連載
そうだ アニメ,見よう:第206回は未来人A氏原作の「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」。歴史シミュレーション好き主人公の異世界統一記
小説投稿サイト「小説家になろう」で2019年に発表され,現在はKラノベブックスから書籍版が刊行中の「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 〜弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた〜」(既刊6巻)。未来人A氏による本作はコミカライズもされ,マガジンポケットで連載中だ。井上菜摘氏が作画を担当するコミック版は「次にくるマンガ大賞2021」のWebマンガ部門U-NEXT特別賞を受賞している。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第206回のタイトルは,同作をアニメ化した「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」(毎週日曜23:30〜CBC/TBS系ほか)。制作はstudio MOTHER,シリーズ構成は「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」や「山田くんとLv999の恋をする」の中西やすひろ氏が担当。監督は「ロックマンエグゼ」シリーズや「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」を手掛けたベテランの加戸誉夫氏が務めている。
「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」
3年後,読み書きを覚えたアルスは,自分の環境が決して恵まれたものではないことに気づく。アルスが生きるサマーフォース大陸を支配する帝国は王家が腐敗し,やがて群雄割拠の乱世になりそうな気配なのだ。
片田舎の領主であるローベント家は真っ先に戦乱に巻き込まれると判断したアルスは,彼が持つ唯一の才能である「鑑定スキル」を駆使して人材探しを始める。アルスは,知力・体力共にごく平均の能力しか持っていないが,他人の能力・ステータスを見抜くことができるのだった。
アルスはまず,町で奴隷として差別されている“マルカ人”の少年リーツ・ミューセス(CV:坂 泰斗)に声をかける。父親のレイヴン・ローベント(CV:東地宏樹)を説得し,類い稀な文武両道の才を持つリーツを家臣に引き入れると,続いて戦争の要となる“魔法に長けた人物“を探しに城郭都市カレナへと足を運んだ。
ところが,カレナの貧民街でアレスは,ボロをまとった少女シャーロット・レイス(CV:佳穂成美)にお金を盗まれてしまうのだった。
新枠「アガルアニメ」の第1弾作品
本作は,TBS系列の放送局であるCBC(中部日本放送)テレビの新アニメ枠「アガルアニメ」の1作目だ。TBSと言えばこの4月から新たなアニメ枠「スーパーアニメイズムTURBO」(木曜24:26〜24:56)を新設したばかり。ここのところ,TBSは日曜17:00の「日5」を復活させたりと,アニメへの注力が著しい。
その中心は,「シャングリラ・フロンティア」や「WIND BREAKER」など,講談社系列のアニメであり,本作もその一環となる模様。講談社アニメ=TBSというイメージを強める戦略のようだが,何はともあれアニメ枠が増えるのはアニメファンには朗報と言える。
アガルアニメのコンセプトは「名古屋から,日本が,世界がアガるアニメを届ける」。その第1弾として選ばれた「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」の主人公,アルス・ローベントは現代からの転生者だが,“なろう系”作品にありがちなチート能力を持っていない。
しかし,前世でプレイしていた「〇〇の野望」や「三〇志」といった歴史シミュレーションの知識と,唯一の能力「鑑定スキル」で能力の高い家臣を集められるのだ。アルスの鑑定は,現在のステータスだけでなく,成長後の数値も分かるのがポイント。これにより,将来の英雄や天才軍師を探し出すことができるというわけ。
ちなみにリーツは,将来的に文武に優れる“織田信長のような人物”に育つ逸材で,帝国最強クラスの父親レイヴンをしのぐ騎士になると目されている。
なんの力も持たない主人公が,文武に優れた人物を集めて強力な軍団を作り,やがて最強の君主へと成り上がっていく。そんな戦略シミレーションのような物語を楽しめるのが「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」なのだ。
子供の笑顔を守ることが目標
アルスが選ぶ家臣候補は,一癖も二癖もある人物ばかり。リンツは人々が忌み嫌う“マルカ人”で,シャーロットは大の貴族嫌いだ。そんな彼らがアルスを慕うようになるのはなぜか? それは子供が平和に暮らせる領地を作りたいという,アルスの思いがあるから。
前世で過労死するほどの激務が続く主人公を癒してくれたのは,無邪気な子供の笑顔だった。それを守りたいというアルスの思いに,家臣たちは惹かれていく。武力や知略に勝るものをアルスは持っているわけだ。
新進気鋭のスタジオとベテランのタッグ
本作を手掛けるstudio MOTHERは,2019年に設立されたばかりの新興スタジオだ。「ありふれた職業で世界最強 2nd season」や「夫婦以上、恋人未満。」など,まだ数作しか手掛けていないが,「蒼穹のファフナー」シリーズを手掛けた元XEBECのクリエイターで構成されており,その実力は折り紙付き。ベテランの加戸氏とのタッグを組み,本作を丁寧な作画と演出で見応えのある作品に仕上げている。CGにこだわらない戦闘シーンや,感情が直に伝わってくる表情作りに好感を持てた。
今後もアルスの下にはさまざまな逸材たちが集ってくる。彼らを従え,オープニングのように1人前の領主となるには多数の難関がアルスを待ち受けているだろう。それをどうアルスが乗り越えていくのか,気になるところだ。今期も多数の“なろう系”アニメが放送されているが,その中で個人的にイチオシの作品となる。
TVアニメ「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」公式サイト
TVアニメ「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」公式X
放映データ |
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2024年4月〜 |
毎週日曜23:30〜CBC/TBS系ほか |
キャスト | |
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アルス・ローベント:藤原夏海 | |
リーツ・ミューセス:坂 泰斗 | |
シャーロット・レイス:佳穂成美 | |
ロセル・キーシャ:岡咲美保 | |
リシア・プレイド:花澤香菜 | |
レイヴン・ローベント:東地宏樹 | |
ミレーユ・グランジオン:生天目仁美 | |
ファム:戸松 遥 |
スタッフ | |
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原作:未来人A『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる〜弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた〜』(講談社「Kラノベブックス」刊) | |
キャラクター原案:jimmy | |
漫画:井上菜摘(講談社「マガジンポケット」連載) | |
監督:加戸誉夫 | |
シリーズ構成:中西やすひろ | |
キャラクターデザイン:八尋裕子 | |
サブキャラクターデザイン:坂崎 忠、堀 たえ子、山岡信一 | |
色彩設計:田中美穂 | |
美術監督:瀬川孟彦(クリープ) | |
撮影監督:山越康司 | |
編集:野川 仁 | |
音楽:夢見クジラ | |
音響監督:亀山俊樹 | |
アニメーション制作:studio MOTHER | |
OP主題歌「ブルーデイズ」歌:TRUE | |
ED主題歌「Finally」歌:リシア・プレイド (CV:花澤香菜) | |
(C)未来人A・講談社/鑑定スキルで成り上がる製作委員会 |
■Blu-ray情報
品姿:Blu-ray
商品名:転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 第1巻 (特装限定版)
発売日:2024年7月24日
発売元:バンダイナムコフィルムワークス
販売元:バンダイナムコフィルムワークス
品番:BCXA-1813
JANコード:4934569368133
税抜価格:¥8,500
税込価格(10%):¥9,350
スペック:カラー/(予)126分/(本編約96分+特典約30分)/リニアPCM(ステレオ)/AVC/BD50G/16:9<1080p High Definition>・一部16:9<1080i High Definition>
※特装限定版は予告なく生産を終了する場合がございます。
全3巻 各4話収録 税込価格:¥9,350
第2巻:2024年8月28日発売
第3巻:2024年9月25日発売
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