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[TGS2023]広井王子氏と古賀俊輔氏が手がける,eスポーツ青春映画「PLAY!」の完成記念トークショーをレポート
「PLAY!」は,徳島県の高等専門学校(高専)を舞台に,実在の男子学生をモデルに描く,eスポーツを題材とした青春映画だ。劇中で競技タイトルとして扱われているのは,「ロケットリーグ」である。また,俳優の奥平大兼さんと鈴鹿央士さんがW主演を務めるということでも,世間の注目を集めている。
古賀氏は本作に取り組むにあたり,「新しいトライアルをしないと,お客さんに伝わらない」と考えたとのこと。そこで,実話を映画的に脚色することにより,eスポーツを通した青春映画にチャレンジしたそうだ。
広井氏によると,もともと本作の発端は,GALLERIAを手がけるサードウェーブの尾崎健介社長が,セガの元社長である入交昭一郎氏に「映画を作りたい」と相談したことにあったという。その入交氏が,交流のある広井氏に話を持ってきたわけだが,そういった話が多くの場合うまくいかないことを知っていた広井氏は,当初は難色を示したとのこと。
しかし実際に尾崎氏に会って,「高校生の頃に,コンビニの前で友達と『いつか映画を作ろう』と話していた」というエピソードを聞き,今実際に実現しようとしている姿を見て,広井氏は胸を打たれたそうだ。そこで尾崎氏にいろいろ聞いてみたところ,「eスポーツを題材にしたい」という答えが返ってきたという。
また本作の時代設定は,「第1回全日本高校eスポーツ選手権」が開催された2018年だが,当時はeスポーツを学校に認めさせるのが大変だったことにも言及がなされた。学校側は「文部科学省が認めたら」「PTAが認めたら」と,とにかく学生にeスポーツをさせたがらなかったという。学生は何とかして学校を説得していくわけだが,広井氏はここでも「その中に不登校の学生がいる。これはドラマだ」と感じたとのこと。
そうやってプロットを作った広井氏だったが,自身では実際に映画を作れないため,吉本興業の前会長・大﨑 洋氏に相談した。そのとき紹介されたのが古賀氏だったという。古賀氏は,初対面の広井氏を面白い人物だと思い,またeスポーツという新しい題材にもチャレンジしたいと考えたため,本作のプロデュースを引き受けたそうだ。
ゲームと青春のシナジーを問われた古賀氏は,「ゲームがeスポーツという概念に変わると,日常になる」とコメント。モデルとなった学生達が,集中力と体力を付けるために指立て伏せをやっていると知ったときに,「これは競技なんだ」と痛感したエピソードを披露し,あらためて「スポーツだと捉えると,日常の中に潜んでいる感じがする。そう考えるとやりやすくなった」と説明を加えた。また広井氏も,eスポーツが性別や年齢,人種,国籍,障害の有無などを問わない点に言及し,「素晴らしいスポーツ」と表現していた。
話題は,10月に放映が開始されるNHKの連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本家の1人・櫻井 剛氏が,本作の脚本を手がけていることにもおよんだ。広井氏は,主演の2人の人気が高まっていることと合わせて,本作もかなり話題になるのではないかとし,ぜひ多くの人にeスポーツを知ってほしいと話す。また古賀氏も,奥平大兼さんについて「芝居がうまく,何より影がある」とコメント。鈴鹿央士さんについても,テレビでの露出が多いので知っている人が多いとし,「この2人が一緒に出るのが面白い」と語った。
上記のとおり,広井氏は劇中にゲーム画面をあまり映さないようにしようと考えていたが,監督の古厩智之氏に反対されたというエピソードも披露された。かなり揉めた結果,古賀氏によると映画全編の20分くらいがゲーム画面になったとのことだが,その仕上がりに広井氏は「『七人の侍』みたいに,見ているだけで興奮してくる。名監督ってすごいんだな」と思ったという。「『ロケットリーグ』を知らない人が観ても,しっかり興奮できる」とも話していた。
また古賀氏は,本作に出てくるゲーム画面が,すべて実際にゲーマーがプレイしたものであることを明かした。たとえばシュートを外した画面は,ゲーマーがわざとそういうプレイをしているそうだ。
モデルになった学生達を取材しているうちに,お互いの会話の中で,ゲームのことについてはよくしゃべるのに,彼ら自身のプライベートはあまり話さないことも話題となった。古賀氏は「今の子達はチャットで会話している。それが良い悪いではなく,その子達の青春だから,きちんと描こう」と,脚本を変えたエピソードを披露。
一方,広井氏は「自分も引き籠もりだから,仕事上では仲がよくても,一緒に食事はしたくない」とし,学生達やゲーマーの心情も分かるが,「それで映画になるのか」と思っていたことを明かした。
また主演の2人の顔合わせのときに,「ロケットリーグ」をプレイしてもらったところ,すぐに上達したエピソードも明かされた。同じゲームをプレイしたことを通じて2人はかなり仲よくなり,撮影の合間に徳島ラーメンを食べに行ったりしていたそうだ。
最後に広井氏は,本作がさまざまな人の協力によって作り上げられたことについて,尾崎社長が高校生時代の「映画を撮ろう」という夢があったからこそとコメント。「もの作りは,中心になる核が強いかどうか。『これを絶対やりたい』という強い情熱が必要」と熱く語っていた。
PLAY! 〜勝つとか負けるとかは,どーでもよくて〜
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