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東京レトロゲームショウ2016:第40回 「クライシス」で,PC専用FPSにおける最高峰を目指したグラフィックスを再堪能する
今週の「東京レトロゲームショウ2016」は,2007年にエレクトロニック・アーツからリリースされたFPS「クライシス」をピックアップしたい。2007年のゲームが“レトロ”かどうかについてはご意見もおありかと思うが,諸般の事情によりぜひ取り上げさせていただきたい所存だ。無性にプレイしたかったんです,あたし。
Steam「クライシス」紹介ページ
そういう経緯のタイトルであり,また,同じ2004年に「DOOM 3」「Half-Life 2」がリリースされたこともあって,発売当初は「CRYENGINE」のグラフィックスに注目が集まったが,やがて,ゲーム内容も評価されるようになった。「DOOM3」「Half-Life 2」の影に隠れてしまった感はあるが,それなりのヒットを記録した。
当然,続編も期待されたが,「Far Cry」発売後にCrytekはパブリッシャをUbisoft EntertainmentからElectronic Artsに変更したため,「Far Cry」の知的財産権はUbisoft側に移り,名前が使えなくなった。そのため,Crytekがまったく新しいタイトルとして制作したのが,「クライシス」というわけだ。ちなみにUbisoftは「Far Cry」の続編として独自に「Far Cry 2」を制作して2008年にリリースした。同作はアフリカを舞台にしたオープンワールドFPSで,筆者個人は非常に好きでかなりプレイしたのだが,セールスは期待されたほどではなかったらしい。しかし,2012年の「Far Cry 3」と,2014年の「Far Cry 4」では高評価を得,Cytekの手を離れた「Far Cry」シリーズは,今やUbisoftの看板シリーズの1つに成長している。さすがはUbisoftだ。
なんの話だっけ? そうそう,そんな「クライシス」は発表段階からそのグラフィックスに注目が集まっていた。PC専用ということで,そのときの最高のCPUだのGPUだのに加えて,大きなメインメモリとグラフィックスメモリを要求する豪華仕様であり,もちろん筆者の環境では当時,グラフィックスレベルを最高にするとラグってお話にならなかった。しかし,約9年を経た現在,編集部で与えられたPC※でごく普通に最高画質ですんなりプレイすることができ,筆者はついに勝った! 誰が何に勝ったのかはよく分からないが,ともかく勝った! 科学技術の進歩はすごいと思う。
プレイは「DOOM」以来の伝統と格式を誇る“ランボースタイル”で,仲間と一緒に戦っていくといった場面はほとんどなく,襲ってくる多数の敵をノーマッド1人でバッタバッタと倒していくという感じだ。そんなスーパーマンぶりにリアリティを与えるのが,ラプターチームの着ているハイテク戦闘服,ナノスーツだ。ナノスーツには4つのモードがあり,通常は防弾機能が高く治療能力もある「マキシマムアーマー」だが,高速移動が可能な「マキシマムスピード」,筋力が大幅アップする「マキシマムストレングス」,そして姿を消せる光学迷彩「クローク」を選択できる。
徒歩で戦うだけでなく,戦車に乗ったり高射砲を撃ったりして戦う場面もスパイス的に登場するので,それほど単調さも感じない。
とはいえ敵AIも,頭の良さにはちょっとムラはあるものの割と優秀で,しかも数が多いので,自分の強さに酔っていたら,増援の大部隊にあっさりやられてしまうこともあるだろう。正面攻撃はたいてい成功しない。無敵の「クローク」も,敵の弾丸を食らってエネルギーを失うと,解除されてしまうのだ。
もっとも,その楽しさはゲーム全体の3分の2ぐらいまでで,敵が北朝鮮軍からエイリアンにシフトすると,いろいろな戦略もとりにくくなり,ゲームの流れも直線的になってしまう。このエイリアンの存在がゲームメディアの不評を買ったことを覚えている人も多いと思うが,筆者も苦手。空中をあっちへフラフラ,こっちへフラフラで,撃っても当たらないったらありゃしない。キー。また,尻切れのストーリーや,ステレオタイプなキャラクターなども弱い点として指摘されている。
話題だったグラフィックスだが,今見ても非常に美しいとは思うものの,時代の流れと共に同レベルのタイトルも増えてきたのも事実。とはいえ,PC専用タイトルだからこそ,限界突破でやるだけやるぜ,みたいなCrytekの心意気は現在でもいいじゃないかと思う(上から目線)。最近,そんなPC専用タイトルってありましたっけ。ないですよね。
続編以降は,コンシューマ機版も同時発売されるようになり,個性はやや薄れてしまったものの,PC専用FPSの最後の輝きだと勝手に思っているこの「クライシス」,あなたもぜひプレイしてほしい。
Steam「クライシス」紹介ページ
※CPU:Core i 5/3.0GHz,グラフィックスチップ:GeForce GTX 960,メインメモリ:8GB,グラフィックスメモリ:2GB- 関連タイトル:
Steam
- 関連タイトル:
クライシス 完全日本語版
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