンライン
https://online.aniplex.co.jp/itemYpLNZy01.html
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