連載
東京レトロゲームショウ2015:第23回 「GENOCIDE2」で,X68000とZOOMの底力を再確認してみる
新たなハードウェアの登場は,ゲーマーとして最も興奮する瞬間だ。PlayStation 4が発表されたときも,Xbox Oneがお披露目されたときも,そりゃあワクワクしたもんさね。
というわけで,もはや「4Gamerの顔」と申し上げても過言としか言えない人気連載「東京レトロゲームショウ2015」では,登場のときに非常にわくわくしたシャープのX68000(1987年発売)向けのゲームを本連載としては初めてピックアップしよう。お届けするタイトルは,ゲーム史上に燦然と輝く名作「GENOCIDE2」だ。
プロジェクト EGG「GENOCIDE2」紹介ページ
(C)1991-2004 ZOOM.Inc.(C)2004 D4Enterprise Co.,Ltd.
(C)2004 MSX Licensing Corporation.
「GENOCIDE2」は,1991年にZOOMより発売されたアクションゲームで,プレイヤーはトレーサーというロボットを操り,クーデターを企む企業“CONEX”を壊滅させることを目的に,戦うことになる。
本作の一番の魅力は映像の美しさだ。さすがX68000向け。ドット絵は当時のアーケードゲーム並みに描き込まれており,とくに主人公トレーサーは緻密であると同時にアクションが多彩で,カッチョイイ。
通常攻撃は連打すると連続攻撃になり,しゃがみ斬りも可能だ。さらにジャンプキックや空中側転など,ロボットらしからぬアクションが堪能できる。
主人公の攻撃で見逃せないのが,オプションユニットの“BETTY”だ。使用すると主人公の頭上に浮遊し,そのまま敵にぶつけることで攻撃が可能。指定した方向へ飛ばしたり,ボタンを押し続けてチャージさせ,攻撃力を上げることも可能と,非常に頼れるヤツなのだ。
ただし,BETTYを使用するとバッテリーが消耗し,使い果たすと充電されるまで再利用できない。ここから難所だ,というときにバッテリー切れでBETTYが使えないといった事態に陥らないためにも,スマホ同様,日頃から充電は心がけておきたい。でないと,イザというとき困りますよ。
さて本作は,敵キャラクターも魅力的だ。個性的なデザインのロボットが多数登場するほか,豆粒のような兵士も敵として出現。筆者は初めてこの敵を見たとき,「ああ,細かいところまで描き込んでるなあ」と感心すると同時に,ロボットに乗っていることを強く体感できた記憶がある。
そんな「GENOCIDE2」だが,かなり手強いゲームでもある。まず,敵の耐久力が高いため簡単には倒せず,戦っているうちに主人公の体力がじわじわという感じで削られていく。また,エリアをクリアするには,マップにいる特定の敵を全滅させてからゴールに向かう必要があるのだが,そいつらが分かりやすく表示されるわけではない。
結果として,ゲームに慣れていないうちはマップをウロウロしながら敵を全滅させることになり,やっぱり体力が削られてしまう。なんというか,しっかり攻略法を構築していく必要があるゲームなのだ。
ただし,コンティニューは可能なため(エリアの最初からのリスタートになる),クリアまでの道はそこまで遠くはない……はずだ。ラスボスはなかなか格好いいため,ぜひ確かめてほしい。
「GENOCIDE2」は,前作の「GENOCIDE」とともにD4エンタープライズが運営中の「プロジェクトEGG」で配信中だ。当時しこたま遊んだ人も,筆者のように指をくわえて見ていた人も,今ならワンコインで遊べてしまうんだから,ああ,なんて素敵な時代なんでしょうか!