プレイレポート
「イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-」プレイレポート。アクション性の高いゲームシステムと,一筋縄ではいかないストーリー展開が大きな魅力
本作は,「死から始まる運命の物語」という刺激的なキャッチコピーからも察せられるとおり,地球で謎の爆発事故に巻き込まれて死亡した12人の若者達が,見知らぬ惑星で目覚め,神々の思惑に翻弄されながら地球に「生還」する方法を求めて冒険するという,一筋縄ではいかないストーリーが展開されるRPGだ。今回は,その序盤を遊んでみたので,プレイレポートをお届けする。
「イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-」公式サイト
異星プロトレクサで繰り広げられる“死後”の戦い
ある日,東京で発生した謎の爆発事故。この事故により,主人公・九条 遼(クジョウ カナタ)と婚約者の神河蘭世(ミワカワ ランゼ),さらにその友人達を含む12人の若者が命を落としてしまう。だが,死んだと思ったカナタは見知らぬ場所で意識を取り戻し,そこで自分の名前以外のことを何も覚えていない謎の少女,月舘(ツキシロ)まゆらと出会う。
実はこの場所はプロトレクサと呼ばれる惑星で,地球で起きた爆発はプロトレクサの女神である「アマツメ」によって追放された邪神「ヤマトガ」が引き起こしたものだった。ヤマトガは12個に分断された自らの魂をカナタ達と同化させることで復活を目論んだのだが,そのことを察したアマツメが,ヤマトガの魂と融合して再び生を得たカナタ達をプロトレクサに召喚したのである。
ヤマトガの魂と同化したことで不死の肉体を手にし,邪神の力をもその身に宿すことになったカナタ達。彼らは同じようにプロトレクサに召喚された仲間と合流し,何としても邪神の復活を阻止しようとするアマツメと,自らの復活に有利になるよう働きかけてくるヤマトガ,さらには「シャサール」と呼ばれる第3勢力の思惑に翻弄されながら,地球に戻るための方法を探してプロトレクサを探索していく。
アクション性の高いと探索と戦闘システムが楽しい
本作では,アマツメが管理するプロトレクサの塔を拠点に,最大4人のパーティを組み,さまざまなクエストをこなすことでストーリーが進行する。ぶっちゃけ,カナタ達が今の状況に陥った責任はアマツメにも大いにあり,小一時間は問い詰めてやりたいところなのだが,彼らを地球に送り返す力を持つのもまた,アマツメのみ。しかし,アマツメはカナタ達をプロトレクサに召喚した際に力を使い果たしてしまっている。マジですか。
アマツメによると,力を取り戻すためには,そのエネルギー源でもある,人の想いや記憶が結晶となった「存在結晶」を集める必要があるのだという。そこでカナタ達は,危険な原生生物「ヴァリアント」や,シャサールの軍勢がうろつくプロトレクサの調査に乗り出すのだ。
メインクエストはこの存在結晶の探索に関連しており,仲間達の結晶を入手すると,過去の出来事や地球に残された家族の様子が描かれ,より深くそのキャラクターを知ることができる。
また,それぞれのキャラクターは最初から全員が知り合いというわけではなく,キャラクター間にはお互いの親密さを表す「感情度」が設定されている。感情度は,同じパーティで戦い勝利することで上昇し,親しくなると仲間との「絆イベント」が発生する。このほかに,プロトレクサでのちょっとした日常を描いたサブイベントもあり,そこではプロトレクサでの共同生活の様子などが垣間見られる。
フィールドは,トライエース作品ではおなじみのサイドビュー方式になっており,高低差のある地形をジャンプなどを駆使しながら探索していくのだが,それほどシビアな操作が求められるわけではないので,アクションが苦手な人でも心配は無用。上述した存在結晶をアマツメに渡すことで2段ジャンプができるようになるなど,キャラクターのアクションも強化され,同じフィールドでも少しずつ探索できる範囲が広がっていく。
フィールド上には敵シンボルが徘徊しており,これと接触するとバトルに突入する。本作のバトルは「アクティブチェインバトル」と名付けられ,○/×/△/□の各ボタンを押すことで,それぞれに割り当てられたキャラクターが攻撃を行うという方式だ。これもまた,トライエース作品のファンにとってはなじみのある戦闘システムだろう。
戦いではタイミングよくボタンを押すことでコンボをつなげることができ,たとえば最初のキャラクターで敵のガードを崩し,2人めの攻撃で宙に浮かせ,さらに3人めで追撃を行いつつ,最後に4人めが倒れた敵に魔法でとどめを刺すといったことが,直観的な操作で行える。
もちろん,タイミングが悪いと空振りしてしまうこともあるので,それぞれの技の特徴を把握してコンボを組み立てなければならず,このあたりはかなり研究のし甲斐がありそうだ。
一方,敵の攻撃に対しても同様であり,狙われているキャラクターに対応したボタンをタイミングよく押すことで防御を行い,ダメージを軽減させることができる。コマンドを入力したら,あとは見ているだけ,というよくあるターン制バトルではないので,戦闘中は常に気を抜けない。
また,各キャラクターは戦闘中に上昇していくゲージが溜まると,ヤマトガの魂を解放して強力な必殺技「デモンズ・グリード」を放つこともできる。ヤマトガの魂は12個の部位に分断されて,それぞれのキャラクターに宿っており,それを使ったデモンズ・グリードもキャラクターごとに異なるものが用意されている。ゲージがあれば,複数のキャラクターで連続して繰り出すこともできるので,ここぞという場面で敵にお見舞いしてやろう。
時間を忘れて引き込まれるストーリーに要注目
ゲームシステムについて,まだまだ紹介しきれない部分がたくさんある本作だが,それ以上に注目したいのは,やはりストーリー面だろう。
本作には,プロトレクサに召喚されたカナタ達を始め,アマツメやヤマトガ,シャサールの真祖である「ゼノビア」など,非常に多くのキャラクターが登場し,それぞれの事情を抱えながら複雑な関係を築き上げている。
ランゼはなぜ,地球での死の間際に,カナタに向かって「あなたと一緒に死ぬなんて……嫌」という言葉を残したのか。地球での記憶が一切ない,まゆらの正体は何者なのか。そして,仲間達の過去に何があり,地球に残してきた家族は今,どのように過ごしているのか。存在結晶を手に入れることで少しずつ明かされていく,キャラクター一人ひとりの物語には胸が締め付けられる思いがする。
カナタ達,人間サイドの事情一つを取っても,序盤のうちから畳み掛けるような展開の連続で,そこへアマツメやヤマトガ,ゼノビアなど,人知を超えた存在の思惑が絡み合いながら描かれていくストーリーから,とにかく目が離せない。
とくに,カナタ達の魂と同化し,声のみの存在となったヤマトガは,確かに自身の復活を企む邪神ではあるのだろうが,何かにつけてカナタ達の手助けとなるようなアドバイスをしてくれ,行動を共にするうちに親近感が湧いてきてしまう。
とにもかくにも,一筋縄ではいかないストーリー展開にぐいぐい引きつけられる本作。筆者としても,久しぶりに時間を忘れてのめり込んでしまったほどなのだが,話があまりにも複雑に入り組んでいるため,うまく整理して伝えきれないのがもどかしい。なので,最後にひと言だけ付け加えるとするなら,この冬,じっくりとストーリーを堪能できるRPGを探している人は絶対にプレイすべき,ということ。もちろん,RPGとしての完成度の高さは折り紙付きだ。本当に,オススメです。
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イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-
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