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そうだ アニメ,見よう:第217回は機械生命体と戦い続けるアンドロイドたちを描く「NieR:Automata Ver1.1a」。原作愛あふれるアニメ化作品
2017年にスクウェア・エニックスからリリースされたPS4用ソフト「NieR:Automata(ニーア オートマタ)」。「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」の続編として制作された本作は,ディレクターのヨコオタロウ氏が作り上げた独特の世界観とアクション性の高さが好評を博し,さまざまなプラットフォームへ移植され,2023年の時点で販売本数が750万本を達成したヒット作品だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第217回のタイトルは,同作をアニメ化した「NieR:Automata Ver1.1a」(毎週金曜23時30分〜TOKYO MXほか)。制作はA-1 Pictures,「ブレンド・S」や「アイドルマスター シンデレラガールズ」を手掛けた益山亮司氏がシリーズ構成と監督を兼任。ヨコオ氏自身もシリーズ構成として参加している。
「NieR:Automata Ver1.1a」
西暦5012年。突如地球へと飛来してきたエイリアンと,彼らが生み出した機械生命体により,人類は絶滅の危機に陥った。月へと逃げのびたわずかな人類は,地球奪還のためアンドロイドの兵士を用いた反攻作戦を開始する。しかし,無限に増殖し続ける機械生命体を前に,戦いは膠着状態に陥る。
西暦11945年。人類は最終兵器として,新型のアンドロイド「ヨルハ(YoRHa)」部隊を地球へ派遣する。敵の激しい抵抗に遭いながら地球へたどり着いた「2B」(CV:石川由依)は,先行調査員の「9S」(CV:花江夏樹)と合流し,随行支援型ユニットの「ポッド042」(CV:安元洋貴)と「ポッド156」(CV:あきやまかおる)と共に任務を開始した。
2Bたちは任務の途中で,これまでの機械生命体とはまったく異なる,狂った機械生命体「ボーヴォワール」や,戦う意思を持たない平和主義の機械生命体「パスカル」(CV:悠木 碧),そしてアンドロイドに酷似した人型の機械生命体「アダム」(CV:浪川大輔)と「イヴ」(CV:鈴木達央)と出会う。
アダムは,人間への強い興味と「死」の概念を理解したいという思いを満たすため,9Sを人質にとって2Bに戦いを挑むのだが……。
ファン待望のアニメ化
リリースされてから7年後の今も高い人気を誇る「NieR:Automata」。その人気を受け,コミックや小説,舞台など,さまざまなメディアへと展開してきた本作がついにアニメ化された。
しかも,制作は「ソードアート・オンライン」や「Fate」シリーズでお馴染みのA-1 Picturesが担当し,第1期のオープニングテーマにAimerさんの「escalate」,エンディングテーマにamazarashiの「アンチノミー」という,盤石とも言える体制だ。
なお,amazarashiはコラボ楽曲「命にふさわしい」を制作したアーティストで,メンバーの秋田ひろむさんは「NieR」シリーズのファンとして知られている。
ストーリー展開はアニメオリジナル
原作となる「NieR:Automata」の物語は,マルチエンディングが採用されており,AからZまでのエンディングが用意されている。アニメ版のストーリーは,第1期(1〜12話)がA/Bルート,第2期(13話〜)がC/Dルートに準拠したものとなっているが,登場人物や構成,展開などがまるで変わっており,ほぼアニメオリジナルと言ってもいい内容となっている。
例えば,Chapter.6「[L]one wolf」では,2Bたちが地球に降り立つ4年前に実施された,敵サーバー基地への潜入ミッション「真珠湾降下作戦」の顛末が描かれている。これは「舞台ヨルハ」で演じられたもので,ゲーム中にはテキストしか登場していないエピソードだ。こちらはガンガンコミックスでコミック化もされている。
アニメ版では,この時に生き残った少女リリィ(CV:種﨑敦美)が,アネモネに代わるレジスタンスのリーダーとして,2Bたちの前に現れるのだ。
また,ゲーム版では機械生命体アダムを先に撃破してから,イヴとの戦闘になるのだが,アニメ版はアダムをかばってイブが先に倒される。この後の展開も異なり,ゲームをプレイした人はかなり驚いたのではないだろうか。
もちろんこうした変更点は,生みの親であるヨコオ氏自身が意図したもの。どうやらアニメ版は,原作ゲームや小説,舞台,さらに先日サービスを終了したスマホアプリ「NieR Re[in]carnation」など,“NieRワールド”作品群が丁寧に織り込まれているようだ。
「NieR」シリーズは,ヨコオ氏の手掛けた「ドラッグオンドラグーン」三部作とも世界観を一部共有している。同作の1300年後が「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」,そして数千年後が「NieR:Automata」の世界となる。
そうした作品群の断片がアニメの随所に登場し,ゲームプレイした人もそうでない人も,どちらも十分楽しめるよう配慮されているのが「NieR:Automata Ver1.1a」なのだ。
ちなみに,ヨコオ氏は自身のXで「第1話のあらすじをゲームとは全然違うモノを提出したら全ボツになりました。今読み直すと,全ボツで良かったと思います……!」とポストしている。どうやら,すべてを変えようとするヨコオ氏をスタッフが食い止めているという構図らしい。スタッフ頑張った。
原作へのリスペクト溢れるアニメ化
アニメ版スタッフのこだわりはかなりのもので,2Bのポージングやアクションシーン,9Sとの会話シーンなど,“原作愛”にあふれる映像をさまざまな場面で確認できた。ボーヴォワール戦などは,ゲームのボス戦を見事に再現しており,プレイ時の興奮を思い出してしまうほどだった。
また,ストーリーの真相に関わる2人の“赤い少女”や,CMの前後に表示される数字の羅列の謎(16進法で解析可能)など,とにかく原作へのリスペクトがすごい。正直,筆者では分からない隠し要素も多数ありそうだ。一度視聴した後でもう一度見返すと,気が付かなかったものを見つけられるかも。
サプライズが用意されているのか?
Chapter.23「meaningless [C]ode」が放送され,第2期もいよいよクライマックスを迎える。ゲーム版のストーリーは,A/Bエンディング,C/Dエンディング,そしてEエンディングですべての謎が明かされるわけだが,アニメ版ではどんな結末を迎えるのか。あのサプライズ好きのヨコオ氏が関わっているだけに,最後までしっかり見届けるべきだろう。
なお,第2期のオープニングテーマであるLiSAさんの「ブラックボックス」や,GEMS COMPANYが歌うエンディングテーマ「灰ト祈リ」のノンクレジットバージョンが,アニプレックスの公式YouTubeチャンネルで公開されているので,そちらも合わせてチェックしておこう。
「NieR:Automata Ver1.1a」公式サイト
「NieR:Automata Ver1.1a」公式Twitter
放映データ |
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2024年1月〜/7月〜 |
毎週金曜23:30〜TOKYO MXほか |
キャスト | |
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2B:石川由依 | |
9S:花江夏樹 | |
A2:諏訪彩花 | |
ポッド042:安元洋貴 | |
ポッド153:あきやまかおる | |
アダム:浪川大輔 | |
イヴ:鈴木達央 | |
パスカル:悠木 碧 | |
司令官:加納千秋 | |
オペレーター60:磯部恵子 | |
オペレーター210:初美メアリ | |
リリィ:種﨑敦美 | |
デボル/ポポル:白石涼子 |
スタッフ | |
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原作:「NieR:Automata」(スクウェア・エニックス) | |
監督:益山亮司 | |
シリーズ構成:ヨコオタロウ/益山亮司 | |
キャラクターデザイン・総作画監督:中井 準 | |
アクション監修・プロップデザイン:橘 駿 | |
CGアクション監修・Blender監修:稲田正輝 | |
Blender監修:川越崇弘 | |
2Dワークス:平賀みえ | |
軍事考証:金子賢一 | |
美術監修:加藤 浩(ととにゃん) | |
美術監督:坂上裕文(ととにゃん) | |
美術:ととにゃん | |
美術設定:高橋武之 | |
色彩設計:茂木孝浩 | |
CGディレクター:野間裕介 | |
サブCGディレクター:大川 威 | |
撮影監督:青嶋俊明 | |
編集:三嶋章紀(三嶋編集室) | |
音楽:MONACA | |
音響監督:長崎行男 | |
第1期オープニングテーマ:Aimer「escalate」 | |
第1期エンディングテーマ:amazarashi「アンチノミー」 | |
第2期オープニングテーマ:LiSA「ブラックボックス」 | |
第2期エンディングテーマ:GEMS COMPANY「灰ト祈リ」 | |
制作:A-1 Pictures | |
製作:人類会議 | |
(C)SQUARE ENIX/人類会議 |
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NieR:Automata
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