企画記事
グッズやトピックで振り返る,ポケモン&ポケモンカードゲームの20年
ビデオゲームに関してはこちらに掲載された記事などを参考にしていただくことにして,ポケモンカードゲームの方が20周年を迎えるこのタイミングでは,カードを含むポケモン関連商品の思い出やときどきのトピックを,筆者の手持ちのグッズなどから振り返ってみたい。
私事の話を最初に書くのもなんだが,実は筆者が初めて遊んだポケモンは,「ダイヤモンド・パール」だ。つまり,ビデオゲームとしてポケモンを遊んだ2006年からまだ10年ほどという,新参者である。ではそれまでポケモンを知らなかったのかというと,そうでもない。初めてゲームを遊ぶ時点で,どのポケモンがなんという名前で,どういうタイプで,どのレベルで,どう進化するのか。どうやって出会えるのか程度は理解していた。
ゲーマー視点ではなく,コレクター視点での話となることは予めお断りしておきたいが,1996年に登場してから20年,超一線級のIPとして君臨し続ける「ポケモン」の魅力を考えるときに,筆者自身が辿ってきたこの事実はそれなりに重要なポイントでもある。ゲームを知らない人でもゲームの内容を知っているゲーム。それがポケモンなのだ。
ポケットモンスター「赤・緑」の時代
(1996〜1998年)
げんきでちゅか? げんきでちゅう!
ということで,1996年に発売されたポケモン「赤・緑」の頃の話から進めていこう。任天堂イチオシのタイトルとして2月27日に発売されたポケットモンスターだが,ゲーム自体はそこまで目立ったスタートを切ったわけではなかったらしい。グッズ・関連商品も発売前後の記憶には乏しく,おもちゃ売り場でも,この2月の段階ではポケモン商品が大々的に並べられていたという記憶がない。筆者の記憶の最初に現れるポケモンは,ほかの大多数の人同様にミュウ。これが96年夏頃だが,この段階でポケモンは,ブームと呼んでいいほどの話題性を持ったタイトルとなっていた。最初に手に入れたポケモンアイテムは1996年夏の終わりから秋口に買った,バンプレストのカードダス「ポケットモンスター Part1/Part2」だった。
メディアファクトリーからはこの年の10月20日,「ポケットモンスターカードゲーム」という名前のトレーディングカードゲーム(TCG)が発売された。日本のTCG史上で,もっとも古い部類に属し,現在も日本のTCG市場で遊ばれ続けている現役のカードゲームである。
ポケモンを進化させ,相性を考慮に入れて戦うという,ゲーム「ポケットモンスター」のルールはカードゲームのデザインにしっかりと落とし込まれており,コロコロコミックなどでもプロモーションカードが付録になって,ゲームのポケットモンスターより,むしろこちらのカードゲームの方が大きく取り上げられる機会は多かったように思う。
表ではよくわからないが… |
ひっくり返すと裏面が違うことがわかる。英字のカードは何かのキャンペーンでもらった復刻版,ピカチュウのはセブン-イレブンポケモンフェアのジュース付属商品。リザードンのカードはブースターパック収録の復刻版 |
カードもの以外で集めていたのが,天田印刷加工のポケモンシール列伝だった。紙素材のノーマルシール4枚+特別な素材のシール(キラシール)1枚の5枚入りで,特別な素材のシールにはレアリティに何段階かあるという構成だった。とりあえず当時すごいなと思ったのは,たとえばミュウツーを手に入れたとしても,そのシール(角プリズム)に「まだまだつよいミュウツーがいるぞ」とか書かれていた点だ。「ミュウツー,伝説のくせにそんなにいていいのか?」などと思っていたのだが,映画「神速のゲノセクト ミュウツー覚醒」ではそんなにいていいことが明らかになっている。シールを貼ったアルバムとかもちゃんと持っているはずだが,しまった場所が分からなくて持ってこられなかった。
こちらは角プリズムのシール列伝。最終進化系と伝説に「まだまだつよい」の文字がある。ピカチュウだけは例外で,最終進化ではないがまだまだつよいのがいる |
ポケモンシール列伝の,いわゆるあたり系シール。右上のピカチュウが1弾で真ん中のピカチュウは2弾。左真ん中のミュウが1弾の最終番号で左下のミュウはアルバム付属シールだ。最強のカモネギ。。。 |
発売翌年となる1997年に話を移そう。この夏,JR東日本で大型の企画「ポケモンスタンプラリー '97」が開催された。ある程度の詳細は過去に書いたスタンプラリー攻略記事あたりをサクッと呼んでいただければと思うが,とりあえずさらっと書いちゃうと,単にブームになったからというだけで,「JRのスタンプラリー」という企画が通るとはちょっと思えなかったりする。
ポケットモンスターの開発スタートは発売をさかのぼること6年ほど前,1990年のことだったと聞く。さまざまな方面での協力を仰ぎながら発売に至る前まで,そして発売後も,長い長い時間をかけて,任天堂やゲームフリーク,クリーチャーズが丁寧に道筋をつけてきた,考え抜かれ,練り込まれたタイトルだったことは,こんなところからも想像が付く。
なお,初回のスタンプラリー参加の動機について加えておくと,トレーナー認定証が欲しかった。これだけ。その後20年にわたってスタンプラリーを続けることになるとは当時,思ってもいなかった。
余計な方の話を最初に書いてしまったが,この年最大のポケモン・トピックはスタンプラリーではなくアニメの放映だった。4月からテレビ東京系列にて「ポケットモンスター」の放映が開始され,7月には前記のスタンプラリー開催と,ポケモンは前年以上に爆発的な広がりを見せることになる。グッズにも,ゲームの設定画ではなくアニメの設定画を用いるものが増えていた。
最初期の明治ポケモンチョコスナックのおまけであるポケモンゲットカード。属性もHPもあり,いちおうカードで遊べるようにもなっていた |
第2弾(?)には金の特別カードやアニメ登場人物のカードも。HP151アップのオーキド博士はチートレベル |
同年12月には,通称「ポケモンショック」「ポリゴンショック」などと呼ばれる出来事が起きた。アニメ番組を見ていた視聴者の一部が体調不良を引き起こしたと言われるものだ。この出来事はここから大きく2通りに分かれ,放映側では原因解明,再発防止のためのガイドライン制定と,その期間までのアニメ「ポケットモンスター」放映中止,そして現在もおなじみの「テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見てね」という視聴上の注意が生まれる。
もう一つの動きが,一部メディアの偏向報道に端を発する,ポケモンに対するバッシングだった。あらためて書いておくが,「ポケモンショック」の問題の核はテレビの視聴が体に与える影響である。一方で,バッシング推進者すなわち一部偏向メディア側の基本的な主張は「ピカチュウは危ない」「ポケモンは悪者」「子供はゲームしないで外で遊べ」。今思い返してもお話にならないレベルで争点がずれており,ポケモングッズのコレクターとしても,まるで納得いくものではなかった。冬の新東京国際展示場(現在の東京ビッグサイト)で有志が行っていた「ポケモンは悪くない!」という署名活動には,なので僕自身も署名を寄せている。
上記一つ目の問題は,1998年4月にガイドラインが起こされ,アニメのポケモンはお茶の間に戻ってきた。慎重を期すと言えば聞こえはいいが,当時,あからさまに自粛系の対処を重ねたことが,ポケモンの本来持つ利点・影響力と相まった結果が2つ目の問題を助長させたような面もおそらくはあるだろう。ただねぇ……,昨今の大企業が関わるコンプライアンス系の問題のお粗末な対応を鑑みるに,この時にポケモンに関わる各企業が施した対応は,神対応に近いと思うし,迅速さも極めて優秀だった。こういった問題解決の手順や経験はもうちょっときちんと理解され,業界に共有されていた方がいいんじゃないのか,そうも思っていたりする。
コレクション的なトピックで極めて大きいのは,6月に「ポケモン デコキャラシール」がおまけに付いたポケモンパンが第一屋製パン(第一パン)から発売されたことだ。こちらも現在まで続いており,2016年10月現在で弾数はもう150を超えている。
パンがらみで少し書いておくと,「ポケモン」という共通のキーワードでこの第一パンはタカラトミーやバンダイ,また,ナムコ系のゲームセンターとのコラボを行っており,昨今では特別なポケモンやゲームで役立つ道具を手に入れられる「ポケモンスクラップ」や,ポケモンカードゲームのカードなどが,デコキャラシールの代わりに付いている商品も発売されている。
この年の7月には,劇場版ポケットモンスター最初の上映作品となる映画「ミュウツーの逆襲」が公開されている。映画に関するいくつかのトピックは後の章に譲るが,観客動員総数が2015年の時点で7000万人を超える夏の風物詩はここから始まった。映画も毎年一人で見に行っており,親子連れやカップルばかりの場内でポツンと映画を見ている状況にはとりあえずもう慣れた。映画のパンフレットやチラシ,前売りの特典や公開劇場でのプレゼントなどもコレクションアイテムに含まれるだろう。
明治製菓からはシール入りのお菓子も発売されていた。裏をめくって当たりが出ると,というキャンペーンをやっていたが,コレクションしているものは裏をめくっていないので,当たり外れはわからない |
第2弾は四角くなったが,それぞれの属性ごとに分かれた背景は健在。イラストもすべて変わっている |
ポケットモンスター「金・銀」「ルビー・サファイア」の時代
(1999〜2005年)
ゲームタイトルでいうと「金・銀」「クリスタル」のほかに「ルビー・サファイア」「エメラルド」,初代リメイクとなる「ファイアレッド・リーフグリーン」が登場した,ゲームボーイアドバンスの時代がこの章で扱う時期の区分となるだろう。ポケモンカードゲームは無印から★付きのシリーズとなり,いろちがい(この弾のカードでは「ひかる○○」と表記された)などのカードも登場。2001年には裏面デザインを更新し,ゲーム連動要素を備える「ポケモンカードe」となり,2003年にはポケモンカードゲームADVへと移っていく。
シリーズになっている商品の話でいうと,カードダスは「金・銀(アニメ版)」や「アドバンスジェネレーション版」などがやっぱり相応のボリュームで登場。ポケモンシール列伝などは,どちらかというと高級化志向で広がりを見せ,ポケモンチョコスナックに付いていたゲットカードはいくばくかの変遷を経て,シリーズ途中(ルカリオの映画のあたり)からポケモンカードゲームのカードに切り変わった。同時期には,やはりカードの付いたハッピーセット商品がマクドナルドに登場している。
すごく高級っぽくなったシール列伝DX。ノーマルシールがカッパーメタリックで一つ上が透明,その上のレアリティのシールはホログラム加工である。ウインディの位置に他意はない |
ポケモンチョコスナックのシールは金銀バージョンでキンキラキンのホロに。けっこうまぶしい。ホロシールは角が擦れて薄くなっていくので,スリーブなどに入れる際にも注意しよう |
フィギュア系の商品にはいくつかトピックになりそうなものがあり,現在も続く「立体ポケモン図鑑」の初弾は2003年に登場している。おそらく同じ年だったと思うが,海洋堂から「ポケモンバトルフィギュア」が登場した。背景込みでけっこうな完成度で,このバトルフィギュア系のおまけが,2004年以降にセブン-イレブンのポケモンフェアで登場するほか,同時期にバンダイの「ポケモン フルカラーアドバンス」という,台座にポケモンのデータが付いたミニフィギュアも登場した。
コレクター目線での大きなトピックとなるのは,上記でも触れたが,2003年頃から夏に行われるようになったセブン-イレブンのポケモンフェアだろうか。
右がカードダス「赤・緑」の続編。151匹すべてに前回とは異なるイラストが使われ,カードにわざが表記されている。左はカードダス「アドバンスジェネレーション」のジラーチ |
明治製菓のポケモン チョコスナックには,ポケモンTCGのカードが付くように。この後,バトリオのオリジナルパックがおまけに付いた弾も登場する |
【コラム】ポケモンと4Gamer
「ポケットモンスター クリスタル」が発売された2000年,当時のDos/V magazineに連載されていたコラム型のゲーム記事「GAMERS' INDEX」を,インターネットサービスに広げて生まれたのが,4Gamer.netだった。割とニッチなPCゲーム専門サイトとしてその後を歩むこのゲーム情報サイトが,ポケモンを含むコンシューマ(コンソール)機器向けゲーム情報も扱うことになるのは8年後,アーケードタイトルを含むゲーム情報全般を扱う現在の形になるのはさらにその2年後,2010年のことである。
グッズ系に関してはいろいろなおまけ付き商品は多く発売されたが,なにしろこれ以前に生まれた商品(コレクターアイテム)が強力すぎて,新しいコレクターアイテムが出てきても,それらに勝てずに埋もれてしまったりする時代ではあった。
章のアタマでもちょっと触れたが,国外でのブームはすさまじかった……らしい(ポケモンセンターニューヨークのオープンは2001年)。らしいというのは,日本にいると空気としてそういうことを感じられないので。動画やSNSなどで,ある程度の空気を共有できることが一般化するのは,2006年から2008年頃なので,ここからさらに5年ほど後の話である。
ポケモンの世界展開に合わせて,海外商品の企画対応や,IPの模倣,任天堂の把握できないポケモン商品などが市場に氾濫する事態ともなっており,昨年末の記事にあるように1998年,ポケモンセンタートウキョーとともに設立されたポケモンセンター株式会社が,任天堂からライセンス関連の事業を継ぎ(株式会社)ポケモンとなったのがこの時期(商号変更は2000年)のことである。
何についていたか覚えていないPI-KAシール。たしかオレンジジュース商品で,メダルがついてるのもあったはず |
映画とゲームに寄った話で続けると,2003年に公開された映画「七夜の願い星 ジラーチ」で,特別なポケモンと引き換えができる引換券が採用されている(「ポケモンだいすきくらぶ」関連ページ)。……のだが,記事文頭にあるとおり僕が初めてポケモンのゲームを遊ぶのは,このさらに3年後のこと。2004年には次世代機ニンテンドーDSが発売されるが,この後に起こったDSブームや2006年に登場することになる「ダイヤモンド・パール」も含め,このあとのトピックは2006年 ニンテンドーDS Liteの発売を起点にしたい。
ポケモンカードゲームの途中に出てきたカードeリーダー対応カード。こちらはスタンプラリーの景品として配布された6種 |
各カードは属性ごとに色分けされているので一目でわかる。ゲームをやらない自分が属性や相性を理解していたのは,こういう色による見せ方を取っていたことが大きい |
ポケットモンスター「ダイヤモンド・パール・プラチナ」「HG・SS」「ブラック・ホワイト」の時代
(2006〜2012年)
2004年末に発売されたニンテンドーDSは堅実に売り上げを増やしていったが,その次期商品となるニンテンドーDS Liteの発売(2006年3月)に際して,パニックに近い品切れが発生し,品薄状態がしばらく続いた。原因はまぁ,今でいう転バイヤーたちの買い占めとかだったりもするのだが,それは置いといて。実はこの時期に,DS Liteを比較的買いやすかったのがポケモンセンタートウキョーだった。筆者はこの時期に初めてポケモンセンターでDS Liteを1台購入したのだが,遊ぶゲームを買い忘れ,DSは箱に入ったまま部屋に飾られていた。9月を迎え,新たに登場した2本のポケモンタイトル(「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」)を購入。この時にもう1台購入したDS Liteにダイヤモンドとパールを分けて遊び始める。初めてポケモンを遊ぶ時点ですでに,ハード2台運用,自分同士で通信交換という「ぼっちスタイル」なので,この辺に関しては多くのポケモンプレイヤーとは少し違ったスタートだったかもしれない。
2006年には期間限定の店舗としてポケモンセンターサッポロがオープン(正式オープンは2009年)した。先に書いている通りこの年の9月にはニンテンドーDS用ソフト「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」が発売となり,環境の変化も手伝って,2007年以降はポケモンセンター(トウキョー)に行く機会も多くなった。配信ポケモンなどが欲しくて出かけることもあったが,ポケモンセンターによく出かけた理由の一つに,期間限定のショッパー(買い物袋)がある。大したお買い物でなくても,このショッパーに入れてくれるので,「次のショッパー」が割と楽しみだったりもした。
【コラム】ポケモンと4Gamer
2007年に,ポケモンセンター第1号店であるポケモンセンタートウキョーは都内・浜松町に移転することになるが,それまでは他会社の間借りだった4Gamer編集部が初めての“自社”オフィスを構えることとなり,引っ越しをしたのが同じく2007年。場所は奇しくも浜松町だった。当時はポケセンまで徒歩6分くらいという環境であったことから,4Gamer編集部内では「Akiyamaどこ行った/ポケモンセンターです」問題がたびたび起こることになる。参考程度に付け加えておくと,その後,4Gamer編集部が現在の所在地に移転するのが2014年,ポケモンセンターメガトウキョーが都内・池袋にオープンするのが同2014年12月のことだ。
さて,2007年というのは,自分のコレクション的な意味合いでは赤・緑の頃に匹敵する大きな話題が重なった年でもある。最大のトピックはこの年から稼働した「ポケモン バトリオ」というアーケードゲームだ。1プレイで1枚排出されるパックは,金属のICチップが組み込まれたアイテム。これがコレクションとして魅力的だったのは,そのレアリティに応じてモンスターボール/スーパーボール/ハイパーボール/マスターボールという,ポケモンのゲーム内にあるボールデザインを採用していたことだった。その後,バトリオ0,バトリオVと引き継がれる中でボールデザインは消え,B/Wの2つのスピンパックに切り替わっていくことになる。バトリオは2012年に稼働終了。アーケードゲームのポケモンは「ポケモントレッタ」(2012〜2016),「ポケモンガオーレ」(2016年7月稼働開始)がその後を引き継ぐ。
つい先月(9月20日)に区切りとなる第50号が発売された雑誌「ポケモンファン」の創刊も2007年だった。ゲーム情報,アニメ/映画情報やアイテム情報,アパレル,料理など,広範囲にポケモンのトピックスを扱った,定期刊行物のポケモン専門雑誌である。最近は付録もけっこう豪華で,モンコレを始めとするポケモングッズなどを集めているコレクターであれば毎回,動向を気に掛けているのではないだろうか。雑誌絡みでは2010年に発行された「ポケモンぴあ」というコラボ雑誌が,いろいろな意味で話題となっていた。
不定期に登場するコラボ雑誌から「WE LOVE! Pokémon」を。付録のトートバッグは購入場所によって違うものが付いていた |
正直,ゲーム用途にはならないゲームカードが発売されたりするのも面白い。これはポケモンカードゲームが遊ばれている各国のピカチュウと,「こんにちは」の挨拶が各国語で書かれたプロモーションセット |
2009年9月には金銀のDSリメイク作品となる「ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー」,2010年には「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」が発売された。この後2011年に東日本大震災が発生,この震災で大きな被害を受けた東北圏に活力をもたらす意義を持って立ち上がったのが,2011年12月にオープンしたポケモンセンタートウホクである。この震災関連やpokémon with youなどとの関連性はわからないが,同2011年には現在の株式会社ポケモンの母体となったポケモンセンター株式会社と同名の会社が立ち上がっている(ポケモン会社情報ページ)。
【コラム】ポケモンと4Gamer
ポケモンセンタートウホクに関わる記事が,編集部内で話題となったことがある。原因となったのがこのリリース記事であった。記事の掲載日は2011年9月5日なのだが,実はこのIR情報がリリースとして各メディアに届けられたのは2011年9月3日,土曜日のことである。当時の4Gamerは土曜に記事の更新を行っておらず,この記事は月曜に回ったために,小さな情報として掲載されるにとどまった。この件からもうちょっと経ったあたりから,4Gamerの土曜日稼働体制が敷かれる。ポケモンのトピックは,4Gamerにとっても意外と無関係ではなかったりするのだ。
話が前後するが,2010年に「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」,2012年にはポケモン初の続編タイトルとなる「ポケットモンスター ブラック2・ホワイト2」が発売され,これらがニンテンドーDS最後のタイトル,そして2Dドット絵のポケモン最後のタイトルとなる。両作の狭間となる2011年には「ポケモン立体図鑑BW」というソフトが配信されているが,ここからすでに次作となるX・Yの歴史はスタートしている。立体図鑑に登録するためのARマーカーと呼ばれるコードが付いたシール商品や配布物がちょこちょこと出てきたので集めようかと思ったのだが,こちらは結局,何がどれだけ出ているのかが分からず,とん挫している。マーカー自体は現在もこちらで確認できるが,もうソフトが配信されてないかもしれない。そのほかコレクターのトピックとして大きいのは,ポケモンセンターでの発売となった全国図鑑メタルチャーム(の前身?)の登場だった。
バトリオとトレッタのパック。トレッタは昨年のピカチュウ大量発生イベントで配られたもので,写真ではわからないが,裏にはポケモンカードゲームのカードも入っている |
セブン-イレブンのポケモンフェアは,注意しておかないと瞬殺というアイテムが少なくない。近所のセブン-イレブンさんとは仲良くしておこう。写真は2009年のドリンク付属アイテム |
明治製菓のマーブルチョコに付いていたおまけシール。ブイゼルの背景はこれでいいのだろうか |
「X・Y」と「OR・AS」,そしてPokémon GOと3DS「サン・ムーン」へ
(2013〜2016年)
昔話の最後になるのはニンテンドー3DSタイトルとなった「ポケットモンスターX・Y」の時代。まぁ,新作を1か月後に控える2016年10月現在では「現世代のポケモン」の話なので,厳密に言うと昔話ではない。ゲームを中心とするポケモンは,「ブラック・ホワイト」からさらに進んで,実質インターネット併用の遊び方が普通となる時代に突入する。
X・Yではゲーム内で写真が撮れ,それをPGLで共有できる。ゲーム自体はOパワーを使えばレベル60前後(筆者は62)のガブ1匹でもエンディングまでゴリ押しで勝ち抜けるくらいの難度だった |
人間型の嫁+嫁ポケという反則的な組み合わせで話題となったセレナとフォッコ。これはX・Y関連商品で発売されたものなので,SERENAではなくHEROINEと表記されている |
PGL(ポケモングローバルリンク)では遊んだ内容が表示されるのだが,上から下までタマゴの画像が並んでちょっと愕然とする事態や,友達がいなくて結局誰にもページを公開する必要がない現実など,自分自身に属する様々な問題が露わになった。やはりゲームに関連する話では「ポケモンバンク」が登場。30×100ボックスという夢のような環境を提供してくれたが,個人的な状況では現在バンクのボックスは埋め尽くされ,新しいIDを取る必要性も考慮に入れなくてはならない事態となっている。ポケモンそのものの大きなトピックとしては,2013年に開催された「Pokémon Game Show」がある。
コップのふち子さん系のポケモンコレクション,PUTITTO。いちおう「全5種+シークレット」なので堂々と出していいのか迷ったが,ミニブックがこれなのでどうしようもない。こちらは箱入りの商品だが,カプセルガチャの商品でも同じものがある |
時代が時代だけに,このファスナーマスコット以外にも,ストラップやiPhoneケースなど,スマートフォンアイテムが充実してきた。これからゆっくりと,長く物を集めようという人にお勧めしたいのが,ご当地ポケモンのピンズ。これはポケモンセンターなどに置かれているカプセルガチャの商品で,今のところ東京,大阪以外確認できてはいないが,後々,割と壮大なコレクターアイテムになっていくはずだ。ご当地ポケモン関連では2016年に「ポケモンご当地 Pokétabi」というご当地グッズも登場している(関連ページ)。
買った後で自分がスマホを持っていないことに気付いたスマホのお布団。今でも入手可能なはず |
こちらも現在のカプセルガチャ商品。ポケモンご当地ピンズ。真ん中が大阪バージョンで左右は東京バージョンのもの |
本記事の原型を執筆していた時点では未配信だった「Pokémon GO」(iOS/Android)も7月22日に日本配信開始となり,先行配信されていた各国を含め,ブームを超えたムーブメントを巻き起こしている。コンビニで,ポケモンセンターで,ポケモンは本当に街中のいたるところで何かに出会えるブランドになった。過去に発売されていた,あるいはプレゼントされていた商品に手を出すのもいいし,今出ている商品をここから集め始めても全然いい。そう思い,こんな記事を書いてはみたが,これは「僕の経験」であり,史実に記される歴史というわけではない。取り上げて「いない」グッズやトピックの方が圧倒的に多いことは事実なので,最後にその点だけは付記し,取り上げられなかったものに対してはお詫びしておきたい。
さて,各トピックでは意図的に「メディアミックス」という言い回しを避けてポケモンを語ってきた。それは,ここまで読まれた方も薄々気付いているかもしれない。外から客観的に見ている限り,これまでポケモンの選んできた筋道は,少なくとも現在一般的に使われる「メディアミックス」という戦略とは少しズレて見えることがその理由だ。
ごく一般的にメディアミックスと呼ばれる戦略展開は,原作があるものを,その原作とは異なる複数のメディアでも複合展開させて,広範囲の知名度を付随させる形で進行するマーケティングの手法である。カギとなるのは著作物の管理と利益捻出方法,そしてIP(Intellectual Property)の核となるキャラクターや世界観と“その寿命”だ。
ゲーム,マンガ,アニメといったメディアへの展開そのものは,メディアミックスという言葉に置き換えてもそう問題なさそうだが,たとえばマンガの世界では,ポケモンが一身上の都合で進化したり,一度進化したポケモンが元に戻ったりするし,そういった世界観的におかしい事情が,後にたとえば「メガシンカ」という形で,今度はゲームそのものに反映されたりする。ゲームではその時々の「色」で登場する主人公は,アニメや映画では「サトシ」という固有の名前で登場し,世代をまたいで主人公である。ポケモンという不思議な生き物と人間とのかかわり,という部分だけは徹底している一方で,著作物管理の観点から見た世界観やキャラクターの使われ方といった部分は案外ゆるいのだ。
ブラインドパッケージ型の缶ケースコレクション。それぞれ「Pokémon time」「イーブイコレクション」という関連企画で登場したポケモンブランド商品の一つ |
現在進行形のコレクターアイテムから,シール系商品のおまけ2種。アルバム付きの商品が出ていたので,こちらのアルバムは容易に手に入った |
このゆるさは「ゲーム×ゲーム」「グッズ×グッズ」といった,“同一メディア間のメディアミックス展開”で「なんで?」と思うほどにうまく機能している。昨年末に掲載した岩田さん追悼記事で触れられている,「ポケモンというIPが長く愛されるため」の青写真という話などは,意外とこういう部分に絡んでいるのかもしれない。あくまで個人的な意見ではあるが,総じてキャラクター寿命を縮めることの多い本来のメディアミックス戦略より,もう一歩か二歩進んでいるものにさえ思える。
これをもうちょっと簡略な言い方であらわすと,「入れ子のブランド/入れ子のIP」(※)といった感じになるのだろうか。ポケモンは常にこの入れ子の構造を持っており,その時々に合わせて組み変え,さまざまな楽しみを作り出している。先にグッズで紹介しているメタモン顔のポケモンや,エルフーンのみがわり人形,ポケモンバトリオの初期の展開などは,こういった入れ子の組み合わせをキャラクターに反映させた例。入れ子の対象を「キャラ」×「キャラ」から「キャラ」×「遊び場」に変えるとポケパークやポケモンゲームショウ,ピカチュウ大量発生チュウなどのイベントに(参考までに「大量発生」は古くからポケモンのゲームに存在するトピック)なるわけだ。
新しい世代のポケモンゲームには新しいキャラクターが登場し,新しい時代には新しいゲームの遊ばれ方がある。もともとのキャラクターをリフレッシュさせたり,時代に合わせたりするための仕組みをこのような形で(しかもVG,CGともに)効果的に行うことで,キャラクターを飽きさせない。素晴らしい工夫だと思える。関係者にきちんと話を聞くような機会には恵まれないので,憶測でしか語れないあたりは申し訳ないが,本当にすごいことだよね,これ。
※普通に誰もが思い当たりそうな話なので,学術的にどの程度掘り下げられているのかと調べてみたが,文献を全然見つけられなかった(インターネット検索だと「二重ルータ」とかで引っかかって,そっちのIPじゃねぇよとツッコミを入れたりはした)。もし,該当する書籍,文献などに心当たりがある方は,国内海外を問わないのでぜひ教えてほしい。
最後の最後になるが,これだけグッズやイベントでポケットモンスターを楽しんでいた僕が,なぜ1996年当時,ゲーム「ポケットモンスター 赤・緑」を遊ばなかったのかを書いておこう。それはゲームで遊んでも,ミュウには出会えない,つまり151の図鑑を埋めることができないのがわかっていたからである。
ポケットモンスターという作品をブーム以上のものに押し上げた幻のポケモンは,ある者にとってはゲームをやらない理由にもなり得た。これはたぶん,ゲーマー視点からでは絶対にたどり着けない結論だろうなと,コレクターの視点で思っていたりする。願わくば,これから初めてポケモンを知る人たちも,きちんと自分の遊び方で遊び尽くせるタイトルであり続けられますように。ポケットモンスター,ポケモンカードゲームの発売20周年,おめでとうございます!
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