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結のほえほえゲーム演説:第218回「ミステリーゲーム好きのきっかけだったかも? 『古畑任三郎』の再放送を観て感じたこと」
突然ですが,テレビドラマ「古畑任三郎」の再放送が行われていたのをご存じでしょうか? シリーズ1作目「警部補・古畑任三郎」の第1話放映から30周年を記念して放映されていました。
子どものころ夢中になった作品なので,私も「懐かしいなぁ〜」と思って視聴していたのですが,いま観ても非常に面白くて,思わずサブスクに登録してシーズン1〜3まで全話見ちゃうくらいドハマりしました。最初に観たのが二十数年前なので,どう物語が進むか忘れていることも多く,新鮮な気持ちで楽しめましたね。
(1)犯人による犯行→(2)警察到着→(3)古畑登場→(4)古畑と犯人の駆け引き→(5)古畑が推理を披露→(6)犯人の自白……というのが基本の流れで,これが46分の間に描かれます。再放送でドラマを観て,そのすさまじいテンポ感にあらためて衝撃を受けました。
「最初に犯人が分かっている状態」で始まる,倒叙ミステリーといわれる形式ですね。ドラマであれば「刑事コロンボ」が有名で,ゲームで例えるなら「逆転裁判」シリーズでしょうか。
思い返すと,私が最初に好きになったミステリーは古畑任三郎かもしれません。そして,それがミステリーゲーム好きになったきっかけのひとつかなとも感じます。
久しぶりに観て驚いたのは,殺人のトリックが大胆すぎることです。ラジオDJが生放送中にスタジオの近道を使って全力疾走して犯罪を実行するとか,妻を殺害した夫がアリバイ作りのため,誘拐犯を自作自演しながら警察と共に行動するとか……いやいやいやいや大胆すぎるだろ!! とツッコミたくなるシチュエーションが多々登場します。携帯電話が普及していない時代ならではな,予想不可能なトリックも面白いです。
時代を感じる描写はほかにもたくさんありまして。会議室,人の部屋,ラジオブース,ところかまわずスパスパ煙草を吸っている!!! 私も週2でラジオの生放送をやっている人間ですが,いまや放送局のスタジオは全面禁煙が当たり前。場所によっては喫煙室すらないですからね。
古畑が部下である今泉に強くあたったり,脈絡なくおでこを叩いたりする描写も,現代だと問題視されるかもしれません。古畑と今泉みたいな関係性はもう描けないのかなぁ。ついついそんなことも気になってしまいます。
古畑任三郎に登場する女性たちも良いですよね。
私の好きな回は第1シリーズ6話目の「ピアノ・レッスン」なんですが,木の実ナナさん演じるピアニストの井口 薫が最高なんです。人を殺めてその罪を認めたあと,古畑は「あのとき弾けなかった曲を今ここで弾いていただけますか?」と尋ねます。そんな古畑に対して,「わきまえなさい」とぴしゃりと答えて静かに退場するんです。けっして許されない罪を犯した人間ですが,その凛とした佇まいには痺れました。
そして,そんな古畑任三郎のなによりの魅力と言えば,主人公である古畑任三郎のキャラクターでしょう。
飄々としてつかみどころのない,マイペースな全身黒ずくめの刑事。「あなたが犯人です!」みたいな直接的な言葉を使わず,会話中にさり気ない罠を散りばめながら,犯人をじわりじわりと追い詰めていくところがたまらないですね。
ハッタリなのか? 証拠を掴まれてるのか? と疑心暗鬼になりながらも平静を装う犯人を見ていると,なんだか犯人側と同じ気持ちになってハラハラドキドキしちゃいます。
犯人の視点に立って楽しめると言えば,「金田一少年の事件簿 星見島悲しみの復讐鬼」を思い出しますね。主人公が犯人という斬新なゲームで,少しでも手順を間違えるとすぐに金田一に気付かれちゃうんですよ。あれは名作です。
初めてドラマを観た数年後,私は「かまいたちの夜」や「ダブルキャスト」といったミステリーやサスペンス系のゲームを手に取ることになります。冒頭でも伝えましたが,やはりそれは古畑任三郎との出会いがあったからじゃないかなぁと思います。
みなさんの好きな回はどれですか? ぜひ教えてください。
■■結(女優・タレント)■■
女優・タレントとして活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ,数多くのゲーム番組でMCを務め,イトキチ(糸吉)の愛称で親しまれている。
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