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[E3 2017]医者と吸血鬼の間で葛藤する主人公を描くアクションRPG「Vampyr」の最新ライブデモを紹介。レベルデザイナーへのインタビューも
「Vampyr」公式サイト(英語)
「Vampyr」は第一次世界大戦末期にあたる1918年,多くの死亡者を出して世界の人口に影響を与えたスペイン風邪の流行に喘ぐロンドンに,軍医である主人公,ジョナサン・リードが帰ってきたところからスタートする。しかもスペイン風邪に対する恐怖に乗じて,吸血鬼までもが暗躍し始めており,ジョナサンを始めとする多くの人々が吸血鬼化している状態という,なんともダークな世界観となっている。
ジョナサンは,人を救う立場でありながらも,生き血を吸うことによってパワーを得られるという心身的な葛藤に苦しみつつ,その真相と治療法を解明すべく,陰鬱な夜のロンドンに繰り出すことになるのだ。
今回のイベントで紹介されたのは,ジョナサンが務めるペンブローク病院から始まるミッションのライブデモだ。神聖なはずの病院で殺人事件が発生し,1人が死亡。さらにハリエット・ジョーンという女性の失踪まで確認された状況で,これを吸血鬼の仕業であると踏んだスワンシー院長が,ジョナサンに迅速な解明を要求する。ジョナサンが院長室にやってくると,ヴァンパイアハンターのマッカラムといういかつい男が口論をしている。どうやらスワンシーもマッカラムも,ジョナサンがヴァンパイアであることは知っている様子である。
しかも,ジョナサンと同じ境遇だったショーン・ハンプトンという男も失踪しており,この男がハリエットに何が起こったのかを知っているだろうとのこと。ゲームに登場する主要キャラクターが,揃って紹介された場面といえるだろう。
アクション以上に探偵アドベンチャーとしての面白みにクローズアップ
マッカラムとの直接対決は避けたジョナサンだったが,ショーン・ハンプトンを追って出かけた街では,ほかのヴァンパイアハンターと思わしき一団が,それぞれ2〜3人のグループとなって見回りをしている。さらに今回のデモでは,髪の毛が抜け落ちてただれた皮膚を持つスカルという下級吸血鬼の集団と遭遇する場面もあった。プレイヤーはそれをうまく避けたり,吸血鬼としての力を使って戦ったりしながら,街を進んでいくことになる。
「Vampyr」には,さまざまなタイプのメレーウェポンが用意されているそうだが,今回のジョナサンは右手にマシェット,左手にピストルを持つというスタイルだ。特殊能力として,一瞬だけ黒い霧のようになって別の場所に瞬間移動するという力もあって,戦う場合はこれらを駆使したバトルが展開される。
本作がユニークなのは,戦うことで得られるポイントよりも,人の血を飲むことによって得られるポイントのほうが,レベルアップ効率が良いというところだ。ゲーム中には,4つのエリアに60人ほどインタラクト可能なキャラクターが存在しており,それぞれに生き血の価値というものが設定されている。
今回,ショーン・ハンプトンがいる工場に向かう途中で受けたサブクエストの登場キャラクターで言えば,酔っ払いで母親想いのシーモアというキャラクターの生き血は800XP,その母親なら1100XPというような具合だった。デーモンハンターやスカルを倒しても,得られる経験値は数ポイントなので,吸血行為がシステム的にいかに推奨されているかが分かるだろう。
もっとも,ゲーム内のキャラクターがジョナサンの手にかかって死んでしまえば,それだけでストーリーは大きく変化する。特定の人物を殺したことで,その息子がヴァンパイアハンターになってしまったり,店主がいなくなったことでエリア内の経済が滞り,さらに危険な状態になってしまうようなことが起こりえる。
さらには,それぞれに紐付けられたクエストが消滅してしまい,ゲームのメインストーリーを解明するにあたって重要なクエストが遂行できなくなってバッドエンド,ということまであるという。
「Vampyr」はアクションRPGでありながら,今回のデモを見た印象では「探偵アドベンチャー」の側面がかなり強いと感じられた。シーモアが「母親のプレゼントとして買ったネックレスがなくなった」と嘆いているのを聞きつけては,そのネックレスを探し出したり,彼を尾行して母親がいる家を探ったり,さらにはシーモアと喧嘩している兄弟の行方を調べたりと,プレイヤーはそれぞれのNPCの素性を調べあげることになる。ゲームのストーリーに直接的な影響があるのかどうか,街の平和や経済にどのような影響を与えるのかを調査しなけれならないのである。
レベルデザイナーに聞く「Vampyr」の世界観――Florent Guillaume氏インタビュー
ライブデモ後,Focus Home Interactiveのブース内にて,レベルデザイナーを務めるFlorent Guillaume(フローレン・ギヨーム)氏に話を聞けたので,その模様をお届けしよう。同氏はDONTNOD Entertainmentのデザインチームに所属し,「リメンバー・ミー」や「ライフ イズ ストレンジ」といったタイトルにも,深く関わってきた人物だ。ライブデモの内容を中心に,「Vampyr」に関するトピックスを聞いてみた。
4Gamer:
今回のデモの内容についてお聞かせください。スワンシー院長はジョナサンの素性を知っているようでしたが,これはどういう経緯なのでしょう。
Florent Guillaume氏(以下,Guillaume氏):
スワンシーはジョナサンが吸血鬼であることを知りながら,医師として彼を雇用することで庇護している立場です。また彼は,吸血鬼を調査する学会にも参加しており,ジョナサンを遠ざけておくよりは,近くに置いておきたい科学者としての考え方があるという設定ですね。
4Gamer:
今回のデモは,「Vampyr」のキャンペーンでいうとどのあたりに位置するものなのでしょうか。デモの最後,工場で出会ったショーン・ハンプトンも,ジョナサンのことを知っているようでしたが。
Guillaume氏:
「Vampyr」は,じっくりとプレイすれば30時間は遊べる内容ですが,今回のライブデモは序盤の4時間くらいで遭遇するミッションです。あまり詳しくはお話できないのですが,スワンシーがジョナサンを救ったのと同様に,ジョナサンはショーンを救ったのです。しかし,ショーンはジョナサンとは異なり,吸血鬼としての能力とパワーを隠さずに生きようとしています。
4Gamer:
人々の血に異なる価値があるというのは面白いアイデアだと思いました。
Guillaume氏:
はい。本作では,ただ単に敵と戦うだけでは,ジョナサンの内側に潜む吸血鬼の能力を開花させることはできません。ヴァンパイアハンターの血を吸うこともできますが,彼らの血はおいしくないので,ヘルス値を回復することしかできないのです。
かといって,手あたり次第に見つけたNPCの血を吸っていると,真相の解明に役立つ重要なクエストが無くなってしまう可能性がありますから,プレイヤーはそのバランスを考えながらプレイする必要があります。そのためにも,じっくりとNPC達の素性を調べなければならないわけです。
4Gamer:
今回のデモには“スカル”と呼ばれるグールのような吸血鬼が出てきましたが,あれは何でしょうか。
Guillaume氏:
低級の吸血鬼です。吸血鬼になりきれなかった存在と言うべきでしょうか。
4Gamer:
つまり,ジョナサンなりショーンなりが吸血鬼となったというのは,彼らの血の価値が高かった?
Guillaume氏:
……面白いご質問ですが,ジョナサンの血が持つ意味はストーリーの真相にもつながるので,今はお答えできません。
4Gamer:
では話題を変えて,ギヨームさんの本職であるレベルデザインついて教えてください。
Guillaume氏:
ええ,もちろん。「Vampyr」は,1918年のロンドンを舞台にしています。ですがロンドンを忠実に再現するのではなく,その良い部分を抽出して,小さいながらも街の雰囲気を凝縮することに努めました。また吸血鬼が持つルールには,「太陽光に弱い」「銀製品やニンニクを恐れる」といったもののほかに,「招待されなければ建物に入れない」という,非常に紳士的なものもあります。
4Gamer:
ライブデモでは,ジョナサンは,「CHARM」の能力を使ってシーモアの母親を説得し,招かれてから家に入っていましたね。
Guillaume氏:
ジョナサンは紳士ですから,そうしたプロセスを踏む必要があるんです。無人の家や施設であれば自由に出入りできますが,「グランド・セフト・オート V」のように,勝手に人の家に押し入ったりするゲームではないのです。
4Gamer:
数階建ての建物が多くて地下水道もある,かなり起伏に富んだマップのようです。
Guillaume氏:
そうですよ。ロンドンっ子達でも気付かなかったような,広大な地下世界が広がっているのかもしれません。皆さんには,ぜひそうした世界の探索を楽しんでほしいと思っています。単にキャンペーンをこなして終わるのではなく,世界観やストーリーをじっくりと吟味していただきたいというのが,我々が「Vampyr」にかける思いなのです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
ストーリーに重きを置いた作品を連発するDONTNOD Entertainmentの新作「Vampyr」は,PC,PlayStation 4,およびXbox One向けに2017年11月に発売予定だ。E3 2017では「Life is Strange: Before the Storm」のアナウンスで脚光を浴びていた同社だが,この「Vampyr」も多くのゲーマーに注目される作品になるのではないだろうか。
「Vampyr」公式サイト(英語)
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(C)2015 DONTNOD Entertainment and Focus Home Interactive. VAMPYR is developed by DONTNOD Entertainment and published by Focus Home Interactive. VAMPYR and its logo are trademarks or registered trademarks of DONTNOD Entertainment. All rights reserved.
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