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D&D50周年に沸いた「Gen Con 2024」会場レポート。新作や企画で賑わう現地の模様を写真と共に紹介
Gen Conの規模や歴史,また開催を前日を控えた盛り上がりなどは,先に掲載した記事で紹介したので,本稿ではいよいよ本番を迎えた現地の模様を,写真を交えながらお伝えしていく。
北米最大のアナログゲームイベント「Gen Con 2024」が開催中。お祭りの予感に満ちていたゼロ日目,現地インディアナポリスの様子をレポート
現地時間2024年8月1日から4日までの4日間,米インディアナ州インディアナポリスのインディアナ・コンベンションセンターにて,アナログゲームイベント「Gen Con 2024」が開催中だ。本稿ではその開催前夜,お祭りの予感あふれる“イベント本番ゼロ日目”の様子をお届けしてみたい。
「Gen Con」公式サイト(英語)
幅広いジャンルのゲームや関連グッズが大集合
さまざまな企画展示やゲーム大会,トークイベントなどが催されるGen Conだが,多くの参加者がまず期待するのは,やはり新作が集まる展示即売ブースだ。世界中のアナログゲーム企業が軒を連ねるエキシビットホールには,10:00の会場オープンから多くの人が詰めかけ,買い物に勤しんでいた。
取り扱われている製品のジャンルも多種多様だ。ボードゲームにカードゲーム,TCG,ミニチュアゲーム,テーブルトークRPGといったゲームはもちろんのこと,イラストレーターの原画を展示・販売するコーナーや,ダイスやトレイなどのサプライ製品,コスプレ用の革鎧や刀剣類を扱うお店などなど,幅広いニーズに応えるようにブースが立ち並ぶ。
そうした新製品の中でも今回の目玉と言えるのは,かねてより登場が予告されていた「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)の最新ルールブック「2024 Player's Handbook」だろう。一般販売に先駆けての先行販売,かつ3000部限定ということで,多くの参加者から注目を集めていた。また併設されたプレイ会場では,早くも新ルールを使った試遊イベントも開催されていた。
会場内で多く見られたテーブルトークRPG向けダイス販売ブース。色とりどりのダイスに目移りしてしまう |
今年発表された新作ミニチュアゲーム「WARCROW」。ミニチュアゲームとして有名な作品以外でも,コンポーネントをミニチュア化したボードゲーム作品が少なくなかった |
AEGの新作,キノコを育てるボードゲーム「Under Grove」。拡張セット含めて250万部という驚異的な売り上げをたたき出した「ウイングスパン」作者の新作だ |
ラベンスバーガーの「LORCANA」の新拡張が早くも発表に。昨年のGen Conで長い購入待機列を作ったいわく付きの作品 |
日本企業の出展は6社。日本発コンテンツを題材にしたゲームも多数
世界中から集まった出展企業のうち,日本からは6つのブースが出展を果たしている。
ボードゲームではオインクゲームズ,ホビージャパン,そして5社による共同出展となるJapan Pavilionのブースがそれだ。
Japan Pavilionは今回が初出展とのことで,話題作「真・女神転生 THE BOARD GAME(仮)」のイクリエほか,Asobision,グループSNE,FrogGames,妄想ゲームズ☆がそれぞれの作品を展示/販売していた。
TCG関連ではバンダイ,ブシロード,ポケモンが2023年に続きブースを構えていた。新作では鳥山 明氏の漫画「SAND LAND」のカードゲーム「SAND LAND TACTICAL CARD BATTLE」がバンダイブースで先行販売。そのほかの各社も,それぞれ大規模なプレイブースを構えて,大会を開いていた。
D&D50周年を振り返る記念展示「D&Dミュージアム」
Gen Conと共に歩んできたといって過言ではないD&Dが今年で50周年を迎えるということで,会場では新製品の発売のみならず,さまざまな記念展示やトークイベントが開催されていた。そのうちD&Dミュージアムは,同作の50年間を出版物で振り返るという展示で,貴重な資料が数多く展示され,来場者を楽しませていた。
D&Dの原型となったウォーゲーム「Chainmail」や,オリジナルD&Dの初版ボックス,初期のGen Conで配布された小冊子の現物を確認できたほか,当時のプレイ風景を再現した展示も。もちろん現行の第5版に至るまでの歴代の書籍も網羅されていて,その歴史の長さに自然と思いを馳せてしまう。同時に,これらが現在まで続くGen Conの礎になったと思うと,アナログゲームファンとして感動もひとしおである。
未体験ジャンルへの扉を開く,多様な参加型イベント
最後にGen Conというイベントの独自性について掘り下げてみたい。北米最大・最古のアナログゲームイベントというだけでも大きな存在感があるGen Conだが,その最大の特徴は,アメリカのコンベンション文化に根ざした「楽しみ方の幅広さ」にこそあると筆者には感じられた。
有名な大規模アナログゲームイベントには,Gen Conのほかにもドイツの「Spiel Essen」やフランスの「Festival International des Jeux」,日本の「ゲームマーケット」などがあるが,いずれもその主旨はゲームの展示,販売,試遊がほとんどだ。しかしGen Conの楽しみ方はこれに止まらない。
Gen Con公式サイトに,「参加者の中には参加型イベントに出席したり,一日中ゲームをしたりするばかりで,エキシビットホールに現れない人もいます」という一文があるように,とにかく参加の幅が“豊か”なのだ。
会期中に開催される参加型イベントは1万5000にものぼり,そのコンセプトもバラエティに富んでいる。例えばミニチュアゲームのペイント教室があり,人気ゲームの大会があり,あるいはテーブルトークRPGの遊び方指南があり。それら一つ一つは珍しいものではないかもしれないが,これだけ一堂に会すれば壮観ですらある。それが新たなジャンルとの出会いにもつながり,作り手と受け手の距離の近さにも通じる,実にアメリカらしいイベントと言えるのではないだろうか。
「Gen Con」公式サイト(英語)
著者紹介:Im Karton
海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」をはじめ,アメリカ「Gen Con」,フランス「Festival International des Juex」などを訪問。昨年はSPIEL Essenに行きたい旅行者向けのガイド「Essen Spiel Guidebook 2023」を同人誌として刊行。
Omochicard
Im Kartonメンバー。訪問時は旅行の計画や日本へボードゲームを送る宅配便の発送などを担当。海外ボードゲームが大好き。好きなボードゲームは「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」や「Kemet: Blood And Sand」。
- 関連タイトル:
ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版
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