ミュージック フロム ゲームワールド：Track 212 「パックマン」40周年，「ガデュリン」

Illustration by しなぷう

　最近，とある小説雑誌にハマっています。読み切りの短編ミステリーや連載小説，コラムやインタビューなどが満載で，初めて買った号を読破した頃にはすっかり次の号が待ち遠しくなっていました。

　推理小説では，巧みな文章表現で読者をミスリードする“叙述トリック”がよく使われますが，そこで思い出したのが「探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ」の「6枚の犯行」。このエピソードでは，あっと驚く叙述トリックが使われているので，気になった人はぜひプレイを！

　それでは今週の「ミュージック フロム ゲームワールド」は，「パックマン」40周年アルバムと「ガデュリン」の復刻サントラの2枚を紹介します！

著名なアーティスト達が「パックマン」40周年を祝福

「JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -」

タイトル	JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2020年10月28日
価格	3000円（税抜）
発売元	U/M/A/A
コピーライト	PAC-MAN（tm）&（C）BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

　今週の1枚めは，「パックマン」40周年を記念したコンピレーションアルバム「JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -」をご紹介。本アルバムは有名アーティストによるリミックス曲やアレンジ曲を収録したDISC1と，初期のアーケード版「パックマン」シリーズのオリジナル音源を収録したDISC2の2枚組で構成されています。

　DISC1の1曲めは，ケン・イシイ氏が手掛けたパックマン40周年公式テーマ「JOIN THE PAC」。おなじみの「スタートミュージック」に始まり，ゲームの効果音やサンプリングボイスなどを交えたシーケンスが次々と展開していく，軽快なハッピーテクノトラックに仕上がっています。

　2曲め以降も，クールなコア曲「EAT&RUN」，キャッチーなダンスミュージック「PAC-MAN NEVA PAX!!」，ジャズやファンクに英語のラップなども交えた「Ladies and PAC-MAN」，バンドサウンドとエレクトロサウンドを融合させたキュートな「Dots In The Maze」など，各アーティストの個性が発揮された多彩な楽曲が続きます。

　DISC1後半の注目曲は，バックナー＆ガルシアの曲をDiAN（静電場 朔，A-bee，immi）がアレンジした「PAC-MAN Fever」。オリジナルは男性ボーカルですが，本トラックは女性ボーカルによるオシャレなポップチューンに生まれ変わっています。

　DISC2には，アーケード版「パックマン」「スーパーパックマン」「パック＆パル」「パックマニア」のオリジナル音源を収録。ジングルや効果音はもちろん，ゲームプレイを録音したトラックも収録されており，ゲームの臨場感が味わえます。さらに，初CD化となる海外版のサウンドも収録されるなど，コアなゲームミュージックファンなら見逃せない要素も！

　「パックマン」がリリースされた当時に成人した人は，今年で60歳の還暦。親から子へ，もしかしたら孫の代まで，世代を超えて同じゲームや音楽を楽しめるのなら，それはとても素敵なことだと思います。本アルバムはそんな気持ちにさせてくれる，「パックマン」を知るすべてのゲームファンに届けたい1枚です。

U/M/A/A STORE「JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -」

---

記憶を呼び起こす珠玉のメロディが復刻！

「ガデュリン全曲集」

タイトル	ガデュリン全曲集	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2020年11月4日
価格	2750円（税込）
発売元	P-VINE RECORDS
コピーライト	（C）2020 DATAMPOLYSTAR,Co.,LTD./P-VINE,Inc

　今週の2枚めは，スーパーファミコン初の国産RPG「ガデュリン」の楽曲を収録した，「ガデュリン全曲集」を紹介します。本サントラは1991年にリリースされた同名サントラの復刻版で，ボーナストラックにはオリジナル盤で未収録だった5曲が追加収録されています。

　「ガデュリン」はスーファミ初期の作品で，当時プレイしたことがある人も多いはず。筆者もその1人で，ゲーム中盤の広大なダンジョン攻略に心が折れて挫折してしまった苦い記憶が，サントラを聴きながら蘇ってきました。

　ゲームの難しさだけでなく，音楽の完成度が高いことでも知られており，もの悲しさと神秘感を交えながら優雅に流れる「悠久の時の流れ〜オープニング」，物語性を訴えかけるメロディと主張の強いスネアの音が絡む「ルルアの森」，エスニックなメロディが耳に残る「エドナの都」など，ゲームを代表する曲を聴いていると，自然とあの頃にタイムスリップしてしまいます。

　上述のとおり，本サントラではオリジナル盤で未収録だった5曲がボーナストラックとして収録されているのも嬉しいところ。素敵な曲を聴きながら思い出に浸っていると，改めて「ガデュリン」のエンディングを目指して再プレイしてみようかな，と思う瞬間も……。そんなゲームサントラの歴史に残る名盤の復刻作を，ぜひ聴いてみてください！

P-VINE「ガデュリン全曲集」

---

■■風のイオナ■■ マーベルランド産まれのフェアリーランドで育ちで現在はNEO TOKYO在住のフリーライター＆編集者。将来は惑星あくあに移住してサイキックと共存しながら最新ゲームで遊びまくるのが夢。ゲーム＆ゲーム音楽に加えて邦楽インディーロック＆サブカルアイドル追跡，自転車旅行，広島東洋カープの応援などが趣味。地下アイドルグループ，あまりりすのプロデュース＆運営も手掛けています。