インタビュー
4周年を迎えた「ガンダムジオラマフロント」の戦場にドズル・ザビが登場!? 今後の展望を開発スタッフにインタビュー
そんな同作について,本作プロデューサーの小池 淳氏,ディレクター分部晃徳氏,運営プランナー佐々木健太氏の3名に今後の展望を聞いてみた。
ついにモビルスーツが700種を突破!新モード「総力戦」には賛否の声も
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。前回のインタビューで,昨年8月に行われた「リプレイド作戦」などを含む大型アップデートについてお聞きしました。その後も継続的にアップデートが続いていますね。
はい。「撃墜スコアランキング」や先日実装された「総力戦」など,2〜3か月のスパンでプレイ環境が大きく変わっています。「リプレイド作戦」が定着した一方,総力戦には賛否を含め,さまざまな反応をいただいています。
4Gamer:
それは,どのような?
小池氏:
総力戦は「階級戦」に代わって実装されたバトルコンテンツですが,階級戦が前日までに準備をし1日かけてゆっくりとプレイするスタイルだったのに対し,総力戦は参加するプレイヤーさんがいつでも,何度でも,即座に戦闘が行えるようになりました。
バトル面では,階級戦などでトレンドが決まってしまうとバトルに変化が起こりづらいことも多く,700種を超える機体や施設のバリエーションがあるにもかかわらず,使う場所が少ないといった課題が多く存在していたんです。
4Gamer:
それだけの機体があるのに,使うものが決まってくるのはもったいないですね。
小池氏:
はい。この課題に対して,総当たり戦という形にさせていただいたんです。さらに,今までに集めた機体を幅広く遊べ,本来のジオラマバトルが楽しめるように「テーマ適性」「レギュレーション」といったシステムを導入しました。
これによって遊びの幅が広がる半面,「ジオラマの作成や部隊の準備が以前よりも手間がかかる」「マッチングで人数が揃うまでの時間がかかる」と言ったご意見をいただいており,このあたりは次の課題と認識し対策を検討してます。
4Gamer:
なるほど。総力戦とリプレイド作戦の内容についてはどんな反響があったのでしょうか。
小池氏:
どちらも機体の被りが許されないこともあり,「単に強い機体を選抜するだけでなく,いろいろな機体を使えるようになった」とご好評をいただいています。とくにリプレイド作戦については,攻略方法を相談したり,ユニットを模索したりといった遊び方ができた,と。
4Gamer:
そのあたりはガンダムファンの気質にも関わるところだと思うのですが,単に強い機体だけを求めているわけではないということなのでしょうか。
小池氏:
やっぱり「思い入れのある,お気に入りの機体を使って遊びたい」ですよね。そうした方々のご期待に添える遊び場を提供することが,機動戦士ガンダムというIPを使ったゲーム作品としての使命だと考えています。
“リアル頭身”になって参戦したSDガンダム。SDとリアルとの差で実装には苦労も?
4Gamer:
ガンダムゲームという視点から考えると,2018〜2019年かけては結構マニアックな施策や機体が出てきたという印象です。「機動武闘伝Gガンダム」の量産機である「ノブッシ」の登場や「SDガンダム」コラボなど,なかなか濃いと思います。
小池氏:
SDガンダムとのコラボは作っていて楽しかったですね。我々の世代は当時出ていた雑誌で見るガンダムの漫画と一緒に育ってきたようなところがありますから。個人的にも「機動戦士ガンダムF91」と同時上映されていた「武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃」を観てワクワクした思い出が甦ってきました(笑)。
4Gamer:
では,SDガンダムコラボで苦労した点はありますか。
小池氏:
自分達が当時に感じたワクワクを今の人にも感じてもらいたい,また当時の記憶を思い出してもらえるようなコンテンツにしたい一心で,かなり作りこみました。
我々のゲームでは,「武者頑駄無(武者ガンダム)」が「ガンダム」に乗るアムロ・レイと会話するようなこともありますし,「騎士ガンダム」が「ガンタンク」を見て,SDガンダムの「僧侶ガンタンク」だと勘違いしたりもします。「サタンガンダム」が当時スーパーファミコンのゲームで使用していた「メガバズ」といった魔法も,しっかりボイス付きで詠唱するようにしました。
こうしたコラボの台詞も,イメージを崩さないようにしつつ,ジオラマフロントならではのお楽しみ要素も慎重に盛り込んでいます。
キャラクターのイメージをゲームシステムで表現することもしています。武者頑駄無だと「致命的なダメージを受けても一度だけHP1で踏みとどまる」という新しい特性を実装しました。また「スペリオルドラゴン」を初めて3Dモデル化することになったので,原作の良さを活かしたデザインとし,スダ・ドアカワールドの神であることを踏まえて強力なパワーを持たせています。
佐々木健太氏(以下,佐々木氏):
あと苦労話で言うと,横で小池がカードダスになぞらえた謎解きを作っていたんですが,もしかしたらそれがチーム的には一番苦労したかもしれません(笑)。
小池氏:
SDガンダム系の機体は小ネタをふんだんに盛り込んだのですが,ネタがかなりコアなので,開発チームでは僕以外に誰も分からないこともありました(笑)。
4Gamer:
よほど好きでないと,気づいてもらえなさそうですね(笑)。あと,足軽璽武や「暴留(ボール)」「Vガンダムヘキサ(オリファー機)」といったマニアックな機体が追加されていますよね。機体以外にも,「ザクの日感謝祭」が2年ぶりに開催されたうえ,ザクばかりのリプレイド作戦「ザクイズム」が配信されたり,「ザムザザーの日」でアイテムを配ったりと,面白い取り組みが行われています。
佐々木氏:
ザムザザーはサービス開始当初から登場していて,防衛で猛威を振るいましたが,懐かしんでいただけたようで嬉しいです。ちなみにキービジュアルを担当されている森下(直親)さんはザムザザーが好きと伺っています。「ザクの日」については,実は2017年の初実施以降,お客様から「今年はやらないんですか」と毎年お問い合わせをいただいていまして,2年ぶりの開催となりました。
4Gamer:
その声に応えられたといった感じなんですね。ところで,実装する機体を選ぶうえで,基準のようなものはあるのでしょうか。
小池氏:
「ガンダムジオラマフロント」で活躍できるか否かが基準となりますね。また,「エルメス(メガ粒子砲)」のように,ゲーム内の事情を鑑みて実装が決まることもあります。
4Gamer:
ゲーム内の事情とは?
分部氏:
当時は「ラフレシア」がトルーパーユニットの「バグ」を展開する広域攻撃で猛威を振るっていました。強いうえ,入手する機会がランキング報酬のみと限られていたことで,埋められない戦力差が問題となっていたんです。そこで,同様の広域攻撃を持つ機体を手に入りやすい形で実装することとなり,エルメス(メガ粒子砲)の実装が決まりました。
4Gamer:
なるほど。その時点におけるバトル環境を考え,求められている性能から逆引きされる形で機体が実装されることもあるわけですか。
小池氏:
そうです。バトル環境における性能や入手経路といった課題を解決するため,必要になる性能を持つモビルスーツやモビルアーマーを原作から選び,ゲームの機体として実装するわけです。同様の経緯で実装された機体としては「ノイエ・ジール」に対する「ラフレシア(テンタクラーロッド展開)」が挙げられます。こちらは「ジオラマ内を動き回るモビルアーマー」がテーマとなりました。
2019年は,参戦シリーズで足りない機体を実装する「深彫りの年」に
4Gamer:
最近実装した機体で反響の大きかったものはありますか。
やはり「ユニコーンガンダム(光の結晶体)」とSDガンダム関連,そして「ラフレシア(テンタクラーロッド展開)」ですね。とくにユニコーンガンダム(光の結晶体)は非常に強い機体で,4年の歴史の中で,かなり大きな反響がありました。ただ,特定機体の「一択」になるような状況だと遊びの幅が狭くなってしまいますし,さまざまな可能性があるガンダムだからこそ,機体選択に多様性を持たせるように検討していきます。
4Gamer:
とはいえ,最新のキャラクターや機体に人気が集中する傾向が多くの作品で見られると思います。
小池氏:
本作の場合は,混載ということもあって,お客様それぞれ思い入れの強い作品はさまざまだと思います。例えば,一口に宇宙世紀ものといっても,「機動戦士ガンダムUC」や「機動戦士ガンダムNT」といった新作もあれば,「機動戦士Vガンダム」など時代背景が少し離れた作品,ゲームからの出展作品などもありますし,宇宙世紀以外でも「機動戦士ガンダムOO」や「機動戦士ガンダムSEED」など,幅広く存在しています。新機体をリリースする際は,その思いにお応えできるよう,作品バランスには配慮してリリースしています。
4Gamer:
好みの細分化といえば,先日から行われている「GDF3rd モビルスーツ選抜総選挙」の反響はいかがでしょうか。
大きな反響をいただいています。「10位までに入った機体の中から,好きなものをもらえる」という報酬の性質上,ユニコーンガンダム(光の結晶体)のような強い機体が人気です。一方,ガンダム試作3号機のように,映像作品の人気を反映した機体も支持を集めていますね。機体としての強さと,作品人気としての強さがせめぎ合っているような状態です。このインタビューが掲載されるころには結果も出ているかもしれませんね。
4Gamer:
いろいろなガンダム作品が集まるゲームだからこその苦労はありますか。
小池氏:
3Dモデル化された機体がバリバリと動くのに加え,作品の枠を越えたパイロット同士のやりとりもありますから,気を付ける部分は確かに多いですね。
4Gamer:
機動戦士ガンダムNTは,2018年11月30日の劇場公開より1か月も早く,「不死鳥狩り」が実装されていますね。
小池氏:
リプレイド作戦というコンテンツを作るうえで難しい面でもあるのですが,原作の世界に没入しつつ,多人数で介入し,なおかつ毎回新鮮な遊びを両立させることに重点を置いています。
皆さまがまだ目にしていない作品でしたし,劇場での楽しみを奪わず,けど期待感をもって,その世界観を少しでも感じていただけるように1つ1つ丁寧に解決していきました。
4Gamer:
どこまで情報を開示するのか,そのギリギリの線が難しいですよね。
小池氏:
ええ。ですが,その苦労も甲斐あって,リプレイド作戦を遊んだ後に映像を見て「ああ,これはこういうことだったのか!」と驚きの声もいただけました。そうして楽しんでいただけることが何より嬉しいです。
もちろん,物語のニュアンスはゲームだけでは伝えきれませんし,逆にゲームには自分の操作で介入できる面白みもありますから,映像にゲームにと色々な角度からガンダムという作品をお楽しみいただければと思います。
4Gamer:
ゲームと映像作品の両面で楽しめるのはガンダムシリーズならではですね。では,今後のアップデート計画について教えてください。
分部氏:
ここしばらくのアップデートでプレイのサイクルを整えてきたので,今後はコンテンツボリュームの充実に注力していきます。また「同盟戦」も調整を予定していて,少人数の同盟でも気軽に遊べ,同盟の全員が参加を強制されるのではなく,都合の合う方が自発的に参加できるような形を考えています。
ほかにも,かつて実装された機体に対し,現環境に合わせた能力を与え,新たに活躍の場を用意するという取り組みも継続していきます。基本的には下方修正は考えておらず,トレンドから外れてしまったユニットや施設を強化していく予定です。
4Gamer:
下方修正を考えていないというのはプレイヤーにとっては,嬉しいのではないでしょうか。
小池氏:
昔の機体を切り捨ててどんどん強いものを実装していくより,どの機体にも平等に活躍の場をあげたいですから。ガンダムのオンラインゲームを作っていくうえでは,ユニットの1つ1つがコンテンツであり,そのすべてが平等であるべきだと考えています。
4Gamer:
思い出の機体が再び活躍できるようになりますし,プレイを一旦お休みしている人が復帰するチャンスでもあるわけですね。
小池氏:
はい。昔の機体が強くなっているので,いま復帰していただいてもプレイには支障はありません。これからもバランス調整は行いますし,リプレイド作戦,総力戦を中心に活躍できる場も増えていくので,ぜひご注目いただければと思います。
4Gamer:
では,今後はどのような機体が参戦しますか。
小池氏:
2019年は3月に実装された「機動戦士ムーンガンダム」の「バルギル(ガンダムヘッド&サイコプレート搭載型)」や「ムーンガンダム」のように,新しい機体が登場するのはもちろんですが,これまでの参戦シリーズで足りない機体を実装する「深彫りの年」にもなります。
4Gamer:
足りない機体というのは,「このシリーズが参戦しているのに,なぜこの機体がいないんだ」的なニュアンスでしょうか。
小池氏:
そうです。ジョニー・ライデンなどのMSVの機体や,まだ秘密ですが……あんなキャラクター,こんな大型機体ですね(笑)。部隊を強くするという側面ではシリーズの中で足りないユニットタイプやテーマ適性の量産機も意欲的に追加していきます。
また,2019年5月頃からは「水域」というテーマ適性のコンテンツや機体が本格的にゲーム内に登場予定で、これに合わせてベルファストやジャブローといった水にまつわる戦場を舞台に,そこに縁の深い「ガンペリー」「ファンファン」などが実装予定です。
4Gamer:
ガンペリーやファンファンとはまたマニアックですね(笑)。
小池氏:
確かにゲームだと登場機会は少ないかもしれませんね(笑)。
4Gamer:
ファンファンが出るなら「ワッパ」も出せますね。かなり小さいので視認に苦労しそうですが。
小池氏:
「ワッパ」いいですね(笑)。少し先になりますが00からオートマトンなども候補に入っています。小さいキャラクターといえば,「ガンダムジオラマフロント」の戦場に人物が初めて登場しますよ。
4Gamer:
人間というと,やっぱり東方不敗ですか。
小池氏:
いえ,ドズル・ザビです。新たに実装されるリプレイド作戦のボスである「ビグ・ザム」は,ピンチになると頭のところに,大事なものを必死に守るためにドズルが飛び出してきます。原作を再現した「影」のエフェクトを目印に銃を撃っていますので,カメラを近づけて探してみてください。
4Gamer:
それは楽しみですね。宇宙世紀ファンには刺さる機体になると思います。では,最後に読者へのメッセージをお願いします。
佐々木氏:
今後も「ザムザザーの日」や「ザクの日」のように,懐かしんでもらえたり,楽しんでいただけるようなキャンペーンを展開できればと考えています。
分部氏:
直近ではプレイサイクルを整備することに注力してきました。今後は各コンテンツをさらに充実させていきますのでお楽しみにお待ちください。
小池氏:
皆さまからいただいたご意見やご要望について改善しつつ,今後もコンテンツを充実させていきます。新しい機体はもちろん,懐かしい機体も登場しますので,これからも「ガンダムジオラマフロント」にご期待いただければ幸いです。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
今回,このインタビューを実施するにあたり,テレビアニメ「機動戦士ガンダム」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」についての会話が楽しめるコミュニケーションロボット「ガンシェルジュ ハロ」(1名)を,読者プレゼントとしていただいた。プレゼントの応募方法などは,2019年4月13日の「Weekly 4Gamer」に掲載する予定だ。
なお,ハロとオンラインモードで会話を楽しむためには,設定を行うためのスマートフォン(アプリ)が必要になるほか,サーバーにつなぐための無線LAN環境が必要になる。また,2019年10月1日以降,サーバー利用料として月額3000円(税別)が必要となるので,応募の際は注意してほしい(※)。
※Bluetoothスピーカーとして利用する場合は,アプリ,無線LAN環境,サーバー利用料などは必要ない。詳細は,「ガンシェルジュ ハロ」の公式サイトを確認しよう
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