プレイレポート
大人だからこそ本気で楽しみたい「妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ」のプレイレポートをお届け。子供心を思い出す“遊び”に満ちたRPGとは?
そんななか,先日開催された「LEVEL5 VISION 2016 -NEW HEROES-」では,「妖怪ウォッチ」シリーズのさらなる新展開が明かされた。かねてより発表されていたスマホ向けゲームへの進出に伴い,「妖怪大辞典」(iOS / Android),「妖怪ウォッチ ゲラポリズム」(iOS / Android)といった派生タイトルのリリース,そしてニンテンドー3DS用ソフトとして発売されたシリーズの原点「妖怪ウォッチ」が「妖怪ウォッチforスマートフォン」(iOS / Android)として,スマホ向けに移植されることでも大きな話題を呼んでいる。
これから訪れるであろう「妖怪ウォッチ」大旋風に備え,本稿ではシリーズの醍醐味を存分に楽しめる「妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ」をあらためて紹介しておきたい。
「妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ」公式サイト
USAと日本,2つの国でリンクする壮大な冒険とミステリー
物語は,お父さんの仕事の都合でUSA(ユーエスエー)へと引っ越した天野ケータと,日本(ジャポン)に暮らす未空イナホの2つの視点によって描かれていく。2人の主人公を切り替え,ケータ編/イナホ編それぞれのストーリーを進めていくのだが,特定のタイミングで操作キャラクターを切り替えることで“ストーリーリンク”が発生し,互いのストーリーを進めるためのヒントを得られる仕組みになっている。どちらかのストーリーで行き詰まったら,もう片方の主人公を操作してヒントを見つけ出せるというわけだ。
どちらのエピソードを進めるかはプレイヤーの自由。マップ内のキュッピーから好きなタイミングでキャラクターを切り替えられる |
クエストをこなすことで各章のストーリーがアンロック。このあといったい何が起こる……? |
メインストーリーはもちろんだが,本作の楽しみの1つといえば,広大な街を探索し,さまざまなスポットに潜む妖怪と“ともだち”になる「妖怪探し」だろう。プレイヤーは,車の下や路地裏,草むらといったあらゆる場所に隠れている妖怪を探し出し,バトルを通じて“ともだち”になれる。見知らぬ街で宝探しをしているかのような,独特のワクワク感は今作でも健在だ。
加えて,冒険の舞台がUSAと日本の2つの地になったことで,新たな土地を冒険する新鮮さと,おなじみの街だからこそ感じる“地元で遊ぶ安心感”も同時に味わえるだろう。ちなみに,日本にはオタクの聖地と呼ばれる新マップ“アオバハラ”が追加されている。筆者は現実のオタクの聖地と比べながら探索してしまい,ついニンマリしてしまった。あの建物のモデルはもしや……。
ゲームを進めるうえで忘れてはならないのが,各所に散りばめられたミステリーだ。USAでは,どこか怪しげなFBY捜査官のマルダーとカクリー,少年マックとともにミステリーを解明していくこととなる。街に散らばった証拠品や目撃者の証言を集め,ミステリーを解決へと導いていこう。
海外ドラマ好きならば思わずニヤッとしてしまうこのマルダーとカクリー。キャラクターの見た目はもちろんだが,2人の軽快なやりとりからも「ああ,あの2人だ」と思わせる,原作へのリスペクトを感じずにはいられなかった。ミステリーのヒントとして登場する“ヌーマガジン”に関しても,大人だからこそ「おっ」となる要素の1つで,「このヌーマガジンという雑誌はだね……」と,兄弟や子供に小ネタをついつい共有したくなってしまった。
ツナギで広がる新たな戦略性,タクティクスメダルボード
妖怪とのバトルには,新システム“タクティクスメダルボード”が採用されている。このシステムは,3×3マスの盤面上に妖怪メダルを配置し,メダルを操作することで仲間の妖怪を移動することができる。これを利用することで,敵妖怪からの範囲攻撃を避けたり,盤面上のアイテムを拾ったりできるほか,サブエリアで控える仲間妖怪と交代したりもできる。
これまでのシリーズ作品では,プレイヤーが介入できる要素は極めてシンプルで,必殺技の発動や,おはらい,サークルをスライドさせメンバーを交代する,といったものだった。しかし,このタクティクスメダルボードが加わったことにより,プレイヤーがバトルに介入する機会が増え,ただ見守るだけではない手に汗握るバトルへと進化を遂げているのだ。
さらに,このタクティクスメダルボードはメダルの配置によって,“ツナギ”と呼ばれる効果が発動する。メインエリア上のメダルをタテにつなげて配置する「たてツナギ」なら,前列にいる妖怪が後ろの仲間を守りダメージを肩代わりする。ヨコにつなげて配置する「よこツナギ」なら,つながっている妖怪が攻撃をすると,左右の仲間が追撃をしてくれるというものだ。
ガンガン攻めたいときはヨコ1列にメダルを並べ,追撃で絶え間なく攻撃を仕掛ける。ピンチの仲間がいたら,壁役の妖怪でたてツナギを発動して回復までの時間稼ぎをする……こういった,タテヨコの配置によるツナギ効果を戦況に応じて使い分けることがバトルのキモとなってくるだろう。
敵が必殺技を繰り出そうとしたら,攻撃範囲内にいる仲間を移動させて回避 |
仲間の必殺技も敵同様に効果が及ぶ範囲が決まっている。敵が効果範囲内にいるときに発動しよう |
妖怪の持つスキルにはマスの位置で能力がアップするもの,つながっている仲間を回復するもの,たてツナギ状態であっても追撃が発動するものもあり,スキルの効果によっても戦略がさらに広がっていく。このツナギ,位置,スキルの組み合わせで,いかに隙のないチームに仕上げるかはプレイヤーの腕が試されるところだろう。
はじめのうちは「どんな妖怪の組み合わせであっても,よこツナギにしておけばいい」と,筆者は浅はかな考えを抱いていた。ところがどっこい,ともだちになった妖怪の種類が増えるにつれ,ツナギやマスの位置に関係するスキルが出始め,タクティクスメダルボードが生む奥深い戦略性に唸らずにはいられなかった。スキルとツナギの効果によって低ランク妖怪の活躍の場が増えた点も,“セミまる”(ランクE)好きの筆者的にはうれしいポイントだ。
チームの中に同じ種族の妖怪が3体以上いると“陣形”が発動する。これはいわゆる種族効果のようなもので,その効果はチーム全体に及ぶ |
仲間の妖怪がとりつかれたら“おはらい”で助けよう。とりつかれたまま放置してしまうと,仲間がまともに動かずピンチに陥りやすい |
チーム作りにおいて一役買ってくれるのが,自分好みの見た目,能力にカスタマイズできるマイニャンだ。ほしい能力と種族を併せ持った仲間の妖怪がいないときは,その理想に沿ったマイニャンを育成することで,足りない戦力を補うことができる。イサマシ縛りチームの回復要員やポカポカ縛りチーム用に強めのアタッカーがほしい,そんなときはマイニャンを育成してみよう。
マップの中には遊びが溢れている
子供心を呼び起こす冒険の日々
街の中にはあらゆる仕掛けが仕込まれており,「横断歩道のボタンを押すと信号が切り替わる」「家で手を洗える」「歯を磨ける」といった,ゲーム進行には一見関係なさそうなギミックが用意されている。
この細かなアクションにリアクションが用意されていること自体に感心させられるが,こういった仕掛けの1つ1つが青鬼やアライ魔将,歯磨貴婦人といった妖怪の出現フラグに直結しているというのだから,これまたビックリである。誰かに教えてもらわなければ気付けないかもしれない無数の作りこみからは,「ごくごく当たり前の日常の中にも妖怪達は息づいている」というメッセージが込められているのかもしれない。
本作ならではという点では,森の秘密基地で楽しめるイカダでの冒険も外せない。自分でカスタマイズしたイカダに乗り川下りへ出るのだが,これがただ川を下るだけではない,冒険に満ちたアクティビティとなっている。
オールを漕いでミミシッポリバーを下っていくと,ワニに噛まれ,コウモリに襲われ,障害物が行く手を塞ぐデンジャラス体験が待っている。決して穏やかではないイカダアドベンチャーは,川にルート分岐が存在し,プレイヤーがどのルートを進んだかによって終着点が変わる仕組みだ。
怪しい遺跡,真っ暗な洞窟,不思議な神殿,こうした見知らぬ場所を目指す手探りの冒険は,忘れかけていた冒険心に火をつけてくれる要素の1つといえるだろう。そうそう,子供の頃にイカダを作って川を下る無謀な憧れを抱いていたなぁと,懐かしさを覚える瞬間でもある。
多くのファンを魅了してきた「妖怪ウォッチ」シリーズ。本作はストーリー,バトルシステム,ふんだんな遊びの要素,どれをとってもこれ以上ないほどの出来栄えとなっている。誰もが抱いた憧れや,過ごしてきた懐かしい日常を呼び起こし,大人達がいつの間にか忘れてしまった“子供心”を思い出させてくれるタイトルであり,決して子供だけが楽しむゲームではない。すべての大人達にも文句なしにオススメできるRPGだ。
ただ妖怪を集めて戦うだけではない,遊びと冒険に満ちた不思議な日常が「妖怪ウォッチ」の中には広がっている。大人だからこそ本気で楽しめる本作を,夏休みのお供としてぜひプレイしてほしい。
「妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ」公式サイト
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(C)2016 LEVEL-5 Inc.
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