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そうだ アニメ,見よう:第194回は後宮が舞台の謎解きミステリ「薬屋のひとりごと」。毒好き少女・猫猫の名推理が冴えわたる
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印刷2023/11/09 08:00

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そうだ アニメ,見よう:第194回は後宮が舞台の謎解きミステリ「薬屋のひとりごと」。毒好き少女・猫猫の名推理が冴えわたる

画像集 No.016のサムネイル画像 / そうだ アニメ,見よう:第194回は後宮が舞台の謎解きミステリ「薬屋のひとりごと」。毒好き少女・猫猫の名推理が冴えわたる

 架空の中華風帝国を舞台にした,日向 夏氏のミステリ&ラブコメ小説「薬屋のひとりごと」。同作は,2011年に小説投稿サイト「小説家になろう」で発表された後,第1部「後宮編」が2012年に「Ray Books」レーベルから単行本として発売された。その後,「ヒーロー文庫」にレーベルを移し,現在14巻まで巻数を伸ばしている。
 2017年からは「月刊ビッグガンガン」と「月刊サンデーGX」の2誌で,それぞれ別の漫画家によりコミカライズ版が連載中。小説とコミックスを合わせたシリーズ累計発行部数は2400万部を突破している大ヒット作品だ。
 というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第194回のタイトルは,同作をアニメ化した「薬屋のひとりごと」(毎週土曜24:55〜日本テレビ系列ほか)。TOHO animation STUDIOOLMがアニメーション制作を担当し,監督とシリーズ構成は,「魔法使いの嫁」や「劇場版 弱虫ペダル」の長沼範裕氏が務めている。


「薬屋のひとりごと」


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 大陸の中央に位置するとある大国。花街で薬屋を営む少女・猫猫(マオマオ,CV:悠木 碧)は,人さらいにかどわかされて後宮に売られ,下女として働くことになった。

 2年の年季が明けるまでは目立たないよう勤めるつもりの猫猫だったが,ある日,帝の御子たちが皆短命であることを知る。今いる2人の御子も共に病で弱っているという話を聞いた猫猫は,興味本位でその理由を調べ,高級白粉に含まれる毒が原因であることを突き止める。それを人知れず伝えようとするが,美貌の宦官・壬氏(ジンシ,CV:大塚剛央)にバレてしまい,帝の寵妃・玉葉妃(ギョクヨウヒ,CV:種﨑敦美)の毒見役に任じられてしまう。

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 その後も壬氏から「城壁の上で女の幽霊が踊っている」という後宮内の噂について相談されたり,媚薬を作ってほしいと難題を持ちかけられたりする猫猫。
 そんな折,猫猫は帝から直々に妃・梨花妃(リーファヒ,CV:石川由依)の治療を命じられる。御子の病気の謎を解いた後も,彼女は容体が回復せず,床に臥せっていたのだ。

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 しかし,梨花妃のために用意した食事を与えようとするも侍女たちに邪魔されてしまい,彼女はどんどん衰弱していく。壬氏の助けによって,なんとか梨花妃に近づく機会を得た猫猫だったが,禁止されたはずの高級白粉がなぜかまだ使われていることを知るのだった。

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なろう発の人気ミステリが待望のアニメ化


 本作は,2400万部という累計発行部数からも分かる通り,「小説家になろう」作品の中でもかなりの人気を誇る作品で,アニメ化が待望されていた。女性向けとして発表されたが,少年向け漫画誌で連載が開始されるや否や,瞬く間に男性層にもその魅力が認知され,“ソバカス顔の毒好き少女”の人気は不動のものとなっている。

 舞台となるのは,中国の唐代をモデルとした架空の大国の後宮。そこに下女として売られた薬師の少女・猫猫が,謎の多い宦官・壬氏と共に,後宮に関わる事件や陰謀にその知識で立ち向かう,いわゆる推理ものとなる。ちなみに,宦官とは去勢された男子で宮廷や貴族の家に仕える者のことだ。

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 物語は,後宮とそれを取り巻く人々の人間模様を,他人には興味がないが毒と薬へは異常とも言える執着を見せる猫猫の淡々とした視点で綴っていく。後宮ならではの女性同士のいがみ合いや権力闘争に一切興味を持たない,彼女の言葉は辛らつだ。第4話「恫喝」で高級白粉を使い続けていた侍女を,猫猫は平手打ちする。
「あ? 馬鹿に折檻するだけだよ」

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 後宮の中で歪んでしまった価値観に活を入れる猫猫の行動は,いっそすがすがしい。権力と欲望が渦巻く後宮にあって,何者にも屈服しない彼女の生き様が本作「薬屋のひとりごと」の魅力だ。

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猫猫と壬氏のラブコメに癒される


 猫猫は,花街で育てられたことで男女の機微には敏感だが,なぜか彼女に興味があると思われる壬氏からの好意には気付かない。その美貌で後宮中の女性を虜にしている壬氏にしてみれば「なぜ?」となるわけだ。
 そうなると逆に追いたくなるのが人間というもので,ことあるごとに壬氏は面倒事を彼女に押し付けていく。そんな主の行動に頭を痛める側近の高順(ガオシュン,CV:小西克幸)の苦労も知らずに。シリアスな事件がメインとなる本作だが,猫猫と壬氏のこうしたやり取りはコミカルに描かれ,一服の清涼剤となっている。

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 宦官であるはずの壬氏にはどうやら深い謎が隠されているようだが,猫猫はそれに気づくことができるのだろうか。そして,それを知ったとき2人の関係はどう変化するのか,今後の見どころとなりそうだ。

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OPとEDのノンクレジット映像がお披露目


 そんな本作を盛り上げているのが,緑黄色社会「花になって」(オープニングテーマ)と,アイナ・ジ・エンドさん「アイコトバ」(エンディングテーマ)だ。どちらも本作のために書き下ろされた楽曲とのことで,猫猫の心情に寄り添った歌詞が印象的だ。2曲ともノンクレジット映像が解禁されているので,気になる人はチェックしておこう。




アニメオリジナルシーンに注目


 秋アニメとしては遅めのスタート(初回放送は10月21日)となったが,3話連続での放送に満足した人も多いはず。初回に長めの枠をとるのは最近のアニメの流行のスタイルだが,序盤の盛り上がりをしっかり堪能できて視聴者としては喜ばしい限り。

 アニメ化にあたって,基本的には原作準拠で映像化しているようだが,ちらほらと原作にはないシーンが追加されており,ファンは新鮮な気持ちで視聴できるのではないだろうか。その追加シーンもあくまでもストーリーの補完にとどまっているので好印象だ。
 注目作の多い2023年秋アニメだが,本作もなかなか気になる作品を言える。秋の夜長はアニメ三昧となりそうだ。

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TVアニメ「薬屋のひとりごと」公式サイト

TVアニメ「薬屋のひとりごと」公式X(旧Twitter)


放映データ
2023年10月〜
毎週土曜24:55〜日本テレビ系列ほか)
キャスト
猫猫:悠木 碧
壬氏:大塚剛央
高順:小西克幸
玉葉妃:種﨑敦美
梨花妃:石川由依
里樹妃:木野日菜
阿多妃:甲斐田裕子
梅梅:潘めぐみ
白鈴:小清水亜美
女華:七海ひろき
やり手婆:斉藤貴美子
羅門:家中 宏
李白:赤羽根健治
小蘭:久野美咲
やぶ医者:かぬか光明
ナレーション:島本須美
スタッフ
原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼 範裕
副監督:筆坂 明規
キャラクターデザイン:中谷 友紀子
色彩設計:相田 美里
美術監督:?尾 克己
CGIディレクター:永井 有
撮影監督:石黒 瑠美
編集:今井 大介
音響監督:はた しょう二
音楽:神前 暁・Kevin Penkin・桶狭間 ありさ
オープニングテーマ:緑黄色社会『花になって』
エンディングテーマ:アイナ・ジ・エンド『アイコトバ』
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO×OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会
(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
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