舞台「“斬劇『戦国BASARA』蒼紅乱世”『蒼』THE PRIDE」のゲネプロをレポート。「『紅』未来への誇り」と対をなすもう1つの物語

　2018年12月21日から12月30日まで，「“斬劇『戦国BASARA』蒼紅乱世”『蒼』THE PRIDE」の全13公演が，東京・有楽町のオルタナティブシアターにて行われる。
　この舞台公演は，カプコンのアクションゲーム「戦国BASARA」シリーズを原作とするもので，内容は先だって上演された「“斬劇『戦国BASARA』蒼紅乱世”『紅』未来への誇り」と対をなしている。
　本稿では，「『蒼』THE PRIDE」公演初日に実施された公開ゲネプロ（通し稽古）の模様をお届けする。

■出演キャスト（敬称略）
伊達政宗役：眞嶋秀斗
石田三成役：沖野晃司
前田慶次役：伊阪達也
山中鹿之介役：橘 龍丸
後藤又兵衛役：汐崎アイル
最上義光役：寺山武志
竹中半兵衛役：末野卓磨
豊臣秀吉役：佐々木 崇
映像出演：松村龍之介，中尾拳也ほか

　ゲネプロの開始前には，キャストおよびスタッフがステージに登壇し，今回の公演に懸ける意気込みなどを語った。
　その中でも，伊達政宗役で座長の眞嶋秀斗さんは「『蒼』THE PRIDE」について，「現代にも通ずる物語。激動の時代の中で，何を楽しみとし，誰とどのように生きていくのかということを考えさせられた」と説明し，BASARAファンを含めた多くの人に観てほしいと語っていた。


　構成，演出，映像を手がけるヨリコジュン氏は，「『蒼』THE PRIDE」と「『紅』未来への誇り」という対になる2つの舞台を作るにあたり，赤と青に塗り分けられたU字型の磁石をイメージしたというエピソードを披露。「自分が磁石をコントロールして観客の磁石を引きつけ，くっついたら離れないような2作にしようと考えた。そういう作品に仕上がっているので，楽しんでいただけるとありがたいです」と話していた。

ヨリコジュン氏

　企画・原作監修を務めたカプコンの小林裕幸氏は，「『紅』未来への誇り」が「斬劇『戦国BASARA』」シリーズの中では比較的コミカル寄りだったことに言及。その一方，「『蒼』THE PRIDE」は，「しっかりとしたストーリーがありつつ，その中に笑いもある“いつも通りのBASARA”に仕上がっている」と語っていた。
　また，小林氏は「蒼と紅，2つがそろって1つの『蒼紅乱世』という作品。紅を見た方が蒼を観ると，より全体像が分かるようにできている。もちろん蒼だけ観ても楽しめます」と自信を覗かせていた。

カプコン 小林裕幸氏

　「『蒼』THE PRIDE」の物語は，「『紅』未来への誇り」と同じく第六天魔王・織田信長が，明智光秀の裏切りにより「本能寺の変」で討死にし，覇王・豊臣秀吉が日ノ本を統一したところから始まる。


　そんな中，伊達政宗は，竹中半兵衛から豊臣軍の戦力として軍門に下るよう迫られ，六爪を奪われてしまう。また，石田三成は，豊臣軍から離脱した徳川家康との確執から，後藤又兵衛を追うことに。その闘いの最中，山中鹿之助は劣勢になった又兵衛を連れて逃げることとなる。そして前田利家と，その妻・まつを探す前田慶次は，情報を得るために最上義満を追いかけるが，その途中で覇王・秀吉と遭遇する。
　それぞれ一度は豊臣に敗れた身である政宗と慶次は，手を組むこととなるのだが，秀吉に窮地に追い込まれてしまう。そのとき政宗は，かつて約束を交わしたライバル・真田幸村の想いを胸に“誇り”を取り戻すのだった……。


　キャスト8名と小規模編成でありつつも，ド派手な殺陣，大音量のBGMとSE，そしてスクリーンに投影される映像によって，“斬劇”ならではの大迫力で観客を魅了する「『蒼』THE PRIDE」。「『紅』未来への誇り」を楽しんだ「斬劇『戦国BASARA』」ファンや原作「戦国BASARA」シリーズのファンはもちろん，多くの人に楽しんでほしい。
　

「斬劇『戦国BASARA』蒼紅乱世」公式サイト