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ハロー!Steam広場 第353回:事前の“お膳立て”がモノを言うオートバトル系ギルド運営シム「Gladiator Guild Manager」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,常に人差し指を動かしていないと落ち着かない上級クリッカーにジョブチェンジできるかも。
事前の“お膳立て”がモノを言うオートバトル系ギルド運営シム「Gladiator Guild Manager」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ回は東欧・セルビアにあるデベロッパ,Entertainment Forgeが手掛ける「Gladiator Guild Manager」を紹介しよう。
本作はその名のとおり剣闘士のギルドを運営し,アリーナでチャンピオンの座を目指すシミュレーションゲームだ。プレイヤーは市場で騎士やバーサーカー,射手などさまざまな職業のキャラクターを雇用しチームを組んで,アリーナでの戦いに挑む。
編成や戦闘前の大まかな指示はできるが,実際の戦闘はフルオートで進行するため,プレイヤーが問われるのは文字通りマネージャーとしての手腕だ。
ゲームは日付単位で進み,プレイヤーはランダムでラインナップが変わる人材の確保,ギルドの拡張,アイテムの購入,依頼されるクエストなどをこなしつつ,一定の間隔で開催されるアリーナに参加していく。勝利の暁には各キャラクターに経験値が加算されてレベルアップするほか,資金や強化用アイテム,施設をアップグレードするための資源なども入手できる。これらを使ってさらにギルドを充実させていこう。
また月初には墓場や農場など,アリーナ以外で開催される大型大会,「チャンピオンシップ」も開かれ,ここで勝ち残ればさらに大きな報酬を得られる。こちらはアリーナとは違い連戦が必要なので,チームだけでなくギルドの人材の厚さも必要になる,まさに総力戦となるだろう。
最初は数人雇うのもやっとだった弱小ギルドが,勝利を経て徐々に大きくなっていくのは楽しいし,なにより剣闘士達が目に見えて強くなっていき,敵をなぎ倒していく姿は非常に頼もしい。自分では操作できないため,戦闘中はちょっともどかしく感じることも多いのだが,だからこそ勝利はいっそう嬉しく感じられる。
とはいえ舞台となるのは死闘を繰り広げるアリーナ。栄光と賞品は勝者しか得られず,敗者は死あるのみだ。負けた剣闘士は復活まで時間をおかなければいけないし,設定によっては死んだ時点でロストとなってしまう。アリーナでのバトルも基本となる1対1のデュエルから3対3の集団戦,そして強力な1体の敵に複数人で挑む戦いなど,複数のカテゴリに分かれており,必ずしもお気に入りの同じキャラを常に選ぶのが正解とは限らない。
とくに集団戦では,バーサーカーなどの近接戦闘職と,射手などの遠距離を得意とするキャラをどう組み合わせ,どこに配置するか悩むことも多い。
また,手駒ではかないそうにない人間離れしたモンスターが序盤から敵として登場するため,なかなか勝利のコツが掴みにくかったりする。
筆者がプレイした感覚では,どうしても参加人数が限られる関係上,薄く広くキャラを強化しても裏目に出ることが多いので,強いエースを育成してそのキャラを主軸に参加メンバーを決める,という方が進めやすいように感じた。
とは言え,新しい職業のキャラを雇おうにも,それにはギルドの拡張が必要で,結構な資金がいる。さらに雇ったばかりのキャラは当然だが弱く,おまけにキャラが強くなるほど支払う給料も増える……という感じで,マネージャーとしての悩みどころは山のようにある。そのため,手に汗握るギリギリの戦闘で勝利を掴んだときは,腕前が認められたようでかなり嬉しい。
基本的に(勝利さえすれば)戦闘をこなすたびにキャラも強くなり,アイテムや施設も充実していく本作だが,主にアリーナ開催期間外に受けるクエストは,市井の人々,貴族(バロネス),ネクロマンサーから個別に依頼されるもので,派閥の評判の概念がある。
クエストをクリアすれば,依頼主である派閥からの評価は当然上がっていくが,「(周囲の迷惑を顧みず)墓場から死者を蘇らせる手伝いをしてくれ」といった依頼を引き受けると,それがほかの派閥での不評につながることもしばしば。
現状では,派閥との関係を深めても報酬が増える程度のメリットしかないが,将来的には各派閥のクエストラインが実装され,友好を深めると専用のユニットなどが使えるようになるとのこと。つまりクエストの進め方によって揃えやすいユニットが変わるということであり,さらにプレイの幅が広がりそうだ。
あくまで“管理に徹する”システムだけに,全体として作風は地味だし,ローカライズの質も“プレイに支障はない”といったレベルだ。ただ,どちらが勝つか分からないギリギリの勝負に人事を尽くして天命を待ち,血みどろの勝利を勝ち取った嬉しさはひとしお。さらに,勝利がリソースを生んで更なる強化につながる……という好循環に入ったときは,ついついもうちょっと,とプレイ時間が延びてしまう。
レベル不足以外の敗因が良く分からないことも多いが,大概はキャラか装備を強化すれば勝ち抜けられるはず。取っつきは決して悪くないと思うので,興味があれば手にとって勝利の栄光を掴んでほしい。
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