ミュージック フロム ゲームワールド：Track 63 「スターオーシャン＆ヴァルキリープロファイル」「憂世ノ志士・憂世ノ浪士」

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　今年も暑い夏がやって来ました。毎年，夏になるとKeyの名作恋愛アドベンチャー「AIR」を思い出して「夏影」を聴きたくなります。きっと来年も同じことを言っていることでしょう。
　さて，四音ちゃんのほのぼの音楽ライフを描いた4コマ「ゲーム音楽っ娘の日常」，1か月振りの第2話が公開です。サントラ目当てでゲームの初回限定版を買うこと，ありますよね。私も数えきれないほど買ってます。
　それでは，今週も「ミュージック フロム ゲームワールド」，真夏に向けてぶっ放します！

桜庭 統氏の楽曲が熱すぎるバンドアレンジに！

「桜庭統 Band Arrangement Album / スターオーシャン＆ヴァルキリープロファイル」

タイトル	桜庭統 Band Arrangement Album / スターオーシャン＆ヴァルキリープロファイル	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2016年6月8日
価格	2800円（税込）
発売元	スクウェア・エニックス
コピーライト	（C）2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

　今週の1枚めは，「桜庭統 Band Arrangement Album / スターオーシャン＆ヴァルキリープロファイル」を紹介します！　桜庭氏が手掛けた「スターオーシャン」シリーズと「ヴァルキリープロファイル」シリーズの楽曲から選ばれた12曲を，バンドアレンジにして収録した本アルバム。ベースやギターはもちろん，ピアノやオルガン等の鍵盤楽器やドラムも生で録音したというこだわりっぷり。熱いバンドサウンドを聴かせてくれる濃厚なロックアルバムに仕上がっています。

　オープニングは，疾走感溢れるハードロックチューン「Stab the sword of justice」。颯爽と駆け抜ける勇敢なリードギターと，バンドアンサンブルが生み出すグルーヴを楽しめる，アルバムのトップを飾るにふさわしい曲です。
　3曲めの「Dynamite」はアルバム中，最もヘヴィな仕上がり。ダウンピッキングによる8分の刻みを重々しく弾き倒すギターリフ，オクターバーをかけてさらに1オクターブ下の音を加えたことで重みを増したベース演奏，重戦車が進むかのようなスローテンポなリズムを荒々しく叩くドラム等，随所に男らしさを感じさせます。
　6曲めは，メインメロディにピアノを据えたバラードナンバー「Never Surrender」。ピアノが奏でる泣きのメロディと，それを盛り上げるストリングスのアレンジが秀逸です。

　アルバム後半も，ギターのユニゾン演奏が生み出す情熱的なフレーズが印象的な「For Achieve」，オルガンをメインに据えたハイスピードナンバー「Tangency」等，バラエティに富んだ楽曲が続きます。アルバムのトリを飾る「Confidence in the domination」はストレートなロックに変拍子を取り入れ，先の読めないスリリングな展開に翻弄される，これぞ桜庭節の真骨頂とも言える濃厚な曲です。

　桜庭氏のファンはもちろんですが，ゲームミュージックのバンドアレンジが好きな人には，とくに聴いてほしいこのアルバム。大のロック好きな筆者も，すっかりドハマり中です。熱すぎるロック魂を詰め込んだこのアルバムを聴いて，暑い夏を一気に乗り切りましょう！

「桜庭統 Band Arrangement Album / スターオーシャン＆ヴァルキリープロファイル」公式サイト

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幕末を彩る和風エレクトロサウンド

「憂世ノ志士・憂世ノ浪士 劇伴音楽集」

タイトル	憂世ノ志士・憂世ノ浪士 劇伴音楽集	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2016年4月22日
価格	2900円（税込）
発売元	SweepRecord
コピーライト	（C）Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.

　今週の2枚めは，スパイク・チュンソフトから発売中のPS3用ソフト「憂世ノ志士」と，PS Vita用ソフト「憂世ノ浪士」の楽曲を収録した「憂世ノ志士・憂世ノ浪士 劇伴音楽集」をご紹介。幕末の京都を舞台に，それぞれ別の主人公を据えた2作品ですが，ゲームにはもちろん新選組のメンバーも登場。余談ですが，筆者も東京・日野市で毎年行われている「ひの新選組まつり」に，新選組隊士の衣装を着てノリノリでパレードに参加したことがあります。また参加したいなあ。

　幕末の世界観を彩る，さまざまなジャンルの楽曲を収録したこのサントラ。作・編曲は，「XI[sai]」シリーズや「どこでもいっしょ」等の楽曲で知られる足立賢明氏が担当しています。最近のタイトルでは「フリーダムウォーズ」の退廃的なテクノサウンドを手がけており，個人的にそちらのサントラも聴きまくったものですが，今作でもそうしたテイストがしっかり入っているのが嬉しいところです。

　さて，1曲めは「憂世ノ志士」のオープニング曲で，和楽器と打ち込み音源を融合させた和風エレクトロサウンド「浮世エンジン（志士OP Version）」。日本的情緒のある歌唱方によるボーカルと，お祭りの囃し的なコーラスが彩りを加えています。43曲めには「浮世エンジン（浪士OP Version）」が収録されており，アレンジの違いも楽しめます。

　祭囃子そのままといった風情の8曲め「月が渡る橋 -昼-」も印象的。ピーヒョロと吹き鳴らされる笛の音色が，いかにもなお祭りの雰囲気を感じさせます。同じ場面の夜バージョンにあたる「月が渡る橋 -夜-」，上品な純和風サウンドの「厳かなる御所」，アンビエントな「愛執ト哀愁」等，日本的な美しさを前面に出した素敵な楽曲が満載で，これらの楽曲を聴いていると，この国に生まれてよかったなと改めて思わずにいられません。

　そして，本サントラのもう1つの注目ポイントが，上記と対極的な和風テクノサウンド。サンプリングを取り入れたノイジーでインダストリアルな「昏倒スル混沌」を始め，同様のサウンドを四つ打ちのビートに乗せた「KABUKI CHANBARA -剣劇-」，インパクト抜群の祭囃子テクノ「憂世ノ草子」等，多彩な味付けをされた楽曲が目白押しです。
　日本人なら間違いなく心に響くと断言できるこのサントラ。幕末の時代を描く純和風＆和風エレクトロサウンドを，ぜひ堪能してください！

「憂世ノ志士・憂世ノ浪士 劇伴音楽集」公式サイト

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■■風のイオナ■■ マーベルランドで産まれ，フェアリーランドで育ち，さざなみの島で一攫千金を夢見るも，バビリム王国に連れ去られて塔建設の奴隷として働く。巨大宇宙船に密航して惑星あくあへ逃亡後，仕事の都合でモタビア星に移住し，ハンターとして惑星ラグオルの調査をして生計を立てていたが，現在はNEO TOKYOを拠点に活動中。ゲーム＆ゲーム音楽に加えて邦楽インディーロック＆サブカルアイドル追跡，自転車旅行，広島東洋カープの応援などが趣味。2016年で編集＆ライター生活20周年を迎えてしまいました。