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ハロー!Steam広場 第332回:リアルスケールのベルリンで路線バスを走らせるシミュレーションゲーム「The Bus」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,盗賊なしパーティなのに宝箱を開けずには進めない上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
リアルスケールのベルリンで路線バスを走らせるシミュレーションゲーム「The Bus」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回はドイツのデベロッパTML-Studiosが手掛けるバスのドライブシム「The Bus」を紹介しよう。
本作は,ドイツの路線バスに焦点を当てたドライビングシミュレータだ。プレイヤーはリアルスケールのドイツ・ベルリンを舞台に,路線バスを決められたルートで運転して,客を安全かつスムーズに搬送していく。
The Busの大きな特徴は,バスそのものや運行業務がリアルに再現されていること。一部のオープンワールドゲームでは,仕事系のアクティビティのひとつとしてバスの運転ができたりもするが,そういったものとはまったく違う体験が味わえる。
走行する路線と運転するバス,そして開始時刻を決定したらゲームスタートだ。スタートは停留所で,プレイヤーの目の前には“愛車”となるバスが停められている。一般的なゲームであれば,バスに近づいてボタンを押せば即座に運転席へと移動するが,このゲームではそうはいかない。当然だが,バスに乗るためにドアを開けるところから始める必要がある。
ドアを開けたら,そのまま運転席まで歩いて移動して着席する。座席に着いたら,次にバッテリーから電装装置を起動。運行用のコンピュータを操作して経路を設定し,一段落付いたらエンジンを始動して,次は乗客向けに車載エアコンを動作させる……といった感じで,まずは運転の下準備をするわけだ。
発進の準備が整ったら,ベルリンの街を走り回る時間だ。ルートをあらかじめ設定しておけばナビゲートしてくれるので,見慣れないドイツの道でも迷うことはないだろう。バスは巨大なのであまり小回りは効かないが,加速はスムーズで,運転自体にストレスは感じない。
バス停に近づいたらゆっくりと速度を落として停車し,手元のスイッチでドアを開閉して新たな客を乗せつつ,降車する人がいるなら下ろしていこう。
ほとんどの客はICカード的なものを使って運賃を支払うが,当然ながらそういったものを持たない客もいる。その場合は,専用のコンソールでの発券と現金の受け渡し作業が発生することになる。時間制限があるわけではないが,場合によってはお釣りを渡す必要もあり,慣れるまではけっこう焦るだろう。しかし,不思議とそれで面倒だとは感じないから面白い。むしろ発券したり現金でやり取りをしたりするほうが,なんだかバスの運転手らしく感じられるのだ。
前述したとおり,ベルリンはリアルスケールで再現されている。街並みは美しく,時間や天気を自由に変更できるので,運転しているだけで手軽なドイツ観光にもなる。その気になれば(客を放置して)いつでもバスを降りられるので,気になる場所があるなら歩いてみてもいいだろう。筆者はベルリンに行ったことがないので非常に新鮮だったし,ゲーム内のラジオをかけて淡々と運転をするのも,なかなか楽しい。
一方で,停留所を回り切るのにかかる時間は,おそらく現実とあまり変わらないはずだ。ちゃんと運転手になりきってプレイするのであれば,通常の勤務と同じくらい時間を取られるだろう。
本格派シミュレーションなのに違反ペナルティがないのはどうなのだろうと思ったが,そういった要素は今後追加予定の「エコノミーモード」に実装されることになるのだろう。エコノミーモードでは経営要素が加わり,乗車券で収入を得て,新しい車両を購入したり,従業員を雇ったりできるという。当然,違反すれば収益に影響が出てくるはずなので,現状少ないゲーム性に関してはこちらのモードに期待したいところ。
現状では選べるバスの種類が少なかったり,客が同じ人ばかりで少し気味が悪かったり(モデリングの種類が少ない),ルート選択などの一部の操作が分かりづらかったりと,気になる部分はそれなりにある。それでも,「路線バスの運転手を思う存分体験できる」というキモの部分に魅力を感じるならば,大きな問題ではないだろう。
先述したとおり,新モードの追加も予定されているし,バグフィクスは随時実施されているので,バスの運転手を体験してみたい,あるいはベルリンを観光してみたい,という人は今のうちからでも購入を検討してみてはいかがだろうか。
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