プレイレポート
「ソニックトゥーン ファイアー&アイス」プレイレポート。炎と氷の力を駆使して,ギミック満載の島を突っ走れ!
当初,2015年冬の発売が予定されていたが,クオリティアップを図るために約10か月の発売延期を経て,このたび満を持しての発売となった。
4Gamerでは,本作の発売直前にディレクター中島玄雅氏による解説記事を掲載しているが,本稿ではその内容を踏まえつつ,製品版のプレイレポートをお届けしたい。ソニックシリーズの原点となる「ハイスピードアクション」に立ち戻った最新作の完成度は,いかなるものだろうか。
「ソニックトゥーン ファイアー&アイス」公式サイト
2Dソニックとしては異例。従来のアクションに加え,特殊なスキルアクションが展開
世界が異常気象に見舞われた原因を探るべく,極寒の島「コディアック・フロンティア」を訪れたソニック達。その調査中,彼らは大地の裂け目から噴射するエネルギーを浴び,謎の力を得るという場面で物語が始まる。
ソニックシリーズとしては若干突飛な印象を受けるが,アニメがベースになっていることを意識すれば,さほど違和感なく受け入れられる。なお,アニメは日本で放映されていないが,ゲーム内のテキストやボイスはすべて日本語だ。
ソニック達が手に入れた力というのが,氷を瞬時に溶かす「炎の力」と,逆に水を瞬時に凍らせる「氷の力」。氷は行く手を阻む壁として,水はダメージゾーンの上にあることが多いため,これらを乗り越えるときに,2つの力を駆使していくというわけだ。
スクリーンショットを見れば分かるとおり,ゲームシステムはいわゆる「サイドビューの2Dアクション」。ただし,2Dソニックシリーズとしては珍しく,たくさんのボタンを使用する。
[B]ボタンのジャンプやホーミングアタック(ホーミングアタックは全員使用可能)をはじめ,[L/R]ボタン(または下画面をタッチ)で炎と氷の力を切り替えるスタイルチェンジ,[A]ボタンは「エナービーム」を発射,[X]ボタンは各キャラクターのスキルアクションに割り当てられている。
そして,[Y]ボタンはソニック達を走らせる「ブーストダッシュ」となっている。従来のソニックシリーズは左右方向に移動をするだけで,自動的に最高速に達していたが,「ファイアー&アイス」では[Y]ボタンを押さないと最高速にはならないのだ。
これは,ソニックシリーズの操作に慣れていない人への配慮だそう。ソニック達の操作システムに「ダッシュのボタン」が追加されたということで,シリーズファンとしては少々驚きである。
とはいえ,一般的な2Dアクションの操作だと思えば,特別難しいわけではない。[Y]ボタンを押さなくても高速で移動可能なギミックもあり,ソニックらしいスピード感はまったく失われていない。ただし,操作に必要なボタンが多いことで,ゲームに慣れるまで若干戸惑ったのは事実だ。
アクションの広がりに応じて,ステージの構造もかなり凝っている。
スプリングを使った爽快なジャンプ,ダッシュパッドで最高速に達してからのループゾーンといったシリーズ恒例のアクションに加え,炎と氷の力を利用して乗り越えるギミック,ステージの探索要素など,1つのステージにさまざまな“遊び”が詰め込まれている。
このように贅沢なステージデザインでありながら,クリアするだけであれば,キャラクターをチェンジしなくてもゴールに辿りつける。さらにその道のりもさほど長くなく,ニンテンドー3DSというハードに合っている。
もちろんクリアしたステージは繰り返し遊べるので,タイムアタックに挑んだり,隅々まで探索してコレクションアイテムを探したりと楽しめる。決してボリュームが少ないということではない。
スピード感を損なわずに炎と氷のギミックを突破できる
ステージデザインについて感心させられたのが,炎と氷の力で乗り越えるギミックの配置だ。
ソニック達が使える炎と氷の力は,どちらかは常に発揮されており,それをスタイルチェンジで切り替える。行く手を阻む氷塊は,炎の力を発揮した状態(ファイアースタイル)で触れると瞬時に溶けてしまい,逆に氷の力を発揮した状態(アイススタイル)で水に飛び込むと瞬時に凍りつく。
操作に慣れれば,気持ちいいくらい直感的に切り替えられるようなるはずだ。何しろ,どちらも瞬時に“変化”が起きるので,正しくスタイルを切り替えていれば,スピード感を一切損なうことなく,ステージのギミックを突破できる。その達成感は格別だ。
もちろん先のステージに進むにつれて,短時間でスタイルチェンジを繰り返さないとダメージを受けてしまうポイントも出てくるので,そこはプレイヤーの腕の見せどころとなる。
なお,「ファイアー&アイス」ではリングを持った状態でトラップに落ちてしまうと,原則としてその場所から少し手前に戻されるという独自のルールになっている。リングがなければ当然ミスになるが,残機制限はなく何回でもリトライ可能だ。いちいち全体マップやタイトル画面に戻らなくていいのは嬉しい。
1人のキャラクターでクリアを目指すか,交代しながらステージを探索するか
プレイヤーキャラクター5人の特徴にも触れておこう。
5人のキャラクターには固有のスキルアクションが用意されており,それによりステージにある特定のルートを切り開いて探索できるようになっている。
前述のとおり,ステージをクリアするだけならば,スキルアクションに頼らずともゴールに到達できる。つまり,どのキャラクターでもクリアできるというわけだ。複数のキャラクターが登場するアクションゲームとしては,かなり思い切ったゲームデザインと言えるだろう。
特定のキャラクターでないと進めないギミックを配置したり,専用のステージを用意したりすることで,それぞれのキャラクターの存在感を演出するというのがセオリーのはずだ。
あえてそうしなかったのは,キャラクターの切り替える際の中断を排し,ゲームを止めないことで生まれる爽快感や疾走感を優先しているからではないか。プレイヤーによって好みが分かれるところだと思うが,個人的にはソニックシリーズのゲームデザインであれば,十分に納得できるものだ。
レース形式で行われる1対1のアクション勝負が熱い!
ゲームの流れはワールドマップから島のエリアマップを選び,ステージをクリアしていくと,その先につながる道が現れるという仕組みだ。エリアマップには通常のステージのほか,ミニゲームのステージが存在しており,プレイヤーを飽きさせない。
ミニゲームの中でも,とくに面白いのが「VSレーシング」だ。
これは,通常のステージとは異なるステージを舞台に,エッグマンが開発した「ボットレーサー」なるロボットとレースで戦うというもの。1人プレイの場合,ソニックとエッグマンの一騎打ちとなるが,これがなかなか熱い。
通常のステージと同様,スタイルチェンジで突破するギミックが登場し,多くのダッシュパッドが設置されている。否が応でも,より緊張感が高いアクションを楽しめるというわけだ。
「サンダー・アイランド」に行けるようになると,プレイヤー同士の対戦も可能だ。搭乗するボットレーサーを選べるようになるので,機体の性能差でハンディキャップを付けたり,同じ機体で純粋に勝負したりと,幅広い楽しみ方ができる。
初めての人も旧来のファンも優しいソニックシリーズ最新作だ
日本ではあまり馴染みのないアニメに準拠している作品ながら,2Dアクションとしての完成度はかなり高い「ファイアー&アイス」。ゲームオーバーの概念がないことをはじめ,徹底的にユーザーフレンドリーでありつつ,ソニックシリーズのスピード感はまったく損われていない。そのうえ,ステージのバリエーションが豊富で,やり込み要素も十分。非常に好感が持てるゲームデザインとなっている。
それゆえ,シリーズ初期のようなストイックさを期待していると,肩すかしを食った気分になるかもしれない。もしそういった新作を求めているなら,初期作品をオマージュして制作中だという「SONIC MANIA」(PC / PlayStation 4 / Xbox One)に期待するといいだろう。
ただ,旧来のソニックファンである筆者としては,いまだにソニックシリーズを遊んだことがない人にもベストな1本として,「ファイアー&アイス」を強く推したいと思っている。遊びやすさも然ることながら,シリーズの魅力が十分に凝縮されているからだ。
コレクションアイテムを集めると,コースやボットレーサーなどがアンロックされる |
ムービーやBGMを楽しめる「ソニック・コレクション」。開発資料も閲覧できる |
「ソニックトゥーン ファイアー&アイス」公式サイト
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ソニックトゥーン ファイアー&アイス
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