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ハロー!Steam広場 第351回:ポイ捨て注意から凶悪犯の捜査まで,警察官の仕事を体験できる「Police Simulator: Patrol Officers」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,ウィッシュリストに入れておいたホラーゲームが,すべてハロウィンセールの対象外だった上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ポイ捨て注意から凶悪犯の捜査まで,警察官の仕事が体験ができる「Police Simulator: Patrol Officers」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回はドイツのデベロッパ,Aesir Interactive が手掛ける「Police Simulator: Patrol Officers」を紹介しよう。
本作は,アメリカの架空の都市ブライトン(Brighton)で,警察官として働くシミュレーションゲームだ。ある時はパトカーでスピード違反を取り締まり,またある時は指名手配犯の捜査を行うなど,警察の日常的な業務を体験できる。
ゲームは「シフトの選択 → 勤務」という流れで進んでいく。シフトでは,担当するエリアと業務,そして利用できる乗り物が決められているが,新人のうちは駐車違反切符の発行や,スピード違反の取り締まりなど,地道な業務が中心となる。
ただ,ひとまとめに違反といっても見るべき箇所は多く,例えば駐車違反なら逆向き駐車,歩道への乗り上げ,パーキングメーターの時間超過などに加え,違法に改造されていないか,ナンバープレートの更新は行われているかといった部分にも目を光らせる必要がある。
また街をパトロールしていると,ゴミのポイ捨て,横断歩道の無視,ウインカーの出し忘れや整備不良など,大小さまざまなトラブルと遭遇する。
いずれも違反として取り締まれるのだが,口頭での注意だけで済ますことも可能だ。どのような形であれ,対応さえすれば業務として評価されるので,この辺りはプレイヤーのロールプレイ次第といった感じだ。
地道にキャリアを積んでいくとパトカーを使った業務が開放され,車同士の衝突事故が起きた現場に足を運ぶことも増えてくる。
こうした交通事故では,当事者の証言を聴取して免許証を確認するところから始まり,アルコールや薬物の検査,所持品や車内の確認,現場写真の撮影と交通事故報告書の作成など,業務がかなり複雑化していく。ただ,シミュレーションとしてはこの辺りからが本番で“やり応え”を感じられるようになり,警察官としての実感が湧いてくる。
また,パトカーの開放と同時に無線通信も入るようになり,検問の応援を頼まれることもあれば,死傷者が出るような重大な事故に駆けつけるような場面も出てくる。ただ,こうした応援要請はいつ入るかが分からず,交通事故処理の真っ最中なんですけど……なんてタイミングで来ることもしばしば。対応している事案をきっちり最後までやりとげるか,口頭注意で済ませてよその応援に駆けつけるか,なかなか悩ましいところである。
プレイしていて気になったのは「ペナルティ」だ。本作は業務をこなしてポイントを稼ぐことでゲームが進んでいくのだが,プレイヤーが模範から外れるような行動をするとこのポイントが減ってしまうのだ。本作はシミュレーションゲームなので,こうした要素もあって当然なのだが,NPCの運転する車の挙動におかしなところがあり,不意に衝突してしまいペナルティを食らうといった不条理がしばしば起きる。
筆者はこうした理不尽な部分が気になったので,オプションの「カジュアルモード」をオンにしてプレイした。カジュアルならいくら事故を起こしてもペナルティがなくなるうえ,違反した部分にヒントが出るようにもなるのでかなり遊びやすくなる。
どういった部分をカジュアルにするかは細かく調節できるので,不満に感じる部分だけを潰すこともできる。何から何まであらゆることが簡単になると物足りなくなってしまうので,こうした調整ができるのは嬉しい配慮だ。
グラフィックスはリアルだが,NPCや自動車のモデリングの種類が少なめなのが少し寂しいところ。またシステム面でも,関係者の証言が急に表示されなくなるなど,開発中であることが感じられる部分はそこそこ目立つ。ローカライズに関してはおおむね満足できる出来だが,一部のフォントの修正が入れば,さらにクオリティが上がりそうだ。
現状,まだ気になる点は残るものの,全体としては「警察官として活動する」というテーマが徹底して貫かれているので,「警察官の日常業務を体験してみたい」という人にはピッタリだろう。
犯人に向かって拳銃を乱射したり,マフィアの拠点を急襲したり……といった映画的なハデさはまったくないが,むしろそうした作品に食傷気味だという人にもおすすめできるので,ぜひ遊んでみてほしい。
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