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[GDC 2016]Ubisoft初のVRゲーム「Eagle Flight」は,後続のVRゲームデベロッパが学ぶべきマイルストーンに?
以前お伝えしたように,2015年12月に行われたPlayStation Experience 2015で,PlayStation VR向けのリリースもアナウンスされている本作は,人間が何らかの理由でいなくなってから50年が経過したパリを,プレイヤーがオオワシになって自由に飛び回るという,一人称視点のフライトアクションだ(関連記事)。
「Eagle Flight」公式サイト
数階建てのマンションが小綺麗に立ち並んだパリの街並みは延々と広がっているように見えるが,エッフェル塔に向かって進んでいくと,途中で赤い警告サインが出るなど“見えないバリア”で区切られた一部分のみがプレイアブルゾーンになっていた。地上やビルの中に人影はなく,シカのような野生動物に加え,動物園から逃げ出したのかキリンが路上をのし歩いているという世界観で,いったい人類に何があったのか気になるところだ。
Oculus VRでHead of Developer Relationsという役職にあるクリス・ジュー二ー(Chris Jurney)氏に会場で話を聞かせてもらったところ,同氏は本作について「今後,VRゲーム市場に参入してくるデベロッパが1つの指標にするタイトルになるだろう」と語っており,実際にゲームを遊んでみると,確かにVRゲームをよく研究していることが伝わってくる。
例えば,左右への移動にはコントローラを使わず,首を左右に傾けるという仕組みになっている。「Rift」のトラッキングセンサーは感度が良く,これだけでもしっかりとプレイヤーの動きをフィードバックし,狭い迷路のようになった場所でも思うがままに動けるようになっていた。
首を左右に“回す”のではなく“傾ける”のは,プレイヤーの視点が常に中央にあるようにするためだと思われる。同様に,加速したときにはスクリーンの周りに気流のようなものが表現され,プレイヤーは自然と視点を中央に向けるようになっている。こうした細かいデザインによって,VRゲームではプレイヤーが少なからず体験するであろう「思ったようにコントロールできない」というフラストレーションを抑制し,VR酔いにつながる肉体的な負担を軽減しているのだろう。
今回は,赤チームと青チームに分かれて3対3のチーム戦を行う,オンライン対戦モードをメインに遊んでみた。これは,獲物のウサギを陣地となる自軍の巣に持ち帰るという,キャプチャー・ザ・フラッグのバリエーションのようなルールで,ウサギの場所はマップ中に分かりやすく表現されているので,方角を見失う心配はまったくない。ワシは白いミサイルのような“気”を吐くことができ,これに当たると一発でキルされるという仕組みで,キルされたプレイヤーは自陣ですぐにリスポーンする。
一撃必殺のドッグファイトなので,上空を飛ぶよりも,街角や公園,運河に架かる橋などを巧みに利用して低空飛行し続けるほうが生存率が上がりそうだが,それぞれのワシの翼からはチームカラーと同じ色の軌跡が表示されるため,それを上空から狙われることもある。相手の意表を突いた上下への移動や,建物のところどころにある抜け道を駆使して,ハラハラしながらの逃走劇を楽しめるのが好印象だった。
ちなみに筆者らジャーナリストチームは,「Rift」の発明者であるパルマー・ラッキー(Palmer Luckey)氏のチームと対戦。ラッキー氏だけを狙い撃ちするという作戦で奮闘したが,結果は2試合プレイして1対1の引き分けだった。
また,会場ではソロモードも体験でき,こちらはマップ中に浮かんだ輪の中をうまく潜り抜け,中央に近いほどポイントが高くなるというタイムトライアル風の内容になっていた。「Rift」のローンチタイトルではなく,今春に22.99ドルで発売される予定の「Eagle Flight」は,さすがはUbisoftとも言うべき,VRゲームの特性をかなり研究して開発されているという印象を受ける作品だった。
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