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[E3 2018]「Underworld Ascendant」のプレイアブルデモを体験。美しいグラフィックスと自由度の高いプレイスタイルを楽しめる作品に
タイトルからも分かるように,本作は高い評価を得た一人称視点RPG「Ultima Underworld: The Stygian Abyss」(1992年)および「Ultima Underworld II: Labyrinth of Worlds」(1993年)の精神的後継作だ。
「Underworld Ascendant」公式サイト
「Ultima Underworld」シリーズは「Ultima」の名称を冠しているので,Electronic Arts傘下だったOrigin Systemsのシリーズ作品の1つであると考えるファンもいるかもしれないが,ポール・ニューラス(Paul Newrath)氏が率いるLooking Glass Technologiesが開発を担当した,外伝的な位置づけの作品だ。
Origin Systemsからは,プロデューサーのウォーレン・スペクター(Warren Spector)氏が出向するなど,同作は両社の緊密な関係のもとに生み出され,スペクター氏はその後,Looking Glass Technologiesで「Thief」シリーズを手掛けるなどしている。
Looking Glass Technologiesは2000年に倒産しているが,このメーカーがどれほどスゴい開発チームであったかは筆者の連載「奥谷海人のAccess Accepted」の第413回で詳しく紹介しているので,一読していただきたい。
ともあれ,そんなゲーム業界の重鎮であるニューラス氏が再び旗振り役になり,スペクター氏ら古参のメンバーと共に立ち上げたのがOtherSide Entertainmentである。そして,このOtherSide Entertainmentが「Ultima Underworld」の精神を受け継いだ作品として開発を進めているのが,この「Underworld Ascendant」というわけだ。
本作には深いストーリーは用意されておらず,迷宮世界「ステイジアン・アビス」に潜り込んで,「アセンダント」と呼ばれる“生き神”になるのが目的となる。この世界には,ダークエルフ,ドワーフ,そしてシャンブラーと呼ばれるマッシュルーム人間達が異なる派閥を形成しており,どの勢力に加担するかはプレイヤー次第だ。また,プレイヤーの行動によって世界のありかたが刻々と変化していくことになる。
今回のデモでプレイできたのは,「ワーン遺跡」(Ruins of Gwern)という場所にある記憶継承デバイス「メモラ」(Memora)を獲得するというミニクエストだ。ミッションの説明は1枚のアートが添えられた静止画で行われたが,それが実際のゲームシステムなのか,重要な部分を見せないためのデモ専用の仕様なのかは分からない。
今回用意されていたスキルやアイテムは,着弾と同時に爆発する「Blast Arrow」,相手を混乱させる「Jewel of Befuddlement」,まだエフェクトが付いていなかった「Flaming Sword」,そして一定時間だけ壁走りを可能にする「Wall Run」だ。スケルトンと戦ったり,肉食植物を避けて行動したり,トラップを回避したりしながら遺跡の奥を目指し,メモラのある場所まで到達するのはそれほど難しくなかったが,その周囲には地面から剣が突き出た穴があり,直線的には進めない。
OtherSide Entertainmentのマーケティング副社長であるウォルター・ソモル(Walter Somol)氏の解説によると,ここを通り抜けるには,別の方角から近づいてウォールランで突破するか,上の階に行き,板状になっている床を壊して飛び降りるか,少なくとも2つの方法があるとのこと。今回は失敗のリスクが高そうなウォールランを回避して,天井から落下することでメモラを入手することができた。
ユニークなのは,クエストを達成すると自分の戦績が表示されるという点だ。何回死んだかや,何体の敵を倒したかといった数値のほかに,攻撃や魔法をどれだけ使ったかなどを自動評価し,それによってキャラクターが成長していく,スキルベースのレベルシステムが採用されている。
筆者の場合,慎重にステルス活動をしたり,水のポーションを使って灯火を消して回ったりしていたためか,「Environ」(環境)に多くのポイントが振り分けられていた。「自分の好きなキャラクター作り」を楽しめるゲームは少なくないが,こうしてクエストごとに評価されると,自分のプレイスタイルについて意外な発見があるかもしれない。
本作のゲームエンジンには,自社開発した「Improvisation Engine」が使われており,19世紀のフランスの画家,ギュスターヴ・ドレに影響を受けたという色彩豊かな風景が,地味になりがちなダンジョンを美しいものに仕上げている。青とオレンジというコントラストの強いライティング効果が混じり合っているような場所も多く,見ていて飽きない世界観になっている。
Steamのプロダクトページによると,インタフェースと字幕が日本語化されるというのも嬉しいところ。まだプレオーダーは始まっていないものの,気になる人はウィッシュリストに追加しておくといいのではないだろうか。
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