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懐かしさを感じたら今すぐプレイすべき! 「メイプルストーリーM」運営チームにあれこれ聞いてみた
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印刷2019/04/13 12:00

インタビュー

懐かしさを感じたら今すぐプレイすべき! 「メイプルストーリーM」運営チームにあれこれ聞いてみた

 2000年代に大ヒットを記録し,今なお多くのファンに愛されているPCオンラインゲーム「メイプルストーリー」(以下,PC版)のスマホ版として,ネクソンの新作アプリ「メイプルストーリーM」iOS / Android。以下,メイプルM)が,2019年4月10日から正式サービスを開始した。

 どこか懐かしい横スクロール型の名作アクションRPGを,スマートフォン上で再現したメイプルMは,温かみのある姿かたちのキャラクターや,ゆるくて愉快な世界観はそのままに,スマホでも遊びやすいようなチューニングが施されている。
 しかし,メイプルの魅力をモバイルで再現するため,ネクソンはどのような方策を立てたのだろうか。今回は運用本部/運用部 ゲーム運用チームの河上朋弥氏にインタビューし,メイプルMにまつわるあれこれを聞いてみた。

ネクソン 運用本部/運用部 ゲーム運用チームの河上朋弥氏
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メイプルのスマホ版が,満を持して登場


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。平成を代表するオンラインゲームのひとつとも言えるPC版メイプルですが,スマホ版も平成のうちにリリースされましたね(編注:インタビュー当日,新元号が発表された)。
 今回はメイプルMについてお聞きしていきますが,まずは自己紹介を兼ねて,河上さんが本作にどのように関わっているのかを教えてください。

河上朋弥氏(以下,河上氏):
 メイプルMのプロジェクトマネージャーを務めています,河上です。私は日本版のメイプルMの運用全般を見ている立場です。

4Gamer:
 PC版は16年選手となりますが,まだまだ最前線で現役を張っていますから,メイプルMも両チームで連携を取りつつといった感じでしょうか。

河上氏:
 そうですね。メイプルMの重要なミッションのひとつは,メイプルM自体の成功はもちろんですが,PC版と連携しつつ“メイプルストーリー”というブランドを盛り上げていくことにありますので。

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4Gamer:
 では,メイプルMの特徴をざっくりと教えてください。

河上氏:
 いつでもどこでもメイプルワールドに接続して,友達やギルドメンバー,パーティメンバーたちと気軽に遊べる,スマホ向けMMORPGであることです。世界観とプレイフィールはPC版を忠実に再現しつつ,遊びの面はモバイル環境に最適化しているのが最大の特徴と言えます。
 一方で,ストーリーはメイプルMの完全オリジナルなので,既存のプレイヤーさんでも新鮮な気持ちで楽しめるはずです。

4Gamer:
 PC版の楽しさをそのままモバイルへ,と。

河上氏:
 見た目はもちろんですが,かわいらしいキャラクターを操作して,華麗で多様なスキルを駆使して戦うゲーム性も魅力です。ソロはもとより,ほかのプレイヤーさんと協力したり,競争したりする要素も盛りだくさんで,長く遊べる仕上がりになっています。

4Gamer:
 先日テストプレイをさせていただきましたが,見た目からして“メイプルそのもの”で驚きました。

河上氏:
 実は,グラフィックスにPC版の素材を使っているところもあるんですよ。PC版をプレイしたことのある人なら,記憶をたどりながら遊んでみると面白いかもしれません。

4Gamer:
 SNSの反応を見ても「懐かしい」なんてワードが飛び交っていますし,メイプルに思い入れがある人の注目度はかなり高そうですね。

河上氏:
 PC版を現役で楽しんでいる人,さまざまな理由で休止している人にも,モバイルで気軽に触れるこの機会に遊んでもらいたいですね。

4Gamer:
 ちなみにPC版は多くのプレイヤーに16年も愛されてきましたが,その理由はどこにあると分析していますか。

河上氏:
 私自身,学生の頃にメイプルを遊んでいましたが,面白いゲームであることは言わずもがな,長期サービスでも開発や運営が情熱を失わず,進化を続けてきたところが大きいのかなと感じています。
 そんなPC版に携わっていたスタッフの一部には,メイプルMのチームに加わってもらっています。皆さんに安心してプレイしてもらうためにも,一同で尽力していきます。

4Gamer:
 PC版からのベテランスタッフもいるなら,昔からのファンも安心かもしれません。

河上氏:
 最初はPC版からのベテランスタッフと,スマホ版からの若手スタッフとで“ゲーム運用的なジェネレーションギャップ”の議論も活発でしたが(苦笑)。今では十分に意識を共有できています。

4Gamer:
 より良いものを提供するためですから。いい喧嘩だったとしておきましょう(笑)。

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やり込み要素は満載も,自分のペースで遊べるように


4Gamer:
 メイプルMは経験者には「あのメイプルです」と説明すれば済みますが,初めてメイプルブランドに触れる人のために,ゲームサイクルをお教えいただけますか。

河上氏:
 はい。メイプルMはプレイヤーさんが自分だけの物語を紡ぎながら,自分なりのゲームサイクルで遊び続けられるタイトルです。キャラクターのレベルを上げて育成していくのはもちろん,キャラをオシャレに着飾ったり,友達とまったり会話するだけでも楽しめる,そういうゲームであることがウリです。
 なかでもコミュニティを大事にしているので,ギルド専用の部屋「ギルドバンケット」の中では,チャットをしているだけで経験値をもらえたりします。

4Gamer:
 周回や効率のためではなく,仲間と時間を共有するための場所なんですよね。そのあたりは「古き良きMMORPGの面影が残っている」と,嬉しく感じる人も多そうです。

河上氏:
 小さなスマホの画面でもチャットがしやすいよう,かつ居心地が良いよう,インタフェースにも凝っています。また,仲間と一緒にプレイできる「ボス遠征隊」や,ソロでプレイするのに最適な「ミニダンジョン」,ランキング機能なども存在するので,ガチのやり込みも大歓迎です。

4Gamer:
 ゆる〜く仲間とワイワイ楽しみつつ,自分のやりたいことが見つかったら,トコトンやり込む。そういう風に遊べると。

河上氏:
 ええ。幅広い年代のプレイヤーに楽しんでほしいので,あらゆるニーズにお応えできるようになっているんです。

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4Gamer:
 メイプルに思い入れがある人は,すんなり入り込めるのは間違いなさそうです。その反面,昨今の美麗な3Dグラフィックスのスマホゲームを遊んでいるような層へは,どのようなアピールを試みるのでしょう。

河上氏:
 実のところ,PC版は今でも若年層の新規プレイヤーが入ってきている状況ですので,そこまで心配していないんです。独特なグラフィックスもそうですが,ドット調の2D横スクロールゲームというのもそう多くはありませんから,根本的な部分に興味を持ってもらいやすいかなと考えていて。そのため我々は,遊んでくれた人を飽きさせないコンテンツ作りを優先してきたんです。

4Gamer:
 ゲームにも流行やトレンドはありますが,グラフィックスを含めたゲーム内容が“定番”になっていることで,意識せずとも戦えるのだと。

河上氏:
 もちろん,たくさんの新しい人にプレイしてもらいたいのですけどね……(笑)。しかし,PC版経験者は日本でも数百万人といった規模でいらっしゃいますので,まずは思い出を持っている人たちをいかに満足させるか,それを課題として取り組んでいます。

4Gamer:
 PC版の経験者がどのような印象を持っているのかは,把握されているのでしょうか。

河上氏:
 何度かアンケートをやりましたが,ビジュアルのイメージに引っ張られてか,ライトな感覚でプレイしている人が多い印象でした。だからメイプルMでも,やり込めるゲームだけど「チャットだけでもゆる〜くワイワイ楽しめるよー」の面を伝えていきたいです。

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4Gamer:
 MMORPGとしても,メイプルには独自の文化があると感じています。オープンチャットや拡声器で広範囲のプレイヤーにメッセージを送ったりとか,当時はトレードによるゲーム内アイテムのやり取りもありました。メイプルならではの風景ってありますよね。

河上氏:
 拡声器などのコミュニケーション機能はメイプルMでも再現していますので,ご安心ください。それとゲーム内の文化はプレイヤーの皆さんが決めることなので,我々から宣言はしませんが……いわゆる詐欺行為などはできないよう,セキュリティ関連にはかなり気を使っています。プレイヤー間での直接取引もできないようになっており,アイテムは取引所システムを通じてやり取りしてもらいます。
 ただ取引所は,弊社のモバイルタイトルでは初の搭載となりますので,楽しんでいただけるものと思っています。

4Gamer:
 ちなみに「人気度を買う」とかはできるんですか?

河上氏:
 すみません。メイプルMにはPC版と同じ人気度のシステムはないんですよ(笑)。ですが後日,PC版とは別の仕組みで実装予定です。

4Gamer:
 そうなんですね。良し悪しじゃなくて,名物風景の「横するな」とか,メイプル特有の……なんていうのでしょう,エネルギッシュさですかね。そういうところを締めないと散らかるし,締めつけると味気がなくなるしで,調整には気を配ったものかと思いますが。

河上氏:
 おっしゃるとおりです。とはいえ,現状では実際にどのような環境になっていくのかがシミュレートしきれていませんので,ローンチ後はプレイヤーの皆さんの動向を探って,最善の運営をしていければと思っています。

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オフラインでも自動戦闘で経験値を稼げる


4Gamer:
 今回はスマホということで,やはり自動戦闘は必須だったという認識でしょうか。

河上氏:
 そうですね。メイプルMは長くプレイしてもらうことを前提に設計されていますが,スマートフォンを持ちながら手動で長く遊ばせるのには無理がありますし,果たしてそれが楽しいのかどうなのかも別の話です。これは開発初期から,ずっと議論されてきた課題だったと聞いています。
 結果として,単純な自動モードにするのではなく,手動と自動とをプレイヤーさん自身が選べるようにし,どちらも拒否感なく利用できるシステムとしました。

4Gamer:
 メイプルMの自動戦闘には,どのような特徴があるのでしょう。

河上氏:
 ゲームに接続していなくても自動で戦ってくれるのが最大の特徴です。例えば友達とパーティを組んで狩りをしているときにゲームを終了しても,ゲーム内ではパーティ狩りが継続しています。ただ見ているだけの従来の自動戦闘から一歩進化した,そんな風に感じ取ってもらえるはずです。

4Gamer:
 アプリを落としても,ほかの人から見たらゲーム内で戦っていると。

河上氏:
 そうですね。ゲーム終了状態のキャラクターには,専用マークが付くようになっていますが。

4Gamer:
 電車の移動中でも経験値を稼げるわけですね。これは嬉しいかも。

河上氏:
 出勤前に自動戦闘を設定して,アプリを落として,帰宅後に経験値とメル(ゲーム内マネー)を手に入れる,なんてこともできます。忙しい人でも手間をかけずにキャラクターを育成できるようになっています。

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4Gamer:
 キャラクターのレベルは現在,どれくらいまで上げられるのでしょう。

河上氏:
 ローンチ時点ではレベル200までです。当然レベルが上がれば,メイプルらしくダメージ表示が無数にポップアップする爽快なバトルを楽しめるようになるので,できれば頑張ってレベルを上げてみてください。

4Gamer:
 ダメージの桁がどんどん上がっていくのが,メイプルにおける育成の醍醐味ですからね。

河上氏:
 あと,バーチャルパットを含む手動用のインタフェースにもこだわっていて,手動操作でも遊びやすいよう工夫しています。ボス遠征隊などの一部コンテンツは手動でチャレンジしてもらうので,操作テクニックを覚えることも決して無駄になりません。

4Gamer:
 それにしても,PC版の膨大なスキル数をスマホ向けに最適化するのは,結構大変だったのではないでしょうか。

河上氏:
 スマホ向けにシンプルな操作にしつつも,メイプル特有のバトルの面白さを損なわないようにする。目指すところは明確でしたが,スキル表示や使用可能数などは,相当な試行錯誤を繰り返したようです。

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4Gamer:
 あと,先行するグローバル版と日本版とで違いがあるのかも気になるところですが。

河上氏:
 ビルドは各国で別々ですので,基本的には日本向けのバランス,日本専用の装備体系などで進めていきます。これによって,日本だけのIPコラボやバランス調整を実施できるようになっています。

4Gamer:
 開発に日本用ビルドを作ってもらっているんですか。豪勢です。

河上氏:
 日本のプレイヤーの皆さんからの要望に的確に応えるためには,日本専用のビルドで運用したほうがやりやすいと判断しましたので。
 それにチャットがしやすい縦画面モードや,キャラクターの感情表現のエモートなど,日本向けに作ってもらった仕様がグローバル版に逆輸入されるケースもあったりして,相互で高め合える作りとも言えるんです。

4Gamer:
 キャラクターの感情表現って,あの顔の表情が変わるやつですよね。メイプルには欠かせない機能だと思います(笑)。
 それに日本独自となると,有名どころとのコラボなどを期待しても?

河上氏:
 すでに公表していますが,有名なYouTuberさんとのコラボを皮切りに,人気作品とのコラボもいくつか進めていきますので,ご期待ください。それとPC版との連携も行っていきます。

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4Gamer:
 PC版との連携というと,現役プレイヤーは気になるところかと思いますが,どのような内容になるのでしょう。

河上氏:
 プレイデータの連携はサービス開始時点では対応しておらず,当面は「メイプルMでミッションを達成すると,PC版でアイテムがもらえる」といった感じでやっていきます。その先で,さらにもっと掘り下げていければと考えています。
 また,メイプルMはモバイル向けではありますが,ゲーム内に「GM(ゲームマスター)」を用意できる仕組みになっておりますので,GMイベントなどもできないかなと検討しているところです。

4Gamer:
 スマホゲームでGMイベントですか。なかなか聞かないので面白いかもしれません。
 さて,メイプルといえばネクソンの看板タイトルといっても過言ではないと思います。その看板の一角を担う本作に御社は今後,どれくらい力を注いでいくのでしょうか。

河上氏:
 相当です。相当な力を入れていきます。おそらく,このインタビューが掲載されるあたりから本格的に,さまざまな広告物も目にするようになるかと思います。

4Gamer:
 我々の世代でメイプルの広告と言えば,“TVCMのあのワード”を真っ先に思い出します……(笑)。

河上氏:
 具体的なことはまだ言えませんが,それも期待していただければと(笑)。当時TVCMでメイプルを知ったけれど,PCがなくてプレイできなかったなんて人は,スマホさえあればメイプルMを遊べてしまうこのご時世に,ぜひともプレイしてみてほしいです。

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4Gamer:
 期待しております。そのほか,ローンチ後の展開で話せることはありますか。

河上氏:
 メイプルMはローンチ時点で「10種類の職業」を実装していますが,こちらはPC版と同様,さまざまな新職業を追加していきます。それ以外の新規コンテンツやアバター,コラボアイテムなども定期的に提供していくつもりです。

4Gamer:
 PC版の16年分の職業を踏まえると,当分はネタに困ることはなさそうですね。メイプルMのオリジナル職業などを予定されていたりは?

河上氏:
 オリジナル職業は,まだ予定はないです。いずれはそうしたメイプルMならではの要素も入れていきたいですが……そうなってもPC版に逆輸入されそうな気が(笑)。

4Gamer:
 確かに(笑)。さて,そろそろお時間となりますので最後に,4Gamerの読者に向けてのメッセージをお願いします。

河上氏:
 メイプルMは日本サービスに向けて,さまざまなコンテンツを用意し,PC版とも一味違う内容に仕上げられました。今後はグローバル版にはない,日本のプレイヤーさんだけが楽しめるコンテンツなども検討していきますので,アップデートを楽しみに待ちながら,メイプルMの世界を楽しんでいただけると嬉しいです。

4Gamer:
 分かりました。本日はありがとうございました。

──2019年4月1日収録

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