プレイレポート
世界と親友,どちらを救うか? ガストが放つ美少女×従魔×RPG「よるのないくに」プレイレポート
そんな本作を一足先に遊んでみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。
「よるのないくに」公式サイト
“よるのないくに”で繰り広げられる,2人の少女の物語
本作の舞台となるのは,邪妖と呼ばれる魔物が跋扈する「ルースワール島」。ゲームタイトルでもある“よるのないくに”とは,昼間は人々の生活が営まれ,夜になると邪妖達が活動するという,決して眠ることのない世界を指した言葉だ。それは人々にとって,安心して眠れる時間が存在しない世界だということでもある。
教皇庁から,地図には存在しないこのルースワール島に派遣された少女・アーナスは,そこで寄宿舎にいた頃からの親友であるもう1人の少女・リュリーティスと再会する。しかし,その喜びも束の間,リュリーティスは命と引き換えに妖魔の長である「夜の君」を封じる“聖女”に選ばれ,アーナスはその時が来るまで聖女を守る“聖騎士”の任を命じられてしまう。
聖女としての運命を受け入れたリュリーティスに対し,アーナスは自らの役割に苦悩する。親友の命を犠牲にして世界を救うことに大きな疑問と葛藤を抱きつつ,邪妖との戦いに身を投じていくアーナス。果たして,2人の少女にどのような結末が待っているのだろうか……。
従魔との共闘がカギを握る,独特のバトルシステム
ゲームの大まかな流れは,冒険の拠点となるホテル「エンデ」で教皇庁からの指令を受け,島内の各地で邪妖と戦いつつ指令をクリアしていくというもの。邪妖は,かつて夜の君が人類に倒された際に,雨のようにまき散らされた「蒼い血」を浴びた人や物が姿を変え,異形の魔物となったものだ。
アーナス自身もこの蒼い血に触れているのだが,通常なら失ってしまう人の心を保つことができたために,妖魔でも人間でもない“半妖”と呼ばれる存在として生きることになった。そしてその際に,倒した邪妖から血を奪う「吸血」の能力と,自らの血から魔剣を作り出す能力を手に入れている。
本作では,異世界にある祭壇で「血の奉納(デスダン)」という儀式を行い,魔剣ヨルドに敵から奪った血(Blood)を捧げることでアーナスがレベルアップ。ステータスが上昇したり,新たなスキルが開放されたりする。
また,アーナスが成長すると武器の形態を変化させられるようになり,初期状態の「剣」のほか,「短剣」「戦槌」「銃」「長剣」という複数の形態が追加される。これらは戦闘中にいつでも切り替え可能なので,戦況に応じて使い分けていこう。
さらに,アーナスは「依代(よりしろ)」を使って契約した使い魔を使役し,共に戦えることが大きな特徴だ。これらの使い魔は「従魔(セルヴァン)」と呼ばれ,一度に最大4体を召喚できる。
従魔には,アタッカータイプやサポートタイプなど,さまざまな種類が存在し,召喚後は各自の判断で行動するが,ここぞという場面では従魔に命令して,それぞれの持つ特殊スキル「従魔バースト」を発動させることもできる。
そして戦闘中,半妖であるアーナスは敵を攻撃することで「変身ゲージ」が上昇し,ゲージがフルになると体の中に流れている血を覚醒させ,妖魔の姿に変身できる。
変身には「デモンフォーム」「ラビットフォーム」「ファントムフォーム」「アーマーフォーム」「ナイトメアフォーム」があり,変身中はそれぞれの姿に応じた強力な攻撃を繰り出したり,高速での移動が可能になったりするだけでなく,従魔のステータスも上昇する。
どのフォームに変身するかは,そのときに編成中の従魔が持つ「変身因子」の合計によって決まり,本作ではどの武器を使って戦い,どの従魔を編成し,どの姿に変身するのかを,あれこれ組み合わせを変えながら試行錯誤するのが非常に楽しい。
攻撃力の高い従魔を揃えて自分も一緒に前衛として戦ったり,防御力の高い従魔を盾役にしつつ,後方からのサポートや遠距離攻撃に徹したりとさまざまな戦法が考えられるので,自分なりの戦い方を見つけよう。
また,アクションのレスポンスも良好で,簡単な操作でド派手な攻撃を繰り出せるのも魅力の1つ。ゲーム難度もほどほどで,少し戦いが厳しくなってきたなと感じたらアーナスや従魔を成長させることで,アクションがあまり得意でない人でも最後までクリアできるだろう。
ただし,本編終了後の「エクストラシナリオ」では,それまで以上に強力な邪妖が出現し,とくにボス戦では筆者もちょっと苦労したので,心してかかってほしい。
アーナスとリュリーティスの深いつながりに要注目
アーナスとリュリーティスの過酷な運命を軸にストーリーが展開していく本作だが,決して重苦しいだけの話というわけではない。中でも,妖魔研究者を名乗る有角(あるかど)教授のキャラクターづけは予想の斜め上を行くぶっ飛び具合で,教授の“残念イケメン”としか言いようがない言動には思わず顔がにやけてしまう。
有角教授はエンデにやって来た,これまた素性の知れない商人・ロイドと事あるごとに張り合っており,そのたびに繰り広げられるコミカルなやり取りも必見。また,アーナスとリュリーティスの関係は,プレイ前に想像していたほど百合百合ではなく,むしろお互いのことを深く思いやる,絆や愛情として描かれていたことも印象的だ。
本作では,プレイ中に築き上げた2人の親密度に応じて複数の結末が待っている。ぜひとも,繰り返しプレイしてこれらのエンディングを見比べてほしいところだが,そのためにまた最初からゲームを遊び直さなくてもすむような仕掛けが用意されているのもありがたい。
さらに,10月15日にはアーナスとリュリーティスの出会いや,学生時代の2人の様子を描いた無料のダウンロードコンテンツの配信が予定されており,こちらも今から楽しみだ。
イラストレーターの四々九(よしく)氏が手掛けたキャラクターデザインも非常に魅力的で,人と妖魔の織り成す一筋縄ではいかない世界観にたっぷり浸れる本作。公式サイトでその一部が聴けるように,時には勇壮に,時には切なくゲームを盛り上げるBGMのクオリティも高く,このあたりはさすがガスト作品といったところ。ガストが放つ,新たなRPGに興味を持った人は,ぜひ手に取ってみてもらいたい。
「よるのないくに」公式サイト
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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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