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東京レトロゲームショウ2015:第15回「Ultima I: The First Age of Darkness」でソーサリアの危機を救おう
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印刷2015/08/20 12:00

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東京レトロゲームショウ2015:第15回「Ultima I: The First Age of Darkness」でソーサリアの危機を救おう

画像集 No.001のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2015:第15回「Ultima I: The First Age of Darkness」でソーサリアの危機を救おう

今週のテーマ:アバタールじゃないけど頑張ります

 まさか15回も続くことになるとは思わなかった大人気連載「東京レトロゲームショウ2015」だが,今回はロード・ブリティッシュことリチャード・ギャリオット氏が生み出したコンピュータRPGの元祖「Ultima I: The First Age of Darkness」(以下,Ultima I)を紹介しよう。このまま連載が続くと,来年はタイトルを変えなくてはならない事態になる気がするが,連載担当の松本隆一は,たぶんそのあたりは深く考えていない。

タイトル画面。輝かしきUltimaシリーズの歴史はここから始まった
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 さて,さまざまな機種に移植されたUltima Iだが,そのオリジナルは1981年に正式発売されたApple II版だ。同年には,こちらもApple II向けに初代「Wizardry」が発売されており,のちの多くのコンピュータRPGに多大な影響を与えた2大作品が同時期に誕生するという,ゲーム史にとってはまさに節目ともいえる年だった。また,Ultima Iは1986年に他機種への移植に当たって全面的にコーディングし直されており,GOG.comで現在でも入手できるのはこれを基にしたバージョンである。

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街やフィールドの様子をグラフィカルに表現。とても分かりやすい!
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 ところで,Ultimaシリーズといえば,3つの原理(愛,真実,勇気)と,8つの徳(慈悲,誠実,武勇,名誉,献身,正義,霊性,謙譲)を究めた聖者アバタールが,たびたび訪れるブリタニアの危機を救うために,シャミノやイオロといったおなじみの仲間と共に奔走するファンタジーRPG,というイメージを持っている人が多いのではないかと思う。

 しかし,これらの設定はシリーズ初期にはまだ完全に固まっておらず,多くの人がイメージする“アバタールの物語”が生まれたのは1985年の「Ultima IV: Quest of the Avatar」以降のこと。Ultimaシリーズの主人公は一貫して,ロード・ブリティッシュによって異世界に召喚された一人の地球人だが,Ultima Iでは(というか,IからIVまでは)主人公がアバタールになる前の冒険が描かれている。

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「Ultima IV: Quest of the Avatar」。ジプシーのカード占いによるキャラメイクが懐かしい
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 そんなUltima Iのストーリーは,邪悪な魔導士モンデインによって危機に瀕したソーサリア世界を舞台に,ロード・ブリティッシュによって別世界(つまり地球)から召喚された主人公が,モンデインの力の根源である「不死の宝珠」の破壊とモンデインの打倒を目指して,4つの大陸と果ては宇宙空間までを股にかけた冒険を繰り広げるというもの。

 ギャリオット氏といえば,2008年には自ら宇宙服を着て,バイコヌール宇宙基地からソユーズ宇宙船に乗って国際宇宙ステーションまで旅行してしまうほどのエキセントリック……じゃなかった,宇宙マニアとしても知られており,初期のUltimaシリーズには宇宙空間やらタイムトラベルやら邪悪な意思を持ったコンピュータやらといった,SF色が色濃く残されていたのだ。

ロード・ブリティッシュ城。画面右上の玉座にいるのがロード・ブリティッシュその人だ
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 ここで「あれっ,Ultimaシリーズの舞台はブリタニアじゃないの?」と思った人はなかなか鋭い。実はUltima Iで“Lands Of Lord British”と呼ばれていた大陸が紆余曲折を経て,のちにブリタニアと呼ばれるようになるのだが,このときはロード・ブリティッシュも大陸各地を統治する8人の城主の一人に過ぎなかった。こうして振り返ってみると,のちのイメージとはあちこち異なっており,まったくもって,人生,先のことはどうなるか分からないものだなあ……。

 さて,そんなUltima Iでは,プレイヤーはステータスポイントを自由に割り振って,人間,エルフ,ドワーフ,ボビットの4種族と,ファイター,クレリック,ウィザード,シーフという4つの職業を組み合わせて自分の分身となるキャラクターを作成する。ボビットはホビットではないので,その点はくれぐれも気を付けてほしい。また,ゲーム画面は2D見下ろし型の街やフィールドがメインだが,ダンジョンに入ると3D画面になるのが特徴だ。

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キャラクター作成画面。これが意外と手間がかかる
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 フィールド上での戦闘は純粋なアクションRPGのようにも見えるが,実はローグライクのようなターン制になっており,たとえば戦闘時には,Attack(攻撃)の「A」キーを押してから敵に体当たりするといった具合に,それぞれの動作に対応したキーを入力する必要がある。種類がなかなか多いので,最初のうちは苦労するかもしれない。また,キャラクターにはヒットポイントが設定されており,これがゼロになると死亡するのは言うまでもないが,もう1つ注意したいのが食料のパラメータである。

フィールド上での戦いはローグライクなターン制。アクション性はそれほど高くない
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 食料はフィールドやダンジョンを移動するたびに消費されていき,これが無くなると徐々にヒットポイントが減り始める……などという生ぬるい仕様ではなく,食料が底をつくとその場でただちに死亡してしまう。どんだけ腹ペコなんだよ! と思わずツッコミたくなるが,実質的には第2のヒットポイントのようなものだと考えるほうがいいだろう。勇者といえど空腹には勝てないというありがたい教訓として,遠出をするときは,食料を買いだめしておこう。

ダンジョン内は3D画面。これは誰がどう見てもスケルトンですね
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 さすがに30年以上前のゲームなので,グラフィックスは簡素だしBGMも無いが,敵を倒して経験値とお金を稼ぎ,装備を整え,クエストを受けて各地のダンジョンを探索するという,現在のRPGに通じる要素がすべて揃っており,今改めて遊んでみてもRPGの楽しさを余すところなく伝えてくれるUltima I。シリーズはその後,スピンオフ作品である「Ultima Underworld」シリーズや,史上初の商業的に成功したMMORPG「Ultima Online」など,数多くの作品がリリースされている。

 しかし,2000年代に入ってからは「Ultima Online 2」や「Ultima X Odyssey」の相次ぐ開発中止が発表され,結局は1999年に発売された「Ultima IX: Ascension」を最後に,アバタールと共にギャリオット氏によるUltimaは昇天(Ascension)してしまった。うう,「Ultima Online 2」とか,めっちゃ楽しみにしていたのに……。まあ,「Ultima X Odyssey」はさすがにダメだろうなあと思ってたけど。

「Ultima IX: Ascension」の画面。このゲームのラストでアバタールは……
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 そして,自ら設立したOrigin Systemsを半ば解雇される形で退社したギャリオット氏は,その後,NCsoftに入社してSFモチーフのMMORPG「Richard Garriott's Tabula Rasa」を開発したが,こちらは2007年のローンチからわずか1年3か月でサービス終了となり,その間,宇宙へ旅立った同氏は地球に無事帰還したのち,NCsoftを退社。
 しばらくゲーム業界の表舞台から姿を消し,新会社Portalariumの設立と共に再び姿を現した現在は,2013年にKickstarterでの資金集めに成功した新作MMORPG「Shroud of the Avatar: Forsaken Virtues」を鋭意開発中というアンバイだ。なにその大冒険。

6年以上の歳月をかけて開発されたものの短命に終わった「Richard Garriott's Tabula Rasa」
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そして,現在開発中の「Shroud of the Avatar: Forsaken Virtues」
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 ギャリオット氏の人生そのものが,まるでゲームのような波乱万丈っぷりだが,Ultimaシリーズは現在,GOG.comで「Ultima Online」を除く各タイトルが販売中。今回紹介したUltima Iも,「ULTIMA 1+2+3」としてセットで5.99ドルにて購入できるほか,シリーズの転換点となった「Ultima IV: Quest of the Avatar」や,Ultimaシリーズのさらに原点ともいえる「Akalabeth: World of Doom」は,なんと無料で配信されている。これはもう,遊んでみるしかないだろう。さあ,これを読んだアナタも今すぐ,アバタールへの一歩を踏み出そう。

2D画面のフィールド(左)と3Dダンジョン(右)を備えた「Akalabeth: World of Doom」
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GOG.com「ULTIMA 1+2+3」

  • 関連タイトル:

    GOG Galaxy

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