連載
そうだ アニメ,見よう:第200回はTRIGGER制作の「ダンジョン飯」。魔物を料理しながら迷宮を探索する,異色のグルメ・ファンタジー
2016年4月にスタートしたこの連載も,今回でなんと200回目。いつ編集長の鶴の一声でなくなってもおかしくないところだが,読者の皆様に支えられてなんとかやってこれたと言える。今後もアニメ視聴の一助になれば幸いだ。次は「目指せ!300回」。
というわけで,記念すべき「そうだ アニメ,見よう」第200回のタイトルは,九井諒子氏のグルメ・ファンタジー漫画をアニメ化した「ダンジョン飯」(毎週木曜22:30〜TOKYO MXほか)。制作はTRIGGER,シリーズ構成は「クレヨンしんちゃん」や「宇宙パトロールルル子」のうえのきみこ氏が担当。監督は「リトルウィッチアカデミア」や「劇場総集編 SSSS.DYNAZENON」の宮島善博氏が務めている。
「ダンジョン飯」
冒険者のライオス(CV:熊谷健太郎)たちのパーティは,ダンジョンの探索中にレッドドラゴンと遭遇するが,太刀打ちできずに壊滅状態に。しかもライオスの妹・ファリン(CV:早見沙織)が捕食されてしまう。
なんとか地上へと逃れることができたライオスたちは,ファリンの肉体が消化される前に救い出し,魔法で蘇生させるために急いで向かおうとする。しかし,パーティーメンバーのシュロー(CV:川田紳司)とナマリ(CV:三木 晶)が離脱してしまい,残されたのライオス,魔法使いのマルシル(CV:千本木彩花),シーフのチルチャック(CV:泊 明日菜)だけだった。
3人はあらためてダンジョンを目指そうするが,お金も食料も置いてきてしまっている。頭を抱えるマルシルたちに,ライオスは「食料は迷宮内で自給自足する」と言い出した。つまりダンジョンに巣食う魔物を食材にすると言うのだ。
「絶対,ヤダー!!」
マルシルの激しい抵抗にも構わず,ライオスは手近にいた「歩き茸」と「大サソリ」の調理を始めるが,うまくいかない。そこへセンシ(CV:中 博史)と名乗るドワーフが現れ,手助けを申し出た。センシは見事な手際で調理を行い,その魔物料理の美味さにライオスたちは驚く。“魔物食”を10年も続けてきたというセンシは,レッドドラゴンを料理できるかもしれない可能性に惹かれ,新たな仲間となる。センシを加えたライオス一行はレッドドラゴンのいるダンジョン深部へと向かうのだった。
今期注目度ナンバーワンの作品
九井諒子氏の原作漫画は,漫画誌「ハルタ」で10年近く連載されていた作品だ。「2016年度このマンガがすごい!」や「全国書店員が選んだおすすめコミック 2016」など,数々の賞で1位を獲得し,累計発行部数は1000万部以上を記録している(2023年12月時点)。そのためアニメ化への注目度も高く,昨年12月には短期間とはいえ,TVアニメ放送に先がけて劇場上映も行われた。
そんな本作が1月からスタートし,第1話「水炊き/タルト」の放送後には,X(旧Twitter)のトレンド1位を獲得し,注目度の高さをうかがわせた。
物語の舞台となるのは,剣と魔法のファンタジーの世界。とは言ってもいわゆる“なろう作品”のような異世界転生やゲーム的な世界ではなく,「指輪物語」や「ナルニア国物語」のような古典的ファンタジーをベースにしている。そこに登場するコカトリスやスライムといった,お馴染みのモンスターたちを調理し,「食材」としていかに美味しく食べるかをリアルタッチで描いているのが,本作「ダンジョン飯」なのだ。
狩ったものを食べるのは,現実世界でもごく当たり前のことだが,この世界では「魔物は不浄なもの」という認識が強く,あえて食べてみようという人はいない模様。調理方法がしっかりしていればお腹を壊したすることはないようだが,拒否感のある人がほとんどだ。つまり「食べられなくはないけど,なんとなくイヤ」なのが“魔物食”だ。
そんな前提もお構いなしに,モンスターを食べるライオスとセンシに,泣く泣く合わせるマルシルとチルチャックの悲劇が笑いを誘い,本作の見どころとなっている。
実はヤバいやつ?魔物好きのライオス
ダンジョンでは,深く潜るにつれ,ドラゴンをはじめとした凶悪なモンスターが登場する。そんなモンスターたちに,人数の少ない彼らが立ち向かう術はというと,ずばり“魔物の知識”となる。子供のころから「迷宮グルメガイド」を熟読しているライオスは,生息場所や生態,弱点に至るまで,すべて熟知しているのだ。
じつはライオスは重度の魔物マニアで,魔物が好きなだけでなく,常々魔物の味にも興味を抱いていたのだ。今まではそれをひた隠しにしてきたが,今回の機会に実行に移したというわけ。
一見真面目なトールマン(人間)に見えるライオスだが,その思想はかなり偏っており,第3話「動く鎧」で剣に残った“動く鎧”をマルシルたちには内緒で同行させているのも,魔物好きのライオスならではの行動と言える。たまに見せるライオスのオタクぶりにはマルシルたちもドン引きだ。今後もライオスは,なにかとパーティーのメンバーたちを振り回しそう。
「魔物食レシピ」も公開中
作中に登場する魔物の料理は,食材がモンスターなので現実に食べることはできない。残念。しかし,似たものが現代社会にも存在しているので,類似品は作れそう。例えば大サソリはカニや伊勢海老,動く鎧はカキで代用できそうだ。
ライオスたちの作っている料理が気になる人は,アニメ公式サイトの「魔物食レシピ」に必要なレシピが掲載されているので,チェックしてみよう。「動く鎧のフルコース」は難度が高そうだが,「マンドレイクとバジリスクのオムレツ」や「大サソリと歩き茸の水炊き」は挑戦してみるのも面白いかも。
なお,アニメ公式Xではイワサキ・ビーアイの協力で,食品サンプルで再現した魔物食も公開中だ。
カブルーたちやカナリア隊の登場はいつ?
原作人気だけでなく,「キルラキル」や「ダーリン・イン・ザ・フランキス」などを手掛けたTRIGGERが制作するということで,注目度がやたら高い「ダンジョン飯」。海外でも“残念なエルフ”マルシルが話題を呼び,徐々に人気が上がっているようだ。
また,連続2クールでの放送が決定しており,原作のどのあたりまで物語が進むか気になるところ。放送では,アニメ1話で原作の2話を消化しているので,なかなかのハイペースで進行している。オープニングには登場しているが,早くカブルー(CV:加藤 渉)一行やカナリア隊など,キーキャラクターたちの活躍シーンを堪能したいという人も多いのではないだろうか。ともあれ,ライナスパーティーの冒険は始まったばかり。彼らのダンジョン探索と魔物料理,それをイヤがるマルシルの姿をじっくり楽しみたい。
アニメ「ダンジョン飯」公式サイト
アニメ「ダンジョン飯」公式X(Twitter)
放映データ |
---|
2024年1月〜 |
毎週木曜22:30〜TOKYO MXほか |
キャスト | |
---|---|
ライオス:熊谷健太郎 | |
マルシル:千本木彩花 | |
チルチャック:泊 明日菜 | |
センシ:中 博史 | |
ファリン:早見沙織 | |
ナマリ:三木 晶 | |
シュロー:川田紳司 | |
カブルー:加藤 渉 | |
リンシャ:高橋李依 | |
ミックベル:富田美憂 | |
クロ:奈良 徹 | |
ホルム:広瀬裕也 | |
ダイア:河村 螢 | |
シスル:小林ゆう |
スタッフ | |
---|---|
原作:九井諒子(「ダンジョン飯」/KADOKAWA 刊) | |
監督:宮島善博 | |
シリーズ構成:うえのきみこ | |
キャラクターデザイン:竹田直樹 | |
モンスターデザイン:金子雄人 | |
コンセプトアート:嶋田清香 | |
料理デザイン:もみじ真魚 | |
副監督:佐竹秀幸 | |
美術監督:西口早智子 錦見佑亮(インスパイア―ド) | |
美術監修:増山 修(インスパイア―ド) | |
色彩設計:武田仁基 | |
撮影監督:志良堂勝規(グラフィニカ) | |
編集:吉武将人 | |
音楽:光田康典 | |
音楽制作:KADOKAWA | |
オープニング主題歌:「Sleep Walking Orchestra」 BUMP OF CHICKEN(TOY'S FACTORY) | |
エンディング主題歌:「Party!!」 緑黄色社会(Sony Music Labels) | |
音響監督:吉田光平 | |
音響効果:小山健二(サウンドボックス) | |
録音調整:八巻大樹(クラングクラン) | |
アニメーションプロデューサー:志太駿介 | |
アニメーション制作:TRIGGER | |
製作:「ダンジョン飯」製作委員会 |
■Blu-ray情報
ダンジョン飯 Blu-ray BOX 1
《マルシル 1/7スケールフィギュア付き完全数量限定版》
2024年4月24日(水)発売
マルシル 1/7スケールフィギュア
品番:Blu-ray:ZMAZ-16931
価格:Blu-ray:42,900円(税抜:39,000円)
内容:第1話〜第6話(本編約144分+特典映像)
限定版特典
(1)マルシル 1/7スケールフィギュア
(2)原作・九井諒子描き下ろしアウターケース
(3)キャラクターデザイン・竹田直樹描き下ろしデジパック
(4)原作・九井諒子描き下ろし漫画収録 特製ブックレット
(5)絵コンテ集
(6)原作・九井諒子描き下ろしイラスト使用ステッカー
(7)映像特典:メイキングドキュメンタリー「OP制作」
(8)ノンクレジットOP・ED
(9)EB予告
※(6)は『ダンジョン飯 〜Delicious in Dungeon〜』入場者特典のイラストを使用したステッカーとなります。
※商品仕様・価格などは予告なく変更になる場合がございます。
- この記事のURL: