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[gamescom]後ろめたい過去を持つ悪人が主人公の新作アクションRPG「ELEX」のアルファ版をチェックしてきた
これまで,中世的なファンタジーの世界をベースした作品を手掛けてきたPiranha Bytesだが,今回のタイトルはSFをベースにしたものになっている。これについてパンクラツ氏は,「誰でも同じことの繰り返しは疲れるし,新しいことをやってみたいという欲望に駆られるもの」と話し,新作をSFものにするというのは,自然な成り行きだったことを強調した。
ゲームの舞台となるのは,隕石の衝突という大災害に見舞われた惑星Magalan,もしくは単に“マザーランド”と呼ばれる世界だ。当然ながら人類の文明はほぼ壊滅するわけだが,そんな状況下でも,文明の残骸から新しい社会が形成され始めていく,というポストアポカリプスなバックグラウンドが用意されている。
文明崩壊後の惑星は,恐竜やミュータント化した大型哺乳類,さらには文明を謳歌していた頃の残滓であるロボット達が跋扈する危険な世界になっているが,隕石は「エレックス」と呼ばれる未知なるパワーを秘めた鉱物をもたらし,残された人類の一部に特殊なパワーを与えていた。
そして特殊なパワーに目覚めた彼らは,「クレリック」というクラスになり,階級制度の頂点に立っているという。
もっとも,このエレックスに異存し過ぎると,肉体や精神にも大きな影響を及ぼすことになるのだが,それでもエレックスの需要は高く,ゲーム内では貨幣としても扱われているようだ。
パンクラツ氏によると,もともと主人公は,このクレリックとして人間を奴隷化することで頂点に立っていたという過去を持つという人物だが,何かの原因でエレックスを活用するパワーを失い,人間と同じ立場に落ちてしまうのだとか。
そんなところからゲームは始まるのだが,主人公は,自分の後ろめたい過去を言い出せるはずもなく,その経歴を隠したままで一般人とも交流し,さまざまなクエストや会話をとおしてモラルチョイスを行いながら,新しい人生を歩み始めることになるわけだ。
ゲームは,「Risen」シリーズでも使われていた自社製エンジン「Genome Engine」の大幅改良版で開発されており,ロードスクリーンを挟まないシームレスなオープンワールドが表現されている。さらに,エレックスのパワーを活かしたジェットパックを使って,岩山や森を飛び越えて移動できるという自由度の高い作りになっているのもポイントだ。
もちろん,遠方には強大なモンスターや対空攻撃を備えた敵もいるので,初めからマップの隅々まで行けるわけではないものの,レベルアップとジェットパックのアップグレードを重ねることで,少しずつキャラクターの行動範囲も広がっていくという。
戦闘システムやキャラクターの成長,クラフティングといった要素については,詳しく説明されなかったが,「ELEX」の世界にはたくさんのNPCが存在し,それぞれが独自の嗜好で生活しているという。
プレイヤーは,自分の持ち家を拠点に活動するのだが,この拠点には,仲間となって一緒に旅をしてくれるコンパニオンキャラクターも住めるのだと,パンクラツ氏は話してくれた。
Piranha Bytesは,すでに「ELEX」の開発を1年半ほど続けており,早ければ2016年末に発売される見込みだ。これまでに同社が培ってきたアクションRPGの開発ノウハウを受け継ぎつつも,これまでとは変わった世界観になっているだけに,パンクラツ氏ら開発者達もリフレッシュした気分で制作に取り組んでいるという。その新境地のなか,果たしてどんな作品が生まれるのか,大いに期待したいところだ。