インタビュー
「XCOM 2」の開発者にインタビュー。エイリアンに負けたことの共通体験と,マップの自動生成が「スペシャルでマッシブ」なプレイ体験を生み出す
前作「XCOM: Enemy Unknown」(以下,「XCOM」)は,特殊部隊XCOMと地球侵略を企てるエイリアンとの戦いを描くターン制ストラテジーだったが,今回の「XCOM 2」ではプレイヤーの奮戦空しく地球が無条件降伏し,エイリアンに支配されてしまった世界が舞台となる。兵士の細かいカスタマイズや,自動生成されるマップが大きな特徴の本作だが,試遊の模様については,本日掲載した記事を参照してほしい。現地ではテストプレイのほか,本作の開発元であるFiraxis Gamesで「XCOM 2」のアートディレクターを務めるグレッグ・フォートッシュ氏に短時間ながら話を聞くことができた。というわけで,そのインタビューの模様をお伝えしよう。
「XCOM 2」公式サイト
「XCOM 2」は前作の長所を受け継いで進化した,遊び応えのあるバトルが展開。体験イベントでのインプレッションをお届け
「エイリアンに負けた」という,プレイヤーの共通体験を物語に活かした続編作り
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。先ほどプレイさせてもらいましたが,今回もやはり難しいですね。
グレッグ・フォートッシュ氏(以下,フォートッシュ氏):
楽しんでもらえたようで幸いです。難しくなければXCOMではありませんからね(笑)。
4Gamer:
「XCOM 2」は,地球がエイリアンに侵略された状況からのスタートとなりますが,こうした設定になった理由はなんでしょうか
フォートッシュ氏:
続編を作るにあたって,前作「XCOM」のプレイヤーに話を聞いたんですが,共通して挙がってきたのが「負けること」(ロスト)だったんですよ。
4Gamer:
なるほど。もともと難度の高いゲームですし,負けまくりながらゲームのコツを覚えていった……というのがプレイヤーの共通体験なんですね。
フォートッシュ氏:
そうです。そんな,プレイヤーの皆さんの「エイリアンに負けた」という共通体験から導き出される世界観が続編にピッタリだったことから,このような一風変わった設定になりました。一度は負けた人類がエイリアンに逆襲する,というわけです。また,レジスタンスとして少ないリソースをやりくりしたり,研究を進めたりするという特殊部隊XCOMの姿も,設定によくマッチしていたんです。
4Gamer:
ゲームのテーマは,どういったものになりますか。
フォートッシュ氏:
「もっとスペシャルに,もっとマッシブにプレイを楽しんでほしい」というところですね。プロシージャル技術によって自動生成されるマップや,より深みを増したキャラクターカスタマイズなどで,それぞれのプレイヤーが,独自のディープなゲーム体験ができるんです。
自動生成マップによってゲームプレイは大きく変化しますので,限りないバリエーションが楽しめ,リプレイ性も高いですね。
4Gamer:
続編となりますが,初めてプレイする人でも大丈夫でしょうか。
フォートッシュ氏:
もちろんです。前作をプレイした人は「XCOM 2」とのつながりを楽しめますし,今回初めてプレイする人でも,独立したストーリーとして遊べます。
4Gamer:
XCOMの本拠地となる空中母艦「アベンジャー」ですが,どういった機能を持っているんでしょうか。
フォートッシュ氏:
XCOMがエイリアンから奪った宇宙船に,独自の改良を加えて運用しているのがアベンジャーです。前作の基地と同様,たくさんのスペースがあり,そこにどういった施設を作るかはプレイヤーの自由です。例えば「バー」を作ればXCOMの隊員達がお酒を飲んでいるところが見られますし,もちろん,プレイヤーが兵士の外見をカスタマイズすれば,バーでの姿にも反映されますよ。また,「慰霊碑」という施設には戦死した隊員の写真が飾られており,碑文を自由に入力できたりします。このように今回は,前作に比べてプレイヤーの心をより動かす基地になっているんです。
4Gamer:
なるほど。いろいろ試してみたくなりました。ところで,「XCOM 2」の開発で最も苦労されたところはどこでしょうか。
フォートッシュ氏:
やはり,自動生成の導入ですね。初期段階からかなりのリスクが見込まれていましたし,一見して自動生成だと分かるようなものにしたくはないので,自然なマップとして表現できるかどうかが心配でしたね。ただ,チームが素晴らしい働きをしてくれたので,それについては今,非常に満足しています。
4Gamer:
そういうリスクがあったにも関わらず,自動生成の仕組みを導入した理由はなんですか。
フォートッシュ氏:
続編を作るうえでプレイヤーの要望を多数集めたんですが,その中で最も多かったのが「もっとマップがほしい」という声でした。前作には85のマップが収録されていたんですが,さらにマップを増やし,かつ多彩なものにしようとすると,プロシージャル技術を使った自動生成は必要不可欠なものでした。
4Gamer:
対応機種は,PCだけですね。
フォートッシュ氏:
「XCOM 2」を制作するとき,優先度が高かったのが自動生成とMODのサポートでした。両者を最も実現しやすかったのが,PCだったんです。
4Gamer:
では最後に,日本のゲーマーへメッセージをお願いします。
フォートッシュ氏:
そうですね,えーと,日本の皆さんにぜひ「XCOM 2」を遊んでほしいです(笑)。「XCOM 2」は本当にユニークで,ほかに類を見ないゲームです。ストラテジー系のゲームが好きな人からアクションゲームが好きな人まで,どなたでも楽しめる内容になっていますので,自信を持ってオススメできます。
4Gamer:
本日はどうも,ありがとうございました。
敵の攻撃が容赦なく,死んだキャラクターは帰ってこない。難度が高く,遊び応えがあることで知られる「XCOM」シリーズだが,その難しさと敗北体験を物語作りに活かすというのは実にユニークな試みだ。マップ自動生成の導入も見逃せないポイントで,最近のゲームに求められるボリューム感を実現するうえで,自動生成は重要な技術になるはず。実際にプレイした筆者は,本作の自動生成マップは実に自然でバラエティに富んだものだという印象を持っている。
こうした要素が紡ぎ出す「スペシャルでマッシブ」なゲーム体験はゲーマーにどのように評価されるのか。発売日が楽しみなタイトルといえるだろう。
「XCOM 2」公式サイト
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