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「Horizon Zero Dawn」はキャラクターのコンセプトアートから始まった。開発者が語るユニークな制作過程とは
PlayStation 4専用ゲームとしてE3 2015でアナウンスされて以降,その独特の世界観がゲーマー達の心を揺さぶってきた「Horizon Zero Dawn」は,何かしらの理由により文明が崩壊してから1000年が経過した世界において,原始的な生活へと後退しつつも生き延び来てきた人類を描いている。
ビルなどの近代建築物は,一部が遺跡のような状態になって残っており,人々は巨大で獰猛なメカ恐竜に怯えながらも,そこから採れる貴重な資源を生活の糧にしている。ティラノサウルスやラプターのような形状のメカもいるかと思えば,キリンやイノシシ,さらにはワニやカニのような姿をしたものもいるが,この機械が何者で,何をしているのかさえも,すべてゲーム中のミステリーとなっている。
主人公のアーロイ(Aloy)は,山岳地域を拠点にする“ノラ”(Nora)という部族のメンバーであり,ロースト(Rost)という人物によって育てられてきたという。ただ,アーロイもローストも部族の人々からは部外者として疎まれているようだ。
しかし,好奇心旺盛で大らかな性格であるアーロイは,成長するにつれてなぜ自分がそのような境遇にあるのか,そしてこの世界の成り立ちはどのようなものなのかといった,さまざまな疑問を抱き始めるようになる。プレイヤーはそんな彼女を操作して,謎だらけの未来の地球を探索していくことになるわけだ。
ハルスト氏によると,Guerilla Games内部で「Horizon Zero Dawn」の企画が生まれたのは,2010年頃にまで遡るという。もともとは,どのようなゲームにするかといった予定もなく,アーティストによって描かれたアーロイのアートワークから,すべての構想が編み出されるという,一風変わった企画の船出となった。
そこから,「類い稀な能力を開花させていく女性が主人公」「美しい自然」「巨大メカ」という3つのコンセプトが具体的に決まり,2011年にはオープンワールド型のゲームシステムで,次世代向けにも対応するなど,壮大なプロジェクトに変化していく。その過程で,「Fallout: New Vegas」の脚本にも関わった経験を持つゴンザレス氏などの新しい開発メンバーが加わっていったとのこと。
ゴンザレス氏によると,主人公のアーロイには葛藤があり,情熱と欲望があり,解くべき謎もあるわけで,キャラクターとして引き立つ要素を兼ね揃えていると話している。
また,「Horizon Zero Dawn」の世界は綿密に作り込まれており,「子供を産む女性が部族で大切にされている」といった原始宗教的な生活風景や,そこから生み出される文様などのパターン,機械のハンターを生業にする習慣や,機械パーツに布や毛皮を縫い合わせたような装束やアクセサリーなど,そのこだわりが随所に見られる。こういったこだわりが,プレイヤーをゲームの世界に没入させてくれるわけだ。
本作には,解くべき謎がいくつも用意されている。アーロイの境遇,世界の成り立ち,メカ恐竜の存在,そしてサブタイトルにある「Zero Dawn」の意味するもの。そもそも,本作をプレイする我々現代人としては,いったいこの世界に何が起こって文明が破壊したのかという疑問も残るうえ,現時点では「Horizon Zero Dawn」での目的やクエスト内容など細かい部分については語られておらず,このゲームは謎だらけなのだ。
AAAタイトルの開発費が高騰する現状で,大手メーカーは続編に傾倒して新しいIP(知的財産)のゲームを作るリスクを取りたがらない傾向にある。そんな中で登場した「Horizon Zero Dawn」には,ゲーマーの期待の高鳴りも感じられるが,Guerilla Gamesは一歩も引くことなく真正面から,その期待に応えようと奮闘している様子。日本での発売は2017年3月2日になることが決まっており,春先にはメカ恐竜との格闘を堪能できるだろう。
「Horizon Zero Dawn」公式サイト
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