インタビュー
[TGS 2016]大河原邦男氏や「戦場のヴァルキュリア」とのコラボが発表された「World of Tanks Blitz」の今後について,ジェネラルマネージャーに話を聞いた
かくいう筆者もそうだったのだが,この東京ゲームショウ2016で,Wargamingタイトルで初となる,「ほかのメーカーで,ほかのゲームとのコラボ」や,メカニックデザイナーの大河原邦男氏をフィーチャーした「アーティストシグネチャー」シリーズなどを発表し,「World of Tanks Blitz」にこれまで以上の力を入れる姿勢を明確にした。
その仕掛人が,ウォーゲーミングジャパンでパブリッシング・アジアパシフィックジェネラルマネージャーを務めるオザン・コチョール(Ozan Kocogle)氏だ。実績を買われて現在のポジションについたのは,ちょっと前の話で,ぶっちゃけ,アジアパシフィックで一番偉い人。10年以上も日本に住んでおり,日本語はペラペラだ。そんなコチョール氏に,今回のコラボについて話を聞いた。
「World of Tanks Blitz」はこれまで,「World of Tanks」と一緒に「ガールズ&パンツァー」とのコラボを行うなど,ある意味,踏みならされた安全な道を歩んできた。だがサービス開始から2年以上が経過し,そろそろ,やりたいことをやってみようと考えて,その結果「戦場のヴァルキュリア」とのコラボを選んだという。
そういえば,東京ゲームショウ2015のインタビューでコチョール氏は「2016年はモバイルの年」と述べており,それは今回の一連の発表を念頭に置いたうえでの発言だったのかもしれない。
そこでセガゲームスに話を持っていくと,意外なほどあっさり話が決まったとコチョール氏は言う。それほど込み入った交渉にならなかったのは,あらかじめ「エーデルワイス号とネームレス号を,『World of Tanks Blitz』に出したい」という明確なコラボ内容を決めたことと,新作「蒼き革命のヴァルキュリア」やリマスター版を盛り上げるためにもタイミングがいいと,セガゲームスが判断したからかもしれない。
もともと,「World of Tanks Blitz」の開発チームはオープンで,いろいろ面白いことをやりたがっていたため,彼らも今回の件については喜んだとのこと。
セガゲームスの対応も非常によく,グラフィックスを「World of Tanks Blitz」に合わせて変更することについても問題なく理解してもらえたという。
そんなエーデルワイス号とネームレス号だが,日本時間の9月15日19:00に販売が開始され,インタビュー時に得られた速報値によれば,2016年におけるアジアナンバーワンのベストセラーに躍り出たとのこと。それは,すごい。通常は週末に数字が伸びるものなので,このコラボ,もしかすると,かなりのヒットになるかもしれない。
筆者は,ミリタリーマニアはファンタジー色の強い戦車をあまり好まないのではないかという気がしていたが,コチョール氏によれば,アジアだけでなく,「戦場のヴァルキュリア」の認知度があるアメリカでも売れており,北米のメディアも今回のコラボを大きく扱ってくれたという。さすがにCIS諸国では難しいかもしれないが,EUでも売れるのではないかとの期待もあるよだ。
また,これまで「World of Tanks Blitz」は世界同時展開が基本だったが,もし,売れ行きに差があるようなら,例えばアジアとアメリカだけでコラボするようなことも考えたいとコチョール氏は述べる。地域特化が可能になるなら,日本のみの面白いコラボなどもできそうだ。
さて,大河原邦男氏の描く特殊戦車「O-47」について。これには発表後,驚きの声を多数もらったというコチョール氏。今のところ,以下に掲載した写真一枚しか公開されていないが,これは,普通よりも長めのセールスプランを立てているからだそうで,今後,順を追って少しずつ公開していく予定になっている。いつものように,発表から1週間ほどでリリースというのではなく,せっかくなので,いろいろな企画を重ねて,時間をかけて盛り上げようというわけだ。その中には,コンセプトアートや大河原氏の紹介,メカのスペシャリストによる「O-47」の解説記事,インタビューや動画なども含まれるという。とはいえ,小回りの良さもモバイル向けタイトル(Windows 10版もあるが)の強みでもある。発売はそんなに遠くはなさそうだ。
このコラボ,そもそもは,社内にファンが多いという「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」などと一緒に何かしたいというコチョール氏の希望によるもの。しかし,これらのIPは超有名であるだけにコラボの実現はなかなか難しく,交渉にも時間もかかる。だったら,直接アーティストにアプローチするのが早道ではないかと考えついたのだ。そこで声をかけた大河原氏の反応はとても良く,しかもセガゲームス同様,「World of Tanks Blitz」で使う戦車としてのさまざまな制約も快く受け入れてくれたそうだ。結果として出来上がったデザインは,ゲームの世界観に非常にフィットし,それでいて大河原メカらしさを残したすばらしいものになったとのこと。
この「アーティストシグネチャー」シリーズは今後も続き,例えば,アメリカの有名なアーティストに声をかけて,戦艦のデザインをしてもらうなどということも視野に入っているとのことだ。
ただし,やりすぎは禁物で,ゲームとしてのバランスをうまくとる必要があるという。戦車がすべて架空のものでは別のゲームになってしまうので,実在の面白い車両を用意したり,技術ツリーを拡充したり,バランス調整をしたりということはもちろん今後も,続けていく。
実際,最新のアップデートではソ連の軽戦車を追加しているが,こちらの評判も良いという。
ちなみに,新しい課金アイテムとして,九五式軽戦車ハ号向けの専用スキンがリリースされている。こちらも架空のもので,「ガールズ&パンツァー」の知波単学園仕様だ。専用スキンをリリースすることは,まったくないわけではないが例が少なく,コラボものとしては初になる。こちらの評判が良ければ,新たなスキンも考えてみたいとのことだった。
続いて話はe-Sportの件に。アップデート3.1で,「World of Tanks Blitz」にトーナメント機能が追加される。これにより,プレイヤーが気軽にトーナメントに参加できるようになるというものだが,大会もすでに考えられている。アジアやアメリカなど各地域でオンライン予選が行われ,それに勝ったチームが集合して,オフラインで対決するという大規模な大会だ。これは,コチョール氏らにとって,2016年最大のチャレンジになるという。すでにコミュニティには話が通っており,日本を含めた多数のクランが参加することになる。
詳細については公式サイトで9月17日に発表される予定だが,同日,ブースイベントとして,「World of Tanks Blitz」初のスペシャルエキシビションマッチが開催されるなど,e-Sportsに向けての取り組みが本格的にスタートしたという雰囲気だ。
コチョール氏は,とくにアジア代表として日本のチームが決勝トーナメントに出てくれることを願っている。ちなみに,「World of Tanks」の最終決戦の地は例年ポーランドだが,ワルシャワの人にはちょっと悪いけど,「World of Tanks Blitz」は観光的に,“もっと有名な都市”で決勝トーナメントが行われる予定とのことだ。
以上,多数の発表が行われて驚きの「World of Tanks Blitz」。ミニ「World of Tanks」というイメージを払拭して強い存在感を放つことができるか,コチョール氏らの挑戦はこれからも続きそうだ。
「World of Tanks Blitz」公式サイト
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