連載
「そうだ アニメ,見よう」第7回:無個性の少年が最高のヒーローを目指すスポ根アニメ「僕のヒーローアカデミア」
7月スタートの夏アニメは,やはり「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」と「ラブライブ!サンシャイン!!」の人気が頭ひとつ抜けている感じ。そのほかでは,子持ちの高校教師とその教え子の不思議な関係を描いた料理アニメ「甘々と稲妻」が注目株。つむぎちゃんの純粋さにメロメロです。
さて,第7回となる今回のタイトルは「僕のヒーローアカデミア」。原作は,堀越耕平氏の同名コミックで「週刊少年ジャンプ」で連載中の人気タイトルだ。制作はボンズで,監督は「ガンダムビルドファイターズ」の長崎健司氏が務めている。
「僕のヒーローアカデミア」
しかし,先天的な“無個性”である出久では合格は絶望的。そんな彼の前に“平和の象徴”とまで謳われる憧れのヒーロー・オールマイトが現われる。
出久の中にヒーローとしての素質を見出したオールマイトは,自身の“個性”であるワン・フォー・オールを出久へと受け継がせるための特訓を開始。見事やり遂げた出久は難関の試験を突破し,雄英高校への合格を果たした。
ヒーローに憧れる少年の成長が本作の軸となっているが,その道は果てしなく険しい。才能がなく,オールマイトから受け継いだ力も,未熟な彼では使いこなせず,使うたびに重傷を負ってしまう。
そんな彼を支えているのは憧れたヒーロー達への知識と観察眼,そして救けを求める人達を見捨てることのできない正義感だ。雄英高校に入学した出久は,強力な“個性”を持ったクラスメイト達を尻目に,少ない手札を活用してさまざまな試練を突破していく。
何度もくじけそうになる彼をハラハラしながら応援し,その成長を見守っているうちに,かつてのスポ根ものやヒーローものに通じる感覚を思い出した人も多いはず。本作は,最近では珍しい「熱くなる」ことができる作品なのだ。
ヒーローに憧れる出久は偶然オールマイトと出会う |
オールマイトの地獄のようなシゴキに耐える出久 |
けれんみ溢れるアクションシーン
この熱い物語を盛り上げているのが,監督の長崎氏による日常シーンと,クオリティの高いアクションシーンのメリハリのある演出だ。今回この作品を取り上げたのも,アニメ版「ヒロアカ」の出来の良さに驚かされたからにほかならない。
とくに第10話以降の敵(ヴィラン)連合との戦闘シーンは,やみくもに作画の枚数を増やすのではなく,パースを駆使した手法で,けれんみ溢れるアクションに仕上げている。つまりは能力を使う描写がカッコイイのである。能力者によるバトルといえばボンズの十八番だが,その手腕が十二分に発揮された作品といえるだろう。
緩急のついたアクションシーン。CGでは真似できない手書きアニメの真髄だ |
さまざまな“個性”を持ったヒーロー達
また,本作を語るうえで外せないのが,多種多様な能力を持ったヒーローや,そのタマゴ達だ。スーパーマンのように強大な力を振るうオールマイトをはじめ,相手の能力を抹消できるイレイザーヘッドや,ブラックホールを操る13号といった,プロ級の能力を持つ雄英高校の教師陣。触ったものの重力を無効化できる麗日お茶子や,火と氷の能力を持った轟 焦凍など,クラスメイトも個性豊かだ。
そして,出久の幼馴染みであり,「爆破」の“個性”を持つ爆豪勝己。彼は出久に対して複雑な感情を持った,出久のライバルともいえる少年だ。自分よりも劣る存在と侮っていた出久が,自分と同じ土俵に上がってくることへの戸惑いを隠せない勝己。2人の関係が今後どうなっていくかが,本作の物語のキーとなるのは間違いないだろう。
出久の幼馴染み・爆豪勝己。自信家で実力も十分だが,出久の成長に焦りを見せる |
氷と炎を操る,クールな轟 焦凍 |
電気を放って攻撃する上鳴電気 |
重力を操る本作のヒロイン・麗日お茶子 |
プロヒーロー一家に生まれた韋駄天・飯田天哉 |
余談だが,筆者が毎回楽しみにしていたのが,クラスメイト達のコスチューム。それぞれの能力に合わせて,彼らが学校側に発注したもので,これが個性的で面白い。
「爆破」の素となる自分の汗を一か所に集めて,遠距離攻撃を可能にした勝己のスーツなど,ちょっとした工夫が凝らされているものもあれば,見た目がカエルというほかに能力がなさそうな蛙吹梅雨のスーツなど,とにかくハデで印象的。ヒーローたるもの見た目にも気を遣わなくてはダメということか。
泥臭くたっていいじゃない。熱血だもの
今時の物語の主人公といえば,生まれつき特別な力を持っていたり,いきなり覚醒して超常の力を駆使するものが少なくない。泥臭く,ひたすら努力して力を身につけるスポ根的な話は敬遠されてしまう風潮だが,本作はそのアンチテーゼともいえる作品だ。
泣きながら歯を食いしばって,体を鍛える出久の姿に共感を覚えるか,古臭いと笑うかは見る人次第。しかし,スポーツものが廃れないように,一定の需要があるのもまた事実。熱血は苦手といわず,一度視聴してみることをオススメする。
ちなみに,放送時期は未定だが,本作の2期制作が決定している。待ちきれないという人は3DS用ソフト「僕のヒーローアカデミア バトル・フォー・オール」が発売されているので,プレイしてみてはいかがだろう。
アニメ「僕のヒーローアカデミア」公式サイト
放映データ |
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2016年4月〜2016年6月まで |
全13話 |
キャスト | |
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緑谷出久:山下大輝 | |
爆豪勝己:岡本信彦 | 麗日お茶子:佐倉綾音 |
飯田天哉:石川界人 | 蛙吹梅雨:悠木 碧 |
峰田 実:広橋 涼 | 八百万 百:井上麻里奈 |
常闇踏陰:細谷佳正 | 切島鋭児郎:増田俊樹 |
上鳴電気:畠中 祐 | 轟 焦凍:梶 裕貴 |
相澤消太:諏訪部順一 | 死柄木弔:内山昂輝 |
スタッフ |
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原作:堀越耕平(集英社『週刊少年ジャンプ』連載) |
監督:長崎健司 |
シリーズ構成:黒田洋介 |
キャラクターデザイン:馬越嘉彦 |
音楽:林 ゆうき |
アニメーション制作:ボンズ |
■Blu-ray&DVD情報
<商品情報>
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Vol.3 8月17日(水)発売
Vol.4 9月14日(水)発売
Vol.5 10月12日(水)発売
Blu-ray 初回生産限定版
価格:6800円+税
仕様:本編72分+映像特典/カラー/1080p High Definition/16:9ワイドスクリーン/日本語リニアPCM 2.0chステレオ/1層(BD25G)
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価格:5800円+税
仕様:本編72分+映像特典/カラー/16:9LB/日本語リニアPCM 2.0chステレオ/片面2層
- 関連タイトル:
僕のヒーローアカデミア バトル・フォー・オール
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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会・MBS
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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