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ボードゲームで振り返る,東西ドイツの半世紀。統一25周年記念のゲームコレクション展示に,ゲーマーの魂を見た
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印刷2015/10/31 00:00

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ボードゲームで振り返る,東西ドイツの半世紀。統一25周年記念のゲームコレクション展示に,ゲーマーの魂を見た

 今や世界的な広がりを見せているドイツゲームだが,その爆発的な拡散のきっかけには,1995年の「カタンの開拓者たち」(以下,カタン)であることは論をまたない。しかし「カタン」以前については,あまり知られていないのが現状だ。
 単に95年以前という話なら,もちろん競りゲームの傑作である「モダンアート」(Reiner Knizia,1992年)もそうであるし,Klaus Teuber氏自身も1988年に「バルバロッサ」という粘土を使った傑作ゲームを発表している。でもそれ以前は? 親から子,子から孫へと受け継がれてきたドイツのボードゲーム文化は,決してここ20年ほどものではないはずだ。

 今回のSPIEL’15では,ドイツ統一25周年を記念した,東西ドイツのアナログゲームコレクションを展示する企画が行われていた。1945年から1995年までのアナログゲームがずらりと並べられた光景はなかなかに壮観で,同時にとても興味深い。
 今回は4Gamerは,幸運にもこの企画の主体であるEuropean Games Collectors Guild(ドイツ語)のRudolf Ruhle氏にガイドしてもらうことができたので,その内容を写真を中心にお届けしていこう。これら貴重なコレクションが,何を意味しているのかも付記しておくので,ボードゲームファンはそちらもあわせてチェックしてみてほしい。

案内してくれたRudolf Ruhle氏。このイベントはEuropean Games Collectors Guildという団体の主催だが,展示品にはそのメンバーであるRudolf Ruhle氏自身の私物も結構混ざっているとのこと。しばしば嬉しそうにコレクション自慢をしてくれたのが印象深い
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European Games Collectors Guild公式サイト(ドイツ語)



ドイツが二つの国だった時代のボードゲーム達


東西ドイツで,それぞれ“大きな差が見られなかった”のが「宇宙開発」をテーマにした作品群だ。旅行がテーマだったりすると,東ドイツにおいては様々な制限がかかったり(行き先が必然的に東ドイツ国内やソビエト国内に限られる)といったことがあるが,宇宙であれば自由に使うことができたというわけだ
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こちらは1950年に東ドイツで作られた「Mensch argere Dich nicht」という作品。英語で言うと「Take it easy」。そのルーツは第1次世界大戦頃にまで遡ることができ,同じタイトルのゲームは西ドイツにもあったという。ライセンスはどうなっていたのか気になるところだが,当時はそんなことは気にせず,(主に東側が西側のゲームを)コピーするのが常だったとか
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こちらは東ドイツで有名だった「Sandmannchen」というカードゲームのシリーズ。西側では「Sandmannchen Quartett」という名前だった。戦争・技術・エコ・自動車など,様々なモチーフのカードゲームが,東西で作られていた時代だ
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東ドイツでしか作られなかった特殊なカードゲームがこれ。建国20周年・25周年・30周年記念カードゲームである。が,どうやら一部の作品は政治的に問題があったようで,廃棄されてしまったという。ここに展示されているのは,廃棄を惜しんだ工場作業員がポケットに忍ばせて持ち帰ったという,非常に貴重なものだ
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映画や芝居のパンフレットを利用したゲーム,自動車メーカーがPR用に作ったゲームは主に西ドイツのものだが,実は東ドイツ側にも少ないながら同様のものが存在した。写真の作品は,東ドイツの航空会社だったインターフルークが宣伝用に作っていた「SUPER CODE」なるゲーム。完全にただのマスターマインドである。これ以外にも,動物園のプロモーション用ゲームなどが展示されていた
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東ドイツでは,西側の商品の輸入が厳しく規制されていた。が,手に入らなければ自力で作ってしまえるのがアナログゲームの強み。その成果の一つが,こちらの「自家製モノポリー」
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モノポリーは戦前から存在したゲームであり,コピーを作るのも容易だったと思われる。こちらはさらに一歩進んで,「西側にはこんなゲームがあるらしい」という情報を元に作られた作品。ルールからなにから手作りの逸品で,政体や社会はどうあれ,いつの世もゲーマーはゲーマーなのだと思い知らされる
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なにかと西側のゲームを模倣してきた東ドイツが,ついにそれを断念したのがこちらのシリーズ。ゲームボードに電子パーツが使われており,この手のゲームは東側には極めて少ないとのこと
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スポーツゲームは,今も昔も変わらぬ人気を誇っている。写真はベッケンバウアーが冠についたサッカーゲームだが,こちらは当然西ドイツの作品
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こちらは東ドイツで作られたスポーツゲーム。タイトルの意味は「メダルがほしいぞ!」といったところか。このようなゲームは教育の場で利用されており,そしてこの「教育用ゲーム」というジャンルは,東ドイツのボードゲーム文化にとって,極めて重要な位置を占めていた
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西ドイツで作られた相場を扱ったゲーム。当然といえば当然だが,株式や相場といったものをテーマにしたゲームは,東ドイツには存在しない
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一方,東ドイツにも貿易をテーマにしたゲームは存在する。面白いことに,旅行ゲームでは表現の幅が制限される(事実上国外旅行は考えられない)一方で,貿易ゲームにおいては全世界を巡るようなタイプのゲームが生まれている
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最後に,ちょっと変わった歴史を持つゲームを紹介。この「Der Bunte Wurfel」(直訳すると“カラフルなキューブ”)という作品が最初に作られたのは1957年の東ドイツ。以後,定番ゲームの一つとなったとのことで,1990年(つまり東ドイツ最後の年)にも製造が確認されている。東西ドイツ統一後の1992年には再生産も開始され,今は東西を問わず多くのドイツ人に愛されるタイトルとなっている
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European Games Collectors Guild公式サイト(ドイツ語)

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