インタビュー
大御所ロックバンドが挑む,初めてのゲームへの挑戦。EARTHSHAKER×96氏×あさき氏,「GITADORA Tri-Boost」稼働直前インタビュー
本作に新収録となる目玉楽曲の一つに,ハードロックバンド「EARTHSHAKER」と,BEMANIコンポーザーの96氏,あさき氏がコラボした「夕星の芒野と消ゆ(ゆうづつのすすきのときゆ)」がある。同曲は3月11日に発売されたEARTHSHAKERのニューアルバム「BIRD」に収録されており,繰り返し聴いているというファンも多いことだろう。あるいは楽曲のミュージックビデオがYouTubeにアップロードされているので,そちらで聴いた人も少なくないかもしれない。
30年以上のキャリアを誇る大御所ハードロックバンドとBEMANIシリーズという異色のコラボは,いかにして実現したのか。あるいは楽曲の制作にあたり,どんな苦労があったのか。そこで今回は,96氏とあさき氏,そしてEARTHSHAKERのメンバー全員にお集まりいただき,KONAMIにて話を聞いてみた。
また,EARTHSHAKERメンバーが実際にGITADORAをプレイする様子を映したムービーも合わせて掲載しているので,BEMANIファン,そしてEARTHSHAKERファンはぜひご一読いただきたい。
「GITADORA Tri-Boost」公式サイト
EARTHSHAKER 公式サイト
限られた制作期間から生まれたコラボ曲「夕星の芒野と消ゆ」
4Gamer:
EARTHSHAKERと96さん,あさきさんのコラボ楽曲「夕星の芒野と消ゆ」が「GITADORA Tri-Boost」に収録されるとのこと。このコラボのきっかけからお聞かせいただけますか。
ニューアルバムの「BIRD」を制作するにあたって,渡辺音楽出版さんからお話をいただいたのが最初でしたね。EARTHSHAKERは30年以上やっているバンドで,アニメの主題歌などはやりましたが,実はゲームとはまったく接点がなくて。初めてのチャレンジですし,ぜひ挑戦させてほしいと思いました。
96氏:
僕らも渡辺音楽出版さんからお話をいただいて,こんなチャンスはないので,ぜひお願いしたいとお答えしました。EARTHSHAKERさんは僕が生まれる以前から活動している方達ですし,なんといっても“ジャパメタの王者”ですから。昔からギターを弾いてる,いちギタープレイヤーの自分としても憧れの存在なんです。
4Gamer:
では,最初から「GITADORA Tri-Boost」ありきのコラボだった?
西田氏:
いや,当初はゲームタイトルすら決まってなくて,「KONAMIさんのゲームとEARTHSHAKERで何かできますかねぇ」くらいの内容でした。でも,ただ単純に「ゲームにウチの曲を使ってくれー!」ってコラボじゃつまらないじゃないですか。だから「どうせやるならKONAMIのクリエイターと組んで何かをしたい」という要望をお伝えして。
最初のミーティングでEARTHSHAKERさんとお話して,そこで僕達BEMANIチームが楽曲を作り,EARTHSHAKERさんが曲を仕上げるというスタイルが決まりました。
西田氏:
長いキャリアのあるロックバンドって,こういうコラボを大抵嫌がるんですよ。「俺達は俺達だからよぉ」みたいに,干渉や介入を嫌うんですね。とくに80年代のバンドはそんな奴らばっかりです(笑)。でも僕らには絶対に面白いものになる予感があった。なにせ初めての挑戦なわけですし,EARTHSHAKERは妙に自信ありすぎなバンドですから(笑)。
4Gamer:
なるほど(笑)。
西田氏:
ただ,少し迷惑を掛けてしまった部分はあって,アルバム「BIRD」のレコーディングが差し迫った時期にコラボが決まったことで,BEMANIチームに「なるべく曲早く」と無理を言ってしまった。
96氏:
すごかったですよね。最初のミーティングをしたのが2014年末で,「BIRD」のレコーディングも年が明ける前にスタートするスケジュールでした。どう逆算しても,制作に割ける時間はひと月ないわけで(苦笑)。
西田氏:
普通ありえないよね。そこはホント申し訳なかった。無理なお願いに応えてくれて本当に感謝しています。あ,でもBEMANIチームは,以前にニイちゃん(二井原実氏,元EARTHSHAKERメンバー)ともコラボしてるんだよね?
96氏:
はい。「GuitarFreaksV6 & DrumManiaV6 BLAZING!!!!」で「The Ascension / 二井原 実 vs. 96」という曲でコラボさせていただきました。
4Gamer:
「夕星の芒野と消ゆ」についてですが,初のゲーム収録曲ということで,EARTHSHAKERさん的には,なにか意識した部分はありますか?
西田氏:
それはないですね。今回は僕達の力だけでなく,BEMANIチームの胸を借りて作った曲ですし,そのために何かを変えようということはありませんでした。
96氏:
僕らとしても,とくに普段と意識を変えるようなことはなかったですね。ただ,アルバム収録曲であると同時に,GITADORAで遊べる曲でもあるわけですから,アレンジの際に「もうちょい手数を多く」みたいなリクエストはさせていただきました。
西田氏:
ああ。ゲームとして楽しく遊べる難度にしてほしい,というお願いはありましたね。
甲斐貴之氏(以下,甲斐氏):
演奏する側としては,この曲がアルバム収録曲中で一番難しかったよ。セクションごとにリズムを変えるってのは,普段のEARTHSHAKERにはないアレンジなのですごく楽しかった(笑)。
石原慎一郎氏(以下,石原氏):
ギターについては,白玉フレーズ(全音符の小節)が延々と続くアレンジはダメって釘を刺されましたね。
工藤義弘氏(以下,工藤氏):
ドラムは常にペダル踏みっぱなしで,運動会だったね(笑)。でもゲームとしても面白く仕上がったんじゃないかな。
4Gamer:
BEMANIファン的に,譜面の見どころというと,どのあたりになるでしょうか。
96氏:
セッションプレーとしては,最後の6小節じゃないですか。ギター,ベース,ドラムと,それぞれがソロやバッキングなど各々の役割を持って演奏していく中,最後で全パートが同じリズムを刻むところは熱いです。ぜひ,友達と一緒に遊んでいただきたいですね。
あさき氏:
あと,僕が96ちゃんの曲に歌詞を付けることって,これまであまりなかったので,BEMANIのお客さん的には「作詞:あさき/作曲:96」のコラボというところも新鮮かもしれません。
96氏:
確かに。コメディっぽいコラボはあったけど,真面目な曲は初めてかも。そのあたりも含め,楽しんでもらいたいです。難度も4段階から選べますし,プレイしやすいところを選んでもらえたらと。
西田氏:
でも,あの男(工藤氏)は一番簡単なヤツでも全然ダメでしたよ。
あさき氏:
「俺のリズム感を矯正するな」って雰囲気でしたね(笑)。
工藤氏:
落ちてくる譜面を追うだけで精一杯なのに,いろんなとこが光るから気になるんだよ〜。いや,叩くとこ教えてくれてるのは分かってるんだけどさ。あと自分のドラム配置と違うから!
あさき氏:
大丈夫です先輩。僕もぜんぜん駄目ですから。配置や譜面が違うのは今回のゲーム譜面担当の96の粗相です(笑)。
96氏:
す,すいません(汗)。GITADORAはスタンダードなタム配置のドラムセットなので……本物のドラムとゲームでは,やっぱりコツが違ってきちゃいますね。
EARTHSHAKERの“今”が詰め込まれたアルバム「BIRD」
4Gamer:
GITADORAからは少し離れますが,ニューアルバム「BIRD」についても少しお聞かせ願えますか。
EARTHSHAKERのアルバムを作るときのテーマはいつも同じで,「今一番,僕らが表現したいもの」なんですよ。だから今回の「BIRD」も,僕らが今やりたいこと,自分達から溢れ出す最高の音楽が詰め込んであります。
4Gamer:
なんでも「BIRD」収録曲には,BEMANIとのコラボのほかにも,さまざまなアーティストが参加されているとのことですが。
西田氏:
ええ。BEMANIさんのほか,森重樹一さん(ZIGGY)やマイクスギヤマさんなど,いろんな作家陣に作詞をお願いしています。そうしたひと癖,ふた癖あるアーティスト――あさき君がまさにそういうタイプですけど(笑)――とふれ合うと,とても勉強になりますね。それによって僕らも幅を広げられるし,また一歩大きくなれるので。
あさき氏:
癖だらけですみません。
石原氏:
自分達の中にはない,BEMANIチームならではの曲になりましたし,それがすごく嬉しかったですよ。EARTHSHAKERとしても,これまでにコラボはやってきましたが,「夕星の芒野と消ゆ」のように,作詞だけでなく曲までお願いしたのは今回が初めてなんです。面白かったし,やりがいも感じられました。
西田氏:
けっこう,うまくできてたでしょ?
あさき氏:
いやもう,本当に光栄です。僕としても等身大の“自分”を歌詞に出したつもりなんです。それをマーシーさん(西田氏)に歌ってもらったらどうなるのか? って。そうしたら,ちゃんとEARTHSHAKERの曲として返ってきた。こういう解釈で歌われるんだって,ボーカリストとしての凄みを感じて……こちらとしても,ものすごく勉強になりました。
甲斐氏:
僕らはソロ活動もやっているので,色んなアーティストと絡む機会があるけど,不思議とこの4人が集まって音を出すと,「EARTHSHAKERの音」になるんだよね。
西田氏:
技術だけでいえば,世の中にはメチャクチャうまい人がたくさんいるんです。それこそ,僕らなんかより数段上のね。でも,彼らをバンドに加えたらクオリティが上がるかというと,そうはならない。EARTHSHAKERとしては,この4人が組んだときにいちばん高いクオリティが出せるっていうね。ほんと不思議なバンドですよ(笑)。
4Gamer:
さすが30年を超えて活動するバンドだけありますね。ちなみに皆さんは,プライベートでも一緒に行動したりするんでしょうか。その……遊びに行ったりとか?
西田氏:
いやいや,もう長すぎてヤですよ(笑)。デビュー当時なんかは,それこそメンバーと一緒に住んでた時期もあるけど,こんなオッサン達が今ずっと一緒に居たら,エラいことですわ(笑)。
工藤氏:
もう30年かってくらい,一緒だもんなあ。今また一緒に暮らせって言われたら……解散でしょ(笑)。
石原氏:
でもこの4人だと,安心するんだよねぇ。
西田氏:
そうなんだよね。普段はほんともう,どうしようもないオッサン達なんだけども(笑)。EARTHSHAKERはこの4人でこそのバンドだし,それに応援してくれるファンやスタッフがいてこそ成り立っているんだって,2年前の30周年にやった全国ツアーで改めて実感しましたから。その皆で,これからも進んで行くという思いが,この「BIRD」には込められているんです。
セッションプレイで盛りあがれ。最新作「GITADORA Tri-Boost」は本日稼働開始
4Gamer:
EARTHSHAKERの皆さんは,普段ゲームで遊ばれることはあるのでしょうか。
西田氏:
昔はゲームセンターに行ったりしましたね。あと子供が小さいときには,頻繁に連れて行かれて。付き添いで子供と一緒に遊んだりもしましたが,全然うまくはないですよ(笑)。
甲斐氏:
僕も子供が小さいときは,家で遊んでましたね。ファミコンですね。
工藤氏:
ファミコン世代かぁ。俺もそこで時代が止まってるわ(笑)。
西田氏:
ゲームミュージックって,どうしてもその時代の「ピコピコ音」のイメージが強くて,今回のコラボみたいな普通の音源がそのまま入れられるってことには,少し驚いたくらいです。
4Gamer:
ちなみに,音ゲーをプレイされたことは?
西田氏:
もちろん,ゲームセンターで遊んだことありますよ。打楽器のやつとかですけど。
工藤氏:
え,アレやった? 俺さ,1回やってみたらボロボロだったんだよね。小さい子が簡単そうに遊んでるから「いけるわ」と思ったんだけど,メチャメチャ難しくて。かっこ悪くて,早くその場から立ち去りたくなった。やっぱ俺,音ゲー苦手かも(笑)。
あさき氏:
楽器は自分で演奏して自分の世界を作り上げていくものなのですが,音楽ゲームはリズムだったり表情だったり,色々受動的なところがあるので,ミュージシャンの方は最初はちょっと戸惑うところもあるかもしれません。けど,一回コツつかむと凄く楽しいですよ。
4Gamer:
コンポーザーの方は,皆さんそうおっしゃいますね(笑)。では,今回のコラボでEARTHSHAKERに初めて触れて,EARTHSHAKERをもっと知りたくなった人に,オススメのアルバムというと何になるでしょうか。
西田氏:
難しいなぁ(笑)。長くやってるバンドですからね。でも,やっぱり最新アルバムの「BIRD」は外せないと思います。EARTHSHAKERならではのメロディアスさ,ハードさ,ポップな部分が,この1枚にすべて盛り込まれているので。
4Gamer:
では,あともう1枚と言ったら?
西田氏:
うーん……僕個人の意見でいえば,80年代の曲をリマスターした「RE-MASTERS〜BEST OF NEXUS YEARS」ですね。僕らがデビューした時から,80年代の輝きがギュッと詰まったアルバムなんで。
甲斐氏:
最新アルバムから,1枚ずつ過去に遡っていくといいんじゃないかな。ひと月に1枚買っていけば,2年半くらいで全部集まるんで(笑)。
西田氏:
あっ,それいいね。それでいこう(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。では最後に,いよいよ4月21日に稼働を迎える「GITADORA Tri-Boost」について,楽しみにしているプレイヤーに向けメッセージをお願いできますか。
96氏:
ますますパワーアップした「GITADORA Tri-Boost」。「夕星の芒野と消ゆ」をはじめ,魅力的な楽曲を取りそろえております。初心者から上級者まで,皆さんお楽しみいただければと。
西田氏:
さっきも言いましたけど,これだけのいい音でゲームが遊べるものとは思っていなかったので,ステージ感覚で贅沢に楽しんでらえたらと思います。皆で集まってセッションプレイをやったら絶対盛り上がるんで。それでゲームセンターでEARTHSHAKERいいじゃんと思ってもらえたら,ぜひライブにも遊びに来てほしいですね。一緒にドカーンと叫ぼうぜ!
4Gamer:
ゲームセンターでプレイできるのを楽しみにしたいと思います。本日はありがとうございました!
EARTHSHAKERサイン入り! ニューアルバム「BIRD」を2名にプレゼント
キングレコードよりご提供いただいたEARTHSHAKERのニューアルバム「BIRD」を,2名の読者にプレゼントします。メンバー全員のサイン入りです。4月25日掲載の「Weekly 4Gamer」にて募集しますので,ふるってご応募ください。
「GITADORA Tri-Boost」の新要素
(1)セッションプレーを促進!「アドバイザーSkill」搭載
GITADORAで人気のシステム「スキルポイント」をセッションでも楽しめる、「アドバイザーSkill」システムを追加しました。
一緒に遊んだ友達のスキル上達が自分のポイントとして加算されるので、友達のスキルが上がりやすい楽曲を教えてあげることで、アドバイザーSkillが上昇しやすくなります。お互いの熟練度を把握して、スキルが上がりそうな曲をどんどん共有して、「アドバイザーSkill」の上達を目指そう。
(2)ゲーム画面やプレーシェアで公開可能な「プレーヤーボード」
プレーヤーボードは、エントリー画面やバトルの対戦者紹介画面などで確認できるアピール機能で、従来の名前と称号、スキル情報に加え
ステッカーアイテムを自由にレイアウトできるようになりました。ステッカーにはキャラクターをはじめ、「セッション歓迎!」「なんでも聞いて」「友達募集中!」などの文字アイテムもあるので、友達を誘う時にも便利!
(3)楽曲以外の新たなコレクション要素。「ベアガーデン」でアイテム解禁!
ゲームプレー後のお楽しみ要素が追加!毎プレーで手に入るポイント「トラブ」をベアガーデンで植えると「ベアモドキ」を育てることができます!
ベアモドキがお花になるとステッカーや称号などのアイテムを収穫可能!ベアモドキはトラブを沢山植えるほどレアなアイテムを咲かせやすくなるので、トラブを沢山集めてチャレンジしよう!
(4)新イベント「あったかくなってきたね 春のHotキャンペーン」も開催!
稼働日よりスタートの新イベント。HOT楽曲を遊ぶことで一定の「HOTポイント」が貯まり、ココでしか手に入らないスペシャルステッカーや楽曲が解禁できます。
更に日替わりで対象となる「SuperHOT曲」を探し出してプレーすると、通常の3倍のポイントをゲットできます!詳しくは「タブ画面」をチェック!
「GITADORA Tri-Boost」公式サイト
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