連載
ミュージック フロム ゲームワールド:Track 32
スーパーファミコン用ソフト「レナス 古代機械の記憶」は,音楽の素晴らしさでも知られています。作曲はアニメ音楽等で知られる田中公平氏が担当しており,スーファミのゲーム音楽の中でも個人的に一番のお気に入りです。
しかし,音楽作品としてはゲーム発売当時に配布されたミニサントラのCDシングルと,アレンジアルバム「レナス 古代機械の記憶 オリジナル・アルバム」がリリースされただけで,完全版のサントラは2015年現在までリリースされていません。いつかサントラ化されたらいいなと密かに思い続けています。
それでは今週も,ゲームミュージックファンの記憶に残る1枚が増えることを願って「ミュージック フロム ゲームワールド」,始まりです!
下村陽子プロデュースによる初のアレンジアルバム
「聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise-」
タイトル | 聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise- | |
発売日 | 2015年9月30日 | |
価格 | 3000円(税抜) | |
発売元 | スクウェア・エニックス | |
コピーライト | (C)1999, 2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. |
今週の1枚めは,1999年にリリースされたPlayStation用ソフト「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」の楽曲に,作曲者である下村陽子氏のプロデュースによる選曲とアレンジを施した「聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise-」をご紹介。
同作のアレンジ曲は下村陽子ベストアルバム「drammatica」に,オーケストラアレンジとして数曲が収録されていましたが,1枚丸ごとアレンジアルバムというのは初。さらに,今回のアルバムには「聖剣伝説 HEROES OF MANA」からのアレンジ曲も2曲収録されています。
1曲めの「ホームタウン ドミナ」は軽快なジャズアレンジ。お馴染みのメロディをモチーフとして取り入れながらの即興プレイを交え,鍵盤の上で優雅に踊るように流れていくピアノの演奏がスリリング。中盤で3拍子になる展開もいいアクセントになっていて,これぞジャズといった仕上がりです。
2曲めはラテン系のリズムが気持ちいい「海へ」。グルーヴ感あふれるリズムで,アコギ,笛,ピアノのリードフレーズがメロディを奏でていきます。賑やかなラテン調の中にファンタジックな雰囲気も感じられるアレンジが独特です。続く「港町 ポルポタ」は,ピアノソロのみで構成された,メロディの良さを堪能できるシンプルなアレンジ。連弾バージョンでも聴いてみたいと思わせる仕上がりです。
「聖剣伝説 HEROES OF MANA」からのアレンジ曲として収録された2曲も,アルバムに違和感なく溶け込んでいます。「Tango Appassionata 〜その心のままに〜」はタイトルどおりタンゴアレンジに。情熱的に響くバイオリンのメロディとピアノの絡みで高揚した気分を,中盤のアコギのカッティングが仕切り直し,再度,後半戦へ向けてアゲていく展開にしびれます。もう1曲の「運命はかくも残酷に」では,落ち着いたテンポのバイオリンの演奏と,アコギとのソロバトルが楽しめます。
そしてラストを締めるボーカル曲「Song of MANA」も,本アルバムに合わせたアレンジに。原曲の壮大さから一変,民族楽器の演奏を中心にした異国情緒を感じさせる雰囲気が,楽曲の新たな魅力を引き出しています。
こうしてこのアルバムを聴いてると,不思議と旅に出たくなる感覚に陥ります。そういえば下村氏がこのアルバムに「ここではないどこかへ,このアルバムで旅に出ませんか?」というコメントを寄せていました。このアルバムは,そうした好奇心を引き出してくれる1枚です。
スクウェア・エニックス「聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise-」
アーケードゲームファンを唸らせる音質で迫る第4弾
「タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.4」
タイトル | タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.4 | |
発売日 | 2015年8月26日 | |
価格 | 3200円(税抜) | |
発売元 | ウェーブマスター | |
コピーライト | (C)TAITO CORPORATION 1987,1994 ALL RIGHTS RESERVED. |
1980年代から90年代にかけてゲームセンターで多くの時間を過ごしたアーケード野郎の注目を集めている「タイトー デジタルサウンドアーカイブス」シリーズ第4弾が,早くも登場しました。
今回は「ミッドナイトランディング」「トップランディング」「パワーホイールズ」「デッドコネクション」「サンダーフォックス」「ダライアス外伝」「ミズバク大冒険」の7作品をCD2枚組で収録。もちろん今回も,時計の針を巻き戻してくれる,ノスタルジックなサウンドがばっちり楽しめます。ということで,今週の2枚めは「タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.4」をご紹介!
DISC1のトップを飾るのはフライトシミュレーター「ミッドナイトランディング」。シンプルなパート構成で鳴るメロディが,夜間のランディング気分を高めてくれます。続編の「トップランディング」では迫力あるサウンドに進化し,「Main Theme 1」のメロディが高まる気分をさらに押し上げます。「Main Theme 2」の明るい曲調も,ゲームに慣れてきたプレイヤーに余裕を与えてくれる雰囲気があってお気に入りです。余談ですが,この2作の筐体の中でゲームもせずに寝ている人がいるのを何度か見かけたことがあります。昭和ですよねえ。
初の音源化となる「パワーホイールズ」の楽曲は,YM2610が鳴らすレースゲームらしいザラザラとした質感を伴ったロックチューンがメイン。「CROSSCOUNTRY RACE」で聴ける,重いビートと激情感にあふれたサビメロがたまりません。さらに海外版「ダブルアクセル」からのBGMも特別に収録されています。
続く「デッドコネクション」「サンダーフォックス」の2作も初の音源化。全体的にスパイ映画の雰囲気を感じさせる曲調が印象的な「デッドコネクション」,ベースの音がカッコイイ「サンダーフォックス」も渋いサウンドで楽しませてくれます。
DISC2には,シューティングファンに人気の高い「ダライアス外伝」の楽曲が,初のデジタル新録で収録。過去の音源よりもクリアな音質で収録されたことで,今まで意識して聴いてこなかったパートに新たに気付くという発見もありそう。
そして,ラストは「ミズバク大冒険」。マーチのリズムに乗って流れるSTAGE1のBGM「仲良くしようよ!みんな友達さ!!」に代表されるように,可愛らしくほんわかとした雰囲気で締めくくってくれます。こちらもデジタル新録で,クリアな音質で楽しめます。
過去のアーケードゲームの楽曲を最高の音質で甦らせてくれる本シリーズ。当時と変わらない気持ちで,新作が出るたびにワクワクしながら聴いています。「Vol.5」にも期待大です!
ウェーブマスター「タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.4」
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- 関連タイトル:
聖剣伝説 ヒーローズ オブ マナ
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