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東京レトロゲームショウ2015:第24回 「EGGY」で,絶妙なゲームバランスを30年ぶりに再体験した
筆者はレトロゲームが好きだ。昔,熱中してプレイした懐かしのゲーム,お金がなくて買えなかったゲーム,持っていたパソコン向けに発売されなかったので,ゲーム雑誌の広告を指をくわえて眺めていたゲームなどが,今やD4エンタープライズが運営するレトロゲーム総合配信サイト,「プロジェクトEGG」で思う存分に遊べてしまうのだから,良い時代になった。EGGランチャーに並んだゲームのリストを眺めているだけで,涙でモニターが霞んでくるほどだ。最近,老眼で目がしょぼしょぼしちゃってね。
というわけで,そんな筆者が,今週の「東京レトロゲームショウ2015」で取り上げたいのが,1985年にボーステックから発売された「EGGY」(エギー)だ。
Project EGG「EGGY」紹介ページ
(C)D4Enterprise Co.,Ltd.(C)MSX Licensing Corporation All Rights Reserved. 'MSX' is a trademark of the MSX Licensing Corporation.
EGGYは1984年に開催された「ボーステック第1回プログラムコンテスト」で優秀賞を受賞した作品。ちなみに同コンテストで最優秀賞を獲得したのは,本連載の第20回で取り上げた「妖怪探偵ちまちま」だった。
当時,何か心惹かれるモノがあって,必死にプレイしていたEGGYだが,オリジナル版の対応機種は確かPC-6001で,その後,PC-8801,MSXなどの機種に移植されたように記憶している。筆者はX1のテープ版(そういうのがあったのだ)をプレイしていたが,他機種と比べてグラフィックスが綺麗だった。
プロジェクトEGGの紹介ページにもあるとおり,バックストーリーはこんな感じだ。2039年,地球連邦軍とガスプは宇宙戦争に突入する。ガスプが誰なのかは筆者も知らないので聞かないでほしいが,資源の乏しい地球連邦軍が戦争の早期決着を図るには,最前線の惑星エギーに基地を作り,ガスプに総攻撃をかけるしかないという。
しかし,ガスプもすでにエギーに基地を作り始めており,エギーを支配下に置くため,エギーの住人であるミミア人達に,一度死ぬとアーマロイドに変身する不思議な力を与えていた。
プレイヤーに与えられた任務は,連邦軍が開発した,空を自由に飛べるボディアーマー“エナ”を着用して,パラシュートで落下する物質を受け取りつつ,エギーに前線基地を作り上げ,連邦軍を勝利に導くことである。
それにしても,2039年か。当時はすごく遠い未来だと思っていたが,今ではあとわずか24年後の話になるわけで,時の経つのは早いものだ。24年後に地球連邦軍とガスプとの宇宙戦争は勃発しなさそうだが,しないとは言い切れない。
それはともかく,EGGYのゲームシステムはいたって簡単で,エナを操作して,上から落ちてくる物資を回収することだ。ステージは4レベル用意されており,1つのレベルは5つのステージで構成されている。5つのステージをクリアすると,レベルが上がって難度も高くなった次のレベルに挑んでいく。これを繰り返すわけだ。
ステージには無抵抗のミミア人のほか,体当たり攻撃をしてくるアーマロイド「ゾルム」や,砲撃を加えてくる浮遊戦車「ゴーザ」,そのゴーザを4台倒すと現れる移動地雷「デッジ」などの地上兵器に加え,空中を飛んで来てエナの近くで分散し地上に降り注ぐ多重攻撃ミサイル「ボスカ」,戦闘機「エキュスーダ」といったガスプのユニットが登場する。
武器は飛行中,自分の向いている方向の斜め下に発射できる地上用爆弾のみで,地上で爆弾を発射できないうえ,ボスカやエキュスーダなどの空中ユニットには攻撃が当たらないので非常にキツい。また,地上にいるときにゾルムやデッジに触れるとダメージを受ける。ただ,ゴーザとは少しラインがズレていて接触することはないので,砲撃のみ気をつければ大丈夫だ。
ただし,逃げ回るだけではおのずとスコアが低くなる。ガスプのユニットを破壊することでポイントが入るが,このほかに,取得した物資の数などでもボーナスが加算されるからだ。
ともあれ,どこかで減ったエネルギーをチャージしなければならないのだが,このチャージ方法がユニークだ。地上を歩いているゾルムにそのまま触れるとダメージを受けてしまうが,ゾルムに爆弾を当てると点滅状態となり,そのときにゾルムに触れることでエネルギーがチャージされるのだ。ただし,ゾルムにすぐに触れないと再び動き出してし
まうし,点滅中のゾルムにさらに爆弾を当てると爆発してしまう。
「もうエネルギーがピンチ。でもゾルムがいない!」ってときはどうするか……バックストーリーでも触れられているが,ミミア人は一度死んでもアーマロイドと化す不思議な力をガスプから与えられているため,ミミア人をエナで踏みつぶしたり,爆弾を当てるとゾルムとして復活するのだ。
ミミア人を倒すとボーナスが減ってしまうが,エネルギー切れでゲームオーバーになるよりはマシなので,可愛そうだけれどプチっとしてしまおう。
しかし,たとえエネルギーが満タンでも油断大敵だ。運が悪いと,空中で4つに分裂したボスカがすべて当たり,地上に落ちるとゾルムに当たり,そこへエキュスーダが放った爆弾が命中。こんなコンボを食らうこともあるから,エネルギーは満タンだったのにアッという間に瀕死状態になったり,突然ゲームオーバーになったりする。
さて,約30年ぶりにEGGYを再びプレイしたわけだが,アクションゲームとしての絶妙なゲームデザインとバランスにはあらためて驚かされた。当時,難しくてほとんど進めなかった記憶があるが,多少なりともゲームの腕も上がった今でさえ,悪戦苦闘することになった。しかし,これほど面白さと難しさを融合させたゲームが30年も昔にあったとは。
EGGYは「プロジェクトEGG」にて,MSX版(月額会員登録で無料),PC-8801版(500円)が配信されているので,ぜひプレイしてみてほしい。
Project EGG「EGGY」紹介ページ
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