テストレポート
HW短評:Plantronics「RIG Surround」(3)音質傾向の確認とまとめ
まずはDolby Laboratries(以下,Dolby)の機能を無効化し,ステレオで音楽ソースを聞いてみるが,付属サウンドデバイス,そしてヘッドセットの基本傾向は,「重低音がっつり。それを補う程度にプレゼンス(※)から高域が強調されている」という,ここ1〜2年の,割と高品質なヘッドセットにおける流行のものだ。定位は非常に分かりやすく,優秀といっていい。
※2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,メーカーは腕の見せどころとなる。
古いタイトルであるがゆえに「点」で音が鳴る「Call of Duty 4: Modern Warfare」で確認すると,Dolbyらしいというか,プレイヤーからして音場は横が広く,前後はそれほど広くない印象がある。前方は左右の定位が少し甘いものの,センターは「ど真ん中」をしっかり再現できている。また,ヘッドセット自体が持つ素性のよさもあって,プレゼンスの帯域が強すぎず,銃声などが耳に痛く感じることはない。
高域はしっかり再現されているため,音源の定位は左右だけでなく後方も分かりやすい。音源移動もきちんと把握できる。ゲームプレイの場合,銃声で顕著な金属質の変調音と残響がどう聞こえるかは重要なポイントだが,残響音は「静かなシーンで目立つ程度」に抑えられている一方,変調音は,はっきり分かるくらい付加されていた。
どちらかというと歪みが少なく,フラットより少し高域が強め。総じてゲーム試聴においてDolbyの機能を有効化することによるマイナス面は少なく,プレゼンスが耳に痛くないのが印象に残った。
最後にマイク特性だが,下にグラフで示したとおり,公称値の100Hz〜10kHzに近い特性が得られた。かなり直線的かつ右肩上がりの周波数特性になっているためか,録音された声は非常にクリアだが,この特性とマイク位置のため,大声だとブローノイズが出やすい。
もっとも「そんな場所があるなら」というエクスキューズは必要で,その点がRIG Surroundの抱える大きなハードルということになりそうだ。
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PlantronicsのRIG Surround製品情報ページ(英語)
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