連載
ミュージック フロム ゲームワールド:Track 10
「ミュージック フロム ゲームワールド」も今回で10回め! まだ始まったばかりと思っていたのもつかの間,週刊連載のスピードの速さに驚くばかりです。でも実は過去に某メルマガの週刊配信を執筆していたことがあります。ちなみにそのメルマガとは「P.S.すりーさん」単行本化企画の時に配信していたもの。なんと1巻の時は日刊で,あまりに大変だったので2巻と3巻では週刊に変更になったのでした。
さて,すりーさんと言えば元ネタはPS3ですが,私がPS3を買ったきっかけは「戦場のヴァルキュリア」です。発表当時,これはPS3を買わねば! と思って本体を購入して待機していたらゲームの発売に合わせて開発者インタビューの仕事をいただいて驚きました。「戦場のヴァルキュリア」は崎元 仁氏の手がけたサウンドも素晴らしく,サントラも楽しみましたが,JUJUの歌うオープニング曲が気に入って彼女のアルバムを購入して聴いたりもしました。
こんな風に,いろいろなことから音楽ワールドを広げていくのも,自分流の音楽の楽しみ方です。読者の皆さんにもこの連載がきっかけで新たな音楽との出会いがありますように! それでは記念すべき10回めの「ミュージック フロム ゲームワールド」へご招待!
元気いっぱいの川背さんの活躍をサウンドで再現
「さよなら海腹川背ちらり サウンドトラック」
タイトル | さよなら海腹川背ちらり サウンドトラック | |
発売日 | 2015年4月30日 | |
価格 | 3500円(税抜) | |
発売元 | スィープレコード | |
コピーライト | (C)2015 Agatsuma Entertainment Co.,ltd. (C)モーションバンク / 2015スタジオ最前線 |
謎の四字熟語風タイトルが印象的なスーパーファミコン用ソフト「海腹川背」がリリースされたのは1994年12月。当時はゲームショップでバイトをしていた私ですが,同作はクリスマス商戦にリリースされた割に注目も少なく,お店への入荷は1本だけ。しかしその1本は早い時期にいつの間にか売れてしまっていた記憶があります。あれから20年が過ぎ,しっかりとコアなアクションゲームファンが付いて愛され続けている海腹川背さん。今週の1枚めは,そんな川背さんが活躍する最新作「さよなら 海腹川背 ちらり」の楽曲を収録したサントラを紹介!
本山淳弘氏が手がけてきた「海腹川背」シリーズのサウンドから連想するのは夏! 真夏! 真夏に照り付ける太陽の日差し! これに尽きます。「『川・下流』面BGM」のぱーっと気分を開放的にしてくれるイントロ,そしてメジャーコードに乗って飛び出してくる明るいメロディはパワフルで,気分を一気にMAXまで上げてくれる魅力を持っています。ほかにも「『川・上流』面BGM」や「『海・磯』面BGM」などの曲もインストでありながらメロディに歌詞が乗りそうなほどキャッチーでポップな曲調が親しみやすく,ついつい何度も聴きたくなってしまいます。
最新作「さよなら 海腹川背 ちらり」のサウンドも,スーファミ時代の耳触りや雰囲気を引き継いだものになっているのがファンには嬉しいところ。とくに「学校」や「居酒屋」で聴けるポップな曲調には嬉しさと懐かしさが同時に込み上げてきます。でも,このサントラは冷房の効いた家の中で聴くのではなく,外に出て真夏の日差しを浴びながら大音量で聴くことで最高の気持ち良さを得られそうな気がします。ぜひとも今年の夏は,そんな海腹川背サウンドを野外で体感してみてください。
ところで,ご存じの人も多いかとは思いますが「海腹川背」というタイトルは「海の魚は腹に,川の魚は背に脂が乗っている」という板前用語が由来。そんなわけで,旅館などの料理では,川魚が背をこちらに向けた状態で出てくることがあります。もしそうした光景を目にしたら「お,ここの板前さん分かってるね!」と通ぶってみてはいかがでしょうか。もちろん,旅先に向かう時は「さよなら海腹川背ちらり サウンドトラック」を聴きながら!
「さよなら海腹川背ちらり サウンドトラック」
女の子同士の恋愛模様を盛り上げる上品で美しい旋律
「FLOWERS ORIGINAL SOUNDTRACK -été-」
タイトル | FLOWERS ORIGINAL SOUNDTRACK -été- | |
発売日 | 2015年4月17日 | |
価格 | 3000円(税抜) | |
発売元 | Innocent Grey | |
コピーライト | (C)Innocent Grey / Gungnir All Rights Reserved. |
女の子同士の恋愛――俗に百合と呼ばれるジャンルには独特の雰囲気があります。純度100%の汚れなき2人の少女が愛し合う姿は,この世で最も美しいものを見ているかのようで,心が洗われる思いでいっぱいです。いきなり何を言ってるんだと思われた方,すみません。今週の2枚めは女の子同士の恋愛模様を描いた,全4部作のミステリィアドベンチャー「FLOWERS」シリーズの2作め,「FLOWERS -Le volume sur été-」(FLOWERS 夏篇)のサントラを紹介。ちなみに本シリーズは全年齢対象の作品なので18歳未満の人もご安心ください!
作曲はLittle WingのMANYO氏で,ピアノやヴァイオリン等のアコースティック系楽器の音を中心に構成された,上品な雰囲気に仕上がっています。オーバーチュアを飾る「夏のアングレカム」はアコーディオンの優しくも雄大な音色を,素直さを感じさせる木琴の音色が追いかける――まるで2人の少女の関係性を音とメロディで物語っているかのような素敵な1曲。そして2人の歩調を緩やかに合わせたかのようなアンダンテ「いつまでもあなたと一緒」に続いていく。
こんな感じで,楽曲が作り上げるストーリーをいろいろと想像して楽しませてくれます。個人的にお気に入りの曲は「The Procession of the Fairy Tales」。まるでどこかの王宮の賑わいを描いたようなバイオリンのリードと,ウキウキ気分を誘発してくれる跳ねるようなピアノのリズムには,思わずつられて気分が乗ってきてしまうほど。
また,鈴湯の歌う主題歌「夏空の光」,霜月はるかの歌うエンディング曲「chaleur」の2曲はオリジナルバージョンに加え,ピアノアレンジとバイオリンアレンジも収録されており,優しく包み込んでくれるボーカルが安らぎと癒しを与えてくれます。各楽曲を聴いていると,物語と共に音楽が「FLOWERS」の世界観を構築している,そんな印象を受ける1枚です。
ちなみにシリーズ1作め「FLOWERS -Le volume sur printemps-」(FLOWERS 春篇)のサントラ,「FLOWERS ORIGINAL SOUNDTRACK -PRINTEMPS-」も発売中なので,興味を持った人はぜひ2枚合わせて「FLOWERS」の世界観に浸ってみてください。真夏の避暑地で涼みながら優雅なひと時を演出する,そんなBGMにいかがですか?
「FLOWERS ORIGINAL SOUNDTRACK」シリーズ
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- 関連タイトル:
さよなら 海腹川背 ちらり
- 関連タイトル:
FLOWERS
- 関連タイトル:
FLOWERS
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(C)2015 Agatsuma Entertainment Co.,Ltd. (C)モーションバンク/2015 スタジオ最前線
(C)2014 Innocent Grey/Gungnir/PROTOTYPE
(C)2014 Innocent Grey/Gungnir/PROTOTYPE