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「初音ミク Project DIVA Future Tone」のメディア向け説明会をレポート。コンセプトは“永久保存版”と“圧倒的物量”
「初音ミク Project DIVA Arcade」公式サイト
コンセプトは“永久保存版”と“圧倒的物量”。本体アプリケーションは無料でプレイ可能
Project DIVA FTは現在,アーケードで稼働中の「初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone」(以下,Project DIVA AC)をPlayStation 4向けに最適化したリズムアクションゲームだ。本体アプリケーションとなる「Prelude」に加え,「Future Sound」と「Colorful Tone」という追加コンテンツ2本が配信される。
「Prelude」は無料でダウンロード可能だが,豊田氏によると体験版という位置づけではなく,無料であっても製品版であるという。実際,「Prelude」単体で2曲のリズムゲームやモジュールなどのカスタマイズといった基本的な要素が楽しめる。
追加コンテンツの「Future Sound」と「Colorful Tone」は,多数の楽曲を収録したパック。いずれも価格は3900円(税別)だ。
「Future Sound」には「初音ミク -Project DIVA-」&「初音ミク -Project DIVA-F」シリーズの楽曲を中心とした127曲,「Colorful Tone」にはProject DIVA ACや「初音ミク Project mirai」シリーズの楽曲を中心に95曲が収録されており,購入することで豊富なラインナップが楽しめるというわけだ。
2本の追加コンテンツの収録楽曲を合わせると,220曲以上という大ボリュームにのぼる。豊田氏は「まず,『Prelude』で遊んでもらって,面白いと思っていただいたら追加コンテンツを購入してほしい」と狙いを述べていた。
豊田氏は,Project DIVA FTで最も大事にした点の1つとして,100万人のユニークユーザーに愛されたアーケード版のゲーム性や,2007年以降の初音ミクの歴史を凝縮した楽曲,60フレームの美麗なグラフィックスなどを挙げ,Project DIVA ACの価値をすべて収録した「永久保存版」を目指したことを明かしてくれた。
さらに,Project DIVA ACの約6年間の稼働期間に増えていった200曲以上の楽曲,そして300着以上のモジュールを収録した大ボリュームについて,ユーザーにとって「コストパフォーマンスが高い」ものに仕上がっているとアピールした。
シリーズ初の「髪型カスタマイズ機能」を収録。カスタマイズ要素もグレードアップ
ここから,豊田氏が実機をプレイしながらの説明となった。
まず紹介されたのは,新要素である「髪型カスタマイズ機能」だ。従来の作品では,キャラクターの髪型はすべてモジュールに紐付いていたが,Project DIVA FTではモジュールとは別に髪型のみの設定が可能になっている。
設定画面では,キャラクターを回転させてさまざまな方向から眺められる。このとき,物理演算によって髪が揺れる姿も楽しめるという。
大崎氏は,この機能を収録した理由として,「初音ミク Project mirai 2」の「服だけチェンジ」が高評価を受けたので,そこから着想を得たと述べていた。
さらにProject DIVA FTでは,キャラクター6人のカスタマイズ機能が実装されている。これは,Project DIVA ACでは3人までだった機能を拡張したもので,最大6人のキャラクターが登場する一部のPVで,どのキャラクターをどの衣装で登場させるのかを設定できる。
豊田氏によると,「体験会での評判が良かった」とのこと。参加したプレイヤーの中には,6人とも「雪ミク」のモジュールを着せた初音ミクに変えて楽しんでいた人がいたそうだ。
楽曲の好きな箇所から練習できる「プラクティス」を搭載。リズムゲーム初心者も安心だ
そのほかでは,シリーズ初となる「プラクティス」の収録に注目したい。これは,リズムゲームの楽曲を自由に反復練習できるモードだ。
楽曲のアタマからはもちろんのこと,好きな箇所を指定して苦手なポイントに絞って練習することも可能。ボタンを1回押すだけでリスタート可能なので,テンポよく練習できるのも嬉しいところだ。これなら,リズムゲームに慣れていないプレイヤーも安心だろう。
やりこみ要素としては,1本のライフゲージで複数の楽曲の連続クリアに挑戦するという高難度の「サバイバルコース」が搭載。それぞれ難度が設定された10コースがあり,1つのコースは5曲または10曲で構成されている。各コースのスコアはオンラインランキングに対応しているので,全国のプレイヤーとハイスコアを競い合える。
なお,オンラインランキングは通常のリズムゲームにも対応している。もちろん,すべての楽曲が対象で,順位は3939位まで登録されるという。
そして,楽曲のPVのみを流せる「PV鑑賞」モードを搭載。歌詞表示の有無も自由に設定できるうえ,一時停止も可能となっている。さらに,Project DIVA ACで好評なPV中のフォト撮影機能が強化されているという。
当然,PlayStation 4のシェア機能でもスクリーンショットを撮影できるが,Project DIVA FTでは1ボタンで撮影可能で,ローディング画面の壁紙として設定できる。あらゆる部分を自分なりにカスタマイズしたい,という人におすすめだ。
なお,前述の「髪型カスタマイズ機能」と「サバイバルコース」を楽しめるのは,追加コンテンツを2本とも購入したプレイヤーのみなので,注意してほしい。
新規プレイヤーのためのサポートも充実
最後に豊田氏が紹介したのは,新規プレイヤーのためのサポート機能だ。
シリーズ初登場となる「キーコンフィグ機能」では,リズムゲーム中のメロディアイコンに対応するボタンを,自由にカスタマイズできるようになっている。たとえば,「同時押し」の操作を1つのボタンに割り当てれば,かなりプレイしやすくなるだろう。
さらに,難度HARD以下の楽曲では「同時押しサポート機能」が頼もしい。同時押しに対応するボタンを表示してくれることに加え,ボタンの種類が間違っていても数が合っていれば,ライフが減少しなくなる機能だ。もちろん,それぞれを有効にするかどうかは選べるので,自分に合ったプレイが楽しめる。
また,リズムゲーム中のメロディアイコンの表示も,従来の[△/□/×/◯]ボタンを含む5種類の中から切り替えられる。方向キーのみ,または方向キーとボタンを組み合わせた表示も選べるようになっている。まさに至れり尽くせりといったところだろう。
以上が大崎氏と豊田氏のプレゼンテーションの内容だ。その後,両氏への質疑応答の場も設けられたので,その内容をお伝えして本稿の締めくくりとしたい。
――Project DIVA FTを開発するに至った経緯を教えてください。
大崎 誠氏(以下,大崎氏):
アーケード版は2010年6月23日に稼働を開始しました。Project DIVA FTの発売日から,ちょうど6年前ですが,そもそもは「初音ミクのジュークボックスを作りたい」と考えたのがきっかけでした。そのアーケード版の3Dモデルが,初音ミクのライブで使われるなど,さまざまな広がりを見せています。
しかし,一般論として,いつかはゲームセンターから筐体がなくなる日が来ます。だからこそ,Project DIVA ACの歴史を残したかったというのが本音です。
――開発時にこだわった部分は?
大崎氏:
昔とは違い,今ではダウンロードデータが数十GBのゲームが当たり前になっています。それくらいのボリュームをちゃんと収録したいということ,そしてやるなら最も綺麗な状態のゲームを届けたいと考えました。ゲーム画面はアーケード版に似ていますが,実は細かな設定画面も含めて,すべて描き直しています。
それから,表示テーマを切り替えることができます。「Future Tone」「Future Sound」「Colorful Tone」では別々のテーマカラーになっていて,それぞれの購入状態に合わせたテーマが使えます。こうした点が所有欲を満たしてくれるものになっているのではないかと。
豊田 勝氏(以下,豊田氏):
Project DIVA FTの「サウンド設定」では,これまでアーケード版で使っていたサウンドをすべて切り替えられるようにしています。本当に細かいところですが,こういったこだわりはかなり入っていますね。
大崎氏:
現代的なゲームの作り方ではないのですが,あとから仕様がどんどん追加されました(笑)。とにかく歴史を残したかった,というのが最大のこだわりです。
豊田氏:
すべてを作り直したと言いましたが,同じものをそのまま使った部分は一切ありません。完全に新作を作っているのと一緒です。操作設定にもこだわっていて,PlayStation 4のコントローラ(DUALSHOCK 4)はBluetooth接続なので,どうしても無線接続による遅延が発生しますが,その対策も行っています。これの調整も結構大変でした(笑)。
――追加ダウンロードコンテンツの予定はありますか。
大崎氏:
まだ収録していない楽曲がありますし,アーケード版でもさらなる楽曲追加を予定していますので,おそらく何回かに分けてダウンロードコンテンツを配信していくことになると思います。
豊田氏:
モジュールもまだまだありますから。詳しくお伝えできませんが,段階的にやっていくつもりです。
――「Prelude」の収録楽曲を選んだ理由を教えてください。
大崎氏:
無料配信のものに楽曲を収録するということは簡単ではないのですが,その趣旨に八王子Pさん,kzさん,ぼーかりおどPさんが賛同してくれたことで実現しました。収録曲はそれぞれのタイトルでフラグシップとなるものや,個人的な思い入れという観点から選んでいます。
豊田氏:
開発初期にアーケード版のプレイヤーにアンケートをお願いしたのですが,回答者に若い世代が多く見られました。だから,Project DIVA FTは大ボリュームになるけれど,コンテンツを分けることで単体の価格を安くしたいと考えたんです。
追加コンテンツを2本に分けた理由は,同じ曲を買い直すことに抵抗のある人はいるだろうと。そこで,これまでの家庭用版の楽曲を中心に集めた「Future Sound」と,アーケード版の楽曲が多い「Colorful Tone」に分けました。ですが,「Future Sound」の楽曲もアーケード版の3Dモデルで再現されることで,また違った見え方になると思います。
まずはどちらか1本を購入していただいて,面白いと思ったら翌月にもう1本も買ってもらう。そうした形で,Project DIVA FTを広めていきたいですね。
大崎氏:
本音を言えば,もっと上の価格設定にしたいですよ(笑)。しかし,多くのプレイヤーに支持していただいているアーケード版を残したい,という感謝の気持ちで頑張りました。
――プレイヤーにメッセージをお願いします。
豊田氏:
Project DIVA FTは,初めてProject DIVAシリーズに触れるという人も十分に楽しめる内容です。興味を持たれたら,まずは無料の「Prelude」を遊んでください。これで,すべてが分かると思いますので,よろしくお願いします。
大崎氏:
Project DIVA FTが入っているPlayStation 4が愛おしくなってくる,そんな所有欲を満たせるような作品にしたつもりです。ぜひ「Prelude」をダウンロードしていただければ,と思います。決して期待を裏切らない作品です。
――どうもありがとうございました。
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