連載
余剰Xboxワイヤレスコントローラーを活用するためにApple TV 4Kの第2世代と第3世代を買ってApple Arcadeで遊んでいろいろと考えた話(「買い物Surfer」第12回)
もう9か月ほど前になるが,Xbox Series Sを抽選販売で購入した。「Xboxワイヤレスコントローラー」(純正)とのセットで。友人か何かが家に遊びに来たとき,一緒にゲームでもする流れになったとき,コントローラが一つだとかわりばんこで遊ぶしかない。しかしコントローラが二つあれば対戦したり協力したりしながら遊べるだろうし,セットで買っても問題なかろうという判断だ。そういえばWiiを買ったときにも同じことを考えてWiiリモコンの予備を購入したはいいが,誰かが家に遊びに来ることはとくになかったし,そもそも家に人を招くという発想がなかった。そんなことを思い出して一瞬迷いもしたが,せっかく抽選に当たったのだからと買ってみた。後悔はしていない。Xbox Game Passはいいものだ。
Xboxワイヤレスコントローラーを活かす最高の方法
それがApple TV 4K
しかしこうなると,使うあてのない余剰Xboxワイヤレスコントローラーの有益な使い道を考えるしかない。前提として筆者は,マルチペアリングが可能なワイヤレスイヤホンであっても,一つの端末につき一つのイヤホンで使いたいタイプの人間であることをお伝えしておきたい。結果,イヤホンが増えてしまい,どの端末とどのイヤホンを組み合わせていたのか,たまに混乱するので困る。
そんなときにふと,Apple TV 4KでXboxワイヤレスコントローラー(やDUALSHOCK 4,DualSense)を使用できることを思い出した(※10月24日に配信がスタートしたtvOS 16.1以降ではJoy-Conも対応)。Apple TVでApple Arcadeなどのゲームをプレイするにあたって,あのリモコンだけじゃ厳しかろう。何らかのゲームパッドを用意したほうが遊びやすいのは想像に難くない。つまりXboxワイヤレスコントローラーを活用したい自分にとって,Apple TV 4Kは必要なものなのだな……(すでに所有しているiPhoneやiPadと組み合わせることもできるけど)。と,主客転倒気味の気付きを得たため,今夏にApple TV 4K(第2世代)を購入。
そしてあれこれいじりながら(Appleの公式サイトに記載されていた「あなたのリビングをパワフルに進化させる方法です」などの文言をいじりながら)この原稿を書いていたが,どうもうまくまとめきれず悩んでいたところ,今月になって発売されてしまったのがApple TV 4K(第3世代)。SoCがA12 BionicからA15 Bionicに変更されたうえ,ファンレスになって小型軽量化。HDR10+にも対応(対応するTVを所有していないが)。にもかかわらず価格は前モデルよりお安くなっており,これはもう買うしかない!(つらい)
そして買ってしまったのは,ストレージ容量が64GBのWi-Fiモデル(税込み1万9800円)ではなく,128GBのWi-Fi + Ethernetモデル(税込み2万3800円)。ゲームをたくさんダウンロードしたいので。
Apple TV 4K(第2世代) | Apple TV 4K(第3世代) | |
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発売日 | 2021年5月21日 | 2022年11月4日 |
価格(発売時) | 32GBモデル:2万1800円(税込) 64GBモデル:2万3800円(税込) |
Wi-Fiモデル(64GB):1万9800円(税込) Wi-Fi+Ethernetモデル(128GB):2万3800円(税込) |
SoC | A12 Bionic | A15 Bionic |
メインメモリ | 非公開 | 非公開 |
無線LAN | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.0 | 5.0 |
有線LAN | 1000BASE-T | 1000BASE-T(Wi-Fi+Ethernetモデルのみ) |
外部インタフェース | HDMI 2.1 Type-A出力×1,RJ-45(2.5GBASE-T対応)×1,電源コネクタ×1 | HDMI 2.1 Type-A出力×1,RJ-45(2.5GBASE-T対応)×1(※Wi-Fi+Ethernetモデルのみ),電源コネクタ×1 |
公称本体サイズ | 約98(W)×98(D)×35(H)mm | 約93(W)×93(D)×31(H)mm |
公称本体重量 | 約425g | 約208g(Wi-Fiモデル),約214g(Wi-Fi+Ethernetモデル) |
iPhoneやiPadユーザーであれば
Apple TV 4Kがちょうど良いんだってば
ここであらためて説明しよう。Apple TVとは,Appleの動画サブスクリプションサービス「Apple TV+」や音楽サブスクリプションサービス「Apple Music」,そしてゲームサブスクリプションサービス「Apple Arcade」などを,TVで楽しめるようになるというデバイス。さらに,Apple TV用のApp Storeからさまざまなアプリをインストールすることで,「Netflix」や「Amazon Prime Video」,さらにはNASに保存しておいた動画なども視聴可能。同じネットワーク内にあるiPhoneやiPadのSafariで視聴している動画を,AirPlay 2でTVに表示させることだってできる。
ただまあ,Fire TV 4KやChromecast with Google TVでも似たようなことができるのも事実。Bluetoothでゲームパッドを接続し,ゲームで遊べるという点も共通している。しかもあちらのほうが安価である。しかしiPhoneやiPadとの連携性などを考えるとやはりApple TV 4Kのほうが使いやすい気がする(思い込みかもしれない)し,Appleの各種サービスというかApple Arcadeを利用しようとなったら,Apple TV 4Kを買うしかなかったので仕方ない。
そんなこんなで購入したApple TV 4Kをセットアップ!(4K,4K言ってきたわりに,キャプチャ環境の都合で2K止まりなのはご容赦いただきたい)
Apple TVでApple Arcadeを楽しむためには
ゲームパッドって必須かもしれない
実際のところどれぐらいのゲームが配信されているのか,Apple TV用App StoreでApple Arcadeタイトルがカテゴリ分類されていたため,目視で数えてみたところ,
・ストラテジー:9タイトル
・パズル:22タイトル
・アクション:36タイトル
・カジュアル:18タイトル
・ファミリー:15タイトル
・スポーツ:9タイトル
・アドベンチャー:30タイトル
・レーシング:11タイトル
・ロールプレイング:11タイトル
以上,合計161タイトルにのぼった(2022年11月21日時点)。
ちなみにiPhoneでプレイできるApple Arcadeタイトルも同様に目視で数えてみると,
・ストラテジー:13タイトル
・パズル:32タイトル
・アクション:42タイトル
・カードゲーム:7タイトル
・カジュアル:21タイトル
・ファミリー:17タイトル
・スポーツ:12タイトル
・アドベンチャー:34タイトル
・ボードゲーム:6タイトル
・レーシング:11タイトル
・シミュレーション:10タイトル
・ロールプレイング:14タイトル
の合計219タイトルだった(こちらも2022年11月21日時点)。
カードゲームやボードゲーム,シミュレーションは,Apple TVのApp Storeではカテゴリ分類されていないのだが,iPhone向けのApp Storeで確認してみると,Apple TV向けにもカードゲームは1タイトル,ボードゲームは1タイトル(ストラテジーと重復登録),シミュレーションは3タイトルが配信されていた。数が少ないからカテゴリ分類されていないのではないかと思われるが,なんとなくタッチ操作と相性の良いゲームはゲームパッド対応をする必要がないという判断が開発側にあっても不思議ではない気がする。また,縦画面固定のゲームに関してもApple TV向けには配信されていない。これはもう「ですよね」と言うしかなかろう。
そんなわけで,いくつかのゲームをプレイしてみたので,スクリーンショットとキャプションで超簡単に紹介していきたい。
■「FANTASIAN」(ミストウォーカー)
※Apple TV 4Kでのプレイにはゲームパッドが必要
「FANTASIAN」ダウンロードページ
■「悪魔城ドラキュラ - Grimoire of Souls」(KONAMI)
※Apple TV 4Kでのプレイにはゲームパッドが必要
「悪魔城ドラキュラ - Grimoire of Souls」ダウンロードページ
■「World's End Club -ワールズエンドクラブ-」(イザナギゲームズ)
※Apple TV 4K付属のSiri Remoteでもプレイ可能(ゲームパッドにも対応)
「World's End Club -ワールズエンドクラブ-」ダウンロードページ
■「ソニックレーシング」(セガ)
※Apple TV 4K付属のSiri Remoteでもプレイ可能(ゲームパッドにも対応)
「ソニックレーシング」ダウンロードページ
■「クッキングママ:ヌーベルキュイジーヌ」(Office Create Corp.)
※Apple TV 4Kでのプレイにはゲームパッドが必要
「クッキングママ:ヌーベルキュイジーヌ」ダウンロードページ
■「アメージング ボンバーマン」(KONAMI)
※Apple TV 4Kでのプレイにはゲームパッドが必要
「アメージング ボンバーマン」ダウンロードページ
■「NBA 2K23 アーケード エディション」(2K)
※Apple TV 4Kでのプレイにはゲームパッドが必要
「NBA 2K23 アーケード エディション」ダウンロードページ
話は前後するが,Apple Arcadeで配信されているApple TV対応タイトルは,全部が全部ゲームパッド必須というわけではない(必須のものもある)。Apple TV 4K(第2世代)やApple TV 4K(第3世代)に付属するSiri Remote(の,第2世代と第3世代。違いは充電ケーブルがLightningかUSB Type-Cかぐらい)だけでもプレイ可能なものは多いが……正直なところなんというかこう……。まあゲームをプレイするためだけに設計されたわけじゃないだろうから仕方のない部分もあるだろうし,Siri Remote(第1世代)やApple TV Remote(第1世代)と比べれば比較的マシにはなったと思うものの,思いどおりの操作ができずにイラッとするケースはちょくちょくある。そういう意味でも,余分に買っておいて良かったなぁXboxワイヤレスコントローラーを! というのは割と本気で思えた。
ちなみに月額1200円でApple Music,Apple TV+,Apple Arcade,iCloud+という四つのサービスを利用できるApple Oneというものもあり,筆者はこちらをサービス開始時(2020年10月30日)から利用しているのだが,実質Apple Musicしか使っていなかった。なのでこれを機にApple Arcadeにももう少し注目してみようと思った次第だ。とくに精神的にくたびれているときなど,「クッキングママ:ヌーベルキュイジーヌ」は無限に楽しめるのでオススメだ。
第2世代と第3世代は体感として大差はない
そして「クロノ・トリガー」は素晴らしい
SoCの違いに関しては,iPhone XS / XS Max / XRで採用されていたA12 Bionicと,iPhone 13シリーズや無印iPhone 14で採用されているA15 Bionicの性能差はそれなりにあるのだろうし,きっとApple TV 4Kにおいても何かしらの差はあると思われる(Apple TV用のベンチマークアプリがないので数値化できないのだが)。また,iPhoneの場合はSoCが新しくなることで写真や動画撮影時の品質が向上するという点がクローズアップされがちだし,「おお,新しくなるとカメラがすごいな!」と感動することもあるのだが,Apple TV 4Kにはディスプレイもカメラも搭載されていないので,そうした実感はなかなか得られない(余談だが,自撮りをしがちな方から「純正カメラは使わないからiPhoneを機種変して新機種にしても性能の向上を実感できない」という話を聞いてたまげたことがある)。
ゲームプレイに関しても,Apple Arcadeで配信されているものに限って言うなら,最新のiPhone以外でも動作するように調整されたものが配信されているということもあってか,SoCによる大きな違いは感じなかった。起動時間も(体感では)とくに変わらないし,第3世代では快適だが第2世代ではひどく処理落ちする……というようなこともない。もちろん今後,ハイエンド寄りのゲームが登場した場合,体感できるような差が生じる可能性はあるだろうが。
ともあれ正直,Apple TV 4Kの第2世代をお持ちの方は,現時点で第3世代を無理に買う必要はないと思う。小型軽量化もすごいはすごいが,そもそも小型だし据え置き前提のデバイスだしで,あまりメリットを感じられない気がする。ただ,Apple TVを使ったことのない方であれば,第2世代よりスペックアップしたのに価格は上がらないどころか相対的に下がった感のある第3世代を試してみてもいいのではないかと思う。本稿ではゲームの話に終始したが,iPhoneやiPadで視聴中の動画をAirPlay 2で大画面のTVに飛ばしたりできるのが,なかなか簡単かつ便利なので。
なお先日,4Gamerでは「iPhoneのアプリを“ゲームパッドで”遊んでみよう! タッチ操作よりも快適に遊べそうな10作品を紹介」という記事を掲載している。こちらはApple TV 4KではなくiPhoneにゲームパッドを接続して,App Storeで販売されているゲーム(もしくは基本プレイ無料+アイテム課金制のゲームを)遊んでみようという内容であって,本稿とは趣旨が異なるっちゃ異なるのだが,「クロノ・トリガー」(税込み1600円)はApple TV版も配信されており(ゲームパッド必須。iPhone版やiPad版を買ってあればそのままダウンロード可能),しかも現代の小型TVの大半はiPad Proの12.9インチモデルより大画面で楽しめるのでオススメ。Appleのプラットフォームで配信される買い切り型のゲームアプリで,OSのアップデートにもちゃんと対応し続けてくれている「クロノ・トリガー」は素晴らしい(そして珍しい)。ありがとう,スクウェア・エニックス。
「クロノ・トリガー」ダウンロードページ(App Store)
「Apple Arcade」公式サイト
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