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印刷2017/03/01 00:00

プレイレポート

何気ない物語の裏側に,とんでもない狂気が隠れている。「NieR:Automata」のプレイレポート

 スクウェア・エニックスから2017年2月23日に発売されたPlayStation 4用ソフト「NieR:Automata」。

 衝撃的なストーリー展開などが口コミで広がり,2010年の発売から年を追うごとに評価が高まった「ニーア レプリカント」「ニーア ゲシュタルト」の続編にあたる本作は,前作に引き続いて齊藤陽介氏がプロデューサー,ヨコオタロウ氏がディレクターを務め,新たにプラチナゲームズ(ゲームデザイナーは田浦貴久氏)が開発に参加した。

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 4Gamerでは,昨年末に配信された体験版「DEMO 120161128」のプレイレポートをお届けしたが,今回は体験版で味わえなかった要素を中心に,製品版と同等のバージョンをエンディングまでプレイしたレポートをお届けしたい。

 ストーリーのネタバレはできるだけ控えているが,システム部分の解説や,掲載しているスクリーンショットは,ある程度ゲームを進めたところのものとなっているので,ご了承いただきたい。
 なお,本作では細かなキーカスタマイズが可能だが,操作ボタン表記はデフォルトの「テンプレート1」に基づいている。また,ゲームの難度は「NORMAL」を選択した。

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舞台となるのは,人々が去り,不毛の地となった地球


 遠い未来。正体不明の異星人の侵略により,人類は月への移住を余儀なくされ,地球には異星人が送り込んだ「機械生命体」があふれていた。人類は地球を奪還するために,人と同じ姿をしたアンドロイド兵による抵抗軍を組織したが,戦況は膠着。それを打破するため,本作の主人公である2B(正式名称:ヨルハ二号B型)を含む新型アンドロイド兵「ヨルハ(YoRHa)」部隊の投入を試みる。

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 そんなプロローグで始まる本作の舞台となるのは,人々が去って荒廃が進んだ地球だ。
 オープンワールドで表現されるこの世界には,草木に覆われたビル群,砂漠に浸食される団地,機械生命体がパレードを繰り広げる遊園地,森の奥地にたたずむ崩れかけた城,半分以上が海に沈んだ都市など,さまざまなエリアがある。
 退廃的でもの悲しさがありつつも,冒険心を刺激されるシチュエーションが揃っていて,ボーカル入りのBGM(サウンド担当はMONACAの岡部啓一氏)も,この世界の魅力を一層引き立てている。

現実の廃墟に足を踏み入れる機会はなかなかないが,ゲームであればどこを探検しようが自由。いろいろと走り回ってみよう
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自販機のような「アクセスポイント」は,開放するとセーブポイント兼ゲーム再開地点となる。ファストトラベルも可能だが,こちらはゲームを少し先に進めてからだ
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「動物の餌」を使うと,野生動物に乗っての移動が可能となる。スピードはなかなかのもので,序盤では特に役立ってくれるはず
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地上には宝箱やアイテムが置かれている。一見行けそうにない場所にあって,取るのに頭を使うものも
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 そんな世界には,人間が1人も存在していない。2Bをはじめとする,一見人間のような姿の登場人物たちは,プロローグにあったように,人類が地球を奪還するために送り込んだ「アンドロイド」だ。

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 アンドロイド達は,外見だけでなく,会話や行動などもやけに人間くさい。特に2Bのパートナー的存在である9S(正式名称:ヨルハ九号S型)や,ヨルハ部隊のオペレーターらが2Bに話しかける様子はもう友達といった感じ。ヨルハ部隊員には「感情を持つことは禁止」という規則があるらしいのだが,どこ吹く風だ。

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 一方の機械生命体も,丸い頭につぶらな瞳という共通の意匠とコミカルな動きが,なかなかいい味を出している。ゲームが進むにつれてさまざまなバリエーションが登場してくるので,見ていて飽きることがない。
 このように,世界観やキャラクター設定には,ユニークなセンスが感じられて,少しずつ世界が見えてくるオープンワールドのゲームシステムにもマッチしている。

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プラグイン・チップが本作の神髄


 体験版のプレイレポートでも紹介した通り,本作はプラチナゲームズの持ち味が色濃く出た,アクション要素が非常に強いゲームとなっている。
 バトルでは,[□]ボタンのスピードアタック(弱攻撃)と[△]ボタンのヘビーアタック(強攻撃)のコンビネーションを基本に,上方向キーによる武器セットの切り替えや,敵の攻撃に合わせてタイミングよく[R2]ボタンを押す回避からの派生攻撃など,さまざまなアクションを駆使して戦う。

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 難度「EASY」では,こちらの記事で紹介している「オートチップ」が使用可能。
 攻撃,射撃,回避といったアクションが自動になり,ボス相手でも2Bの移動操作だけで勝てるので,アクションゲームが苦手な人や,純粋にストーリーを追いたい人にぴったりだ。

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 このオートチップは,2Bの能力をカスタマイズする「プラグイン・チップ」の1つとして用意されているのだが,たとえオートチップを使わなくても,本作ではこのシステムが非常に重要だ。

 プラグイン・チップには,攻撃力や防御力,HPなどのパラメータを上昇させるものから,攻撃時に衝撃波を飛ばす追加効果,ジャスト回避を成功させると周囲の動きが数秒間スローになるといったものまで,さまざまなものがあり,アンドロイドである2Bのストレージにインストールするという仕組みになっている。限られたストレージ容量の中で,必要なものを取捨選択することで,自分の腕や好みに対応できる仕様だ。

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 考えるのが面倒な場合は「おまかせ」で組み合わせてもらうのもいいが,個人的には,これを自分でカスタマイズすることこそが,本作の神髄だと感じている。プラグイン・チップと武器,そして後述する「ポッド」の組み合わせで2Bの挙動は大きく変わるので,ぜひいろいろと試してほしい。

 ちなみに筆者は「移動速度UP」「取得経験値UP」「アイテム自動吸着」「アイテムスキャン」(アイテムの位置がミニマップに表示される)など,ゲームプレイを快適にするものを中心に設定していた。

基本的にチップは高性能になるほど必要な容量が大きくなるが,高性能かつサイズが小さいレアなものもある。ストレージの追加購入も可能だ
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 なお,本作には,このプラグイン・チップに関係するゲームオーバーの仕様がある。2BのHPが0になって倒れると,その場に「義体」が放置されるのだが,その中にはプラグイン・チップを含めたいくつかのデータが残されてしまうのだ。

 コンティニューで再開したときは,義体に残ったチップのセットがない状態での活動を余儀なくされるため,早めに義体を回収しなければならない。だが,義体を回収できずに再び倒れてしまったり,回収できないまま一定時間が経過したりすると,義体はチップごと失われてしまう。なかなかシビアな仕様だ。

 本作は,最近の作品としては珍しくオートセーブに対応しないのだが,この仕様を考えれば納得がいく。また,本作の最高難度「VERY HARD」では,どんな攻撃であっても食らったら即死するのだが,チップ回収要素のおかげで,その恐ろしさが格段に上がっている

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作り込まれたシューティング要素


 本作をプレイするうえでもう1つ無視できないのが,シューティング要素だ。2Bの支援ユニット「ポッド」による射撃や,ゲームのところどころで挿入される,飛行ユニットに搭乗しての空中戦など,「敵を撃ち,弾を避ける」という要素が楽しめる。
 縦横の2Dスクロールスタイルや,画面奥に向かって進んでいく3Dスタイル,あるいは右スティックで全方向に撃ち分けられるトップビュースタイルなど,そのスタイルは多彩だ。

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 ただ,一見弾幕シューティングのように見えても,実は壊せる弾が多かったり,弾を壊せる攻撃が使えたりするので,身構える必要はない。NORMAL難度に限ってなら,それほど難しく感じるシーンはなかった。当たり判定が自機(2B)の見た目よりも小さく作られているなど,シューティングゲームの王道的な設計がその理由かもしれない。

薄いピンクの弾は,通常弾で破壊可能。もちろん避けてもいい
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 通常のバトルでも,前述のポッドによる射撃は非常に便利で,プラグイン・チップの「射撃攻撃力UP」を装備すれば,さらに“使える”攻撃手段となる。
 なお,射撃を使いまくりたい場合,デフォルトのキーアサインであるテンプレート1では,人差し指で[R1]ボタンを押し続けて射撃しつつ,中指で[R2]ボタンを押して回避するという少々難しい操作が必要になる。両者を入れ替えてしまってもいいかもしれない。

ポッドの弾は無限に撃ち続けられる。難度NORMAL以下なら[L2]ボタンでロックオンが可能
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 初期状態だと「ガトリング」を装備したポッドを所持しているが,ゲームを進めると別の攻撃手段を持つものを入手でき,方向キーの左右で切り替えられる。
 釣りによって入手できたポッド(ホーミングしつつ敵を貫通する「レーザー」を装備していた)もあったので,探してみればもう少し見つかりそうな気もする。

 ショップでポッドの強化も可能だが,今回のプレイでは残念ながら必要な素材が見つからなかった(強化しなくても十分強かったので,あまり気にしなかったというのが正直なところなのだが)。

[L1]ボタンで使用する「ポッド・プログラム」は,強力だが使用後は一定時間のクールダウンが必要
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ポッドは水辺での釣りにも使用する。釣った魚は売却可能で,前述のように新たなポッドが手に入ることも
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思わぬところに思わぬ結末が存在する


 筆者は今回のプレイで,ひとまずの結末までたどり着いたわけだが,前作のファンならお分かりの通り,1つのエンディングを見ただけでは,本当の意味で本作を楽しんだとは言えない。ぜひ2周3周とプレイしてほしい。
 また,シナリオのエンディング以外にも,思わぬ形で結末が訪れることがある。気になる人はとりあえず,プラグイン・チップの「OSチップ」を外してみるといい。
 本作では,何気なく体験している物語の裏側に,とんでもない狂気が隠れているのだ。

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 このように,予期せぬ結末を迎える可能性があるため,プレイ中はこまめにセーブしておくことをオススメしたい。オートセーブに慣れているとつい忘れがちになるのだが,“何か”が起こったときに,そこまで長い時間をかけて戻るのはなかなか辛いのだ。

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 自由に行き来できるオープンワールドで,常にスタイリッシュなアクションを堪能できる本作は,実に斬新な手応えだった。敵の群れに近づくとバトルが始まるところは,ほかのアクションRPGにもよく見られる仕様だが,本作のバトルは,ここまで紹介してきたようにアクションゲームそのものと言っていい。

 全体的にムービーシーンが少なく,ゲーム中にコントローラを置くことがほとんどなかったのも,個人的には好印象だった。参考までに筆者の1回目のプレイ時間は20時間程度。やり残したクエストもかなりあったので,じっくりやればもう少し時間がかかったかもしれない。

 ストーリー,ゲームシステムともに独特で,“尖った”ゲームに仕上がっている本作だが,決してプレイしづらいものではないし,どうしても進められないときは,オートチップを使う手もある。前作を触っているいないにかかわらず,本作でしか味わえないプレイ感を楽しんでほしい。

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