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ハロー!Steam広場 第329回:困った入居者に右往左往しながらリフォームを進める大家シミュレーター「The Tenants」
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印刷2021/05/21 12:00

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ハロー!Steam広場 第329回:困った入居者に右往左往しながらリフォームを進める大家シミュレーター「The Tenants」

画像集#014のサムネイル/ハロー!Steam広場 第329回:困った入居者に右往左往しながらリフォームを進める大家シミュレーター「The Tenants」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,クォリアン族の女性には甘い上級Steamerにジョブチェンジできるかも。


困った入居者に右往左往しながらリフォームを進める大家シミュレーター「The Tenants」


 アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は,ポーランドのデベロッパAncient Forge Studioが手掛ける「The Tenants」を紹介しよう。

画像集#001のサムネイル/ハロー!Steam広場 第329回:困った入居者に右往左往しながらリフォームを進める大家シミュレーター「The Tenants」

 本作は,不動産のオーナーとなって物件を管理していくシミュレーションゲームだ。物件管理と言っても大げさなものでなく,賃貸物件の“大家さん”になるという,非常に身近な存在がテーマになっている。プレイヤーは駆け出しの大家として,オンボロの住宅や一筋縄ではいかない入居者に対処していくわけだ。
 ゲームのメインとなるのは,大きく分けて「住宅のリフォーム(またはリノベーション)」と「物件および入居者の管理」の2つ。これはどちらか片方だけでなく,リアルタイムで時間が進んでいく中で,同時並行で滞りなく進めていく必要がある。

リフォームの基本操作は必要なものを下のメニューから選択し,向きを設定して配置するだけ。リフォームは間違えてオブジェクトを設置しても,買値そのままの価格ですぐに売却できるので,思う存分試行錯誤できる
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 プレイヤーはゲーム序盤に祖母から古いアパートを譲り受ける。ただし,設備が古く内装もボロボロなので,そのままでは貸し出すこともできない。そこで,アパートをリフォームしようと考えるわけだが,そうしようにも資金が足りないといった状態だ。そんなわけで,まずはほかの物件のリフォームを引き受けて,資金を増やしていくことになる。

 仕事として受けるリフォームでは,何を配置するかがリストで決められている。例えばバスルームのリフォームであれば,シャワーブース,トイレ,洗面台といった設備がリストに記載されており,それをクリックすると配置できるアイテム一覧が出てくるので,あとはその中から好みのものをポンポンと置いていくだけだ。
 そうしてリスト内の要望をすべてクリアすると,依頼主に引き渡しができる。このとき依頼主が仕上がりを念入りにチェックし始めるのだが,これがなかなかに緊張する。もちろん,あとから手を加えることはできないので,「トイレとシャワーブースはもうちょっと離したほうが良かったかな……」なんて不安になりながらも見守るしかない。

なかなか広めの住宅だが,この仕事でリフォームするのは右下の狭い部屋だけでいいので楽ちん。まずは床材と壁紙から取りかかるのがオススメだ
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完全にゼロから内装を作るパターンもあるが,こちらは自由度がより高いぶんだけ,逆に難しかったりする。とりあえず右に並んでいるタスクをこなせばいいが,それだけだと内部がスカスカになってしまいがち
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仕事のリフォームの場合は引き渡し後すぐに,依頼人のチェックが待っている。とはいえ最高評価を目指すのでなければ,指示どおり配置すれば大丈夫
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 リフォームの仕事で資金に余裕ができたら,自分の物件にも手を付けていきたい。自分の物件であれば,トイレや寝室(ベッド)といった必要最低限の設備を除けば,自分の予算の範囲で思い通りに仕上げればいいので,仕事より気楽である。
 オシャレでモダンにまとめてもいいし,コスト最優先の無機質なマンスリーマンションのようにするのも悪くない。最初は選べるオブジェクトも少ないが,ゲームを進めていけば徐々にアンロックされていくので,よりこだわった内装にできるはずだ。現実の部屋をいじるのはお金も時間もかかるが,ゲームの中なら自由自在に理想の部屋を目指せるので面白い。

間取りから設計すればさらにリフォームの自由度は上がるが,自前の物件の場合は借り手が変わるとかの傾向もないのね?ので,どう作っていくかなかなか難しい
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 リフォームは楽しいが,大家としてはリフォームだけを続けるわけにはいかない。本作ではリフォーム中も時間は容赦なく流れていく。ので,気づくと結構な日数が経っているなんてことが良くあるのだ。前述のようにプレイヤーは大家を兼ねているため,リフォーム以外にも目を向けなくてはいけない。

 本作でとくに重要なのが,お金の流れと自前の物件に住む入居者の管理だ。リフォームしてピカピカの部屋を用意したとしても,人が生活していると問題がいろいろ出てくる。具体的には水漏れ,停電,害虫やネズミの大量発生といったトラブルだ。そういった問題が起きると,入居者が連絡をしてくるので,すぐに解決しなければならない。いちおう無視することもできるが,当然入居者は怒り出してしまう。

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 トラブルに対する選択肢は2つ。「自分で対応する」か「業者に丸投げする」かだ。前者は親戚の伯父さんを直接操作する形で進めるため,解決に時間が必要だ。伯父さんでは対処できない専門的な問題もあるが,そうでなければ解決にお金がかからないというメリットがある。後者はお金こそ必要だが,一度スマートフォン経由で頼めば全自動で解決してくれる。
 本作では問題が起きる頻度が高めで,いちいち自分で対応していたら時間がそればかりに割かれてしまうので,ちゃんとお金に余裕があるなら業者に丸投げしたほうがスムーズに進められるはずだ。

 なお仕事はリフォームだけではなく,住人の管理業務だけを一定期間請け負ったり,賃貸交渉の仲介をしたりといったものもある。これらは普通の大家の仕事と同じであり,リフォームと並行して進められるのが大きなメリットといえるだろう。

リフォームの前に片付けパートが挟まる場合があるが,この時に修理した家具や家電は自分のものにして,あとからリフォームで使用できる。ただし修理に失敗すればゴミ箱行きだ
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家賃と入居期限はそのまま定期的な収入につながる。もちろんなるべく高い家賃で貸し出したいところだが,交渉が成功するとは限らない
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 自分の物件の空き家が埋まり始めたら,毎月の経費も意識し始めたい。家賃収入から経費を引いてみたら黒字ギリギリ,なんてこともありえるからだ。
 前述のリフォームビジネスなどで埋め合わせることはできるが,実質的に自転車操業になってしまうため,健全な経営からはほど遠い。おまけに入居者はそれなりの頻度で家賃の支払いを忘れるため,支払いの催促まで考慮しておく必要があったりするのだ。

 家賃収入を安定させる近道は家賃交渉だが,高い家賃を要求するためにはそれに見合った物件を提示する必要がある。大家としての管理能力が問われるところだ。とはいえ,長い目で見て経営がどうこうと考えるより,とりあえず忙しい日々のタスクを何とかこなしていく,という感じのプレイになることの方が多いかもしれない。

 作品全体としては,UIなども含めてほぼ日本語の表記になっているが,ローカライズのクオリティはまずまずといったところ。意味が通っていない記述はあるが,プレイに支障があるほどではなく,意味を汲むぶんには問題ないといった感じだ。グラフィックスは全体的にシンプルだが,家具などの各オブジェクトのクオリティは申し分なく,こだわりの部屋を作りたいというニーズにはしっかり答えてくれるはず。

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 個人的には,飾り付けや配置をするのが好きなので,時間が流れ続ける仕様は,せかされているようで少し肌に合わなかった。とはいえ,経営と設計の配分はゲームらしいバランスになっており,シミュレーションゲームとして十分に面白いので,興味がある人は不動産経営に挑戦してみてほしい。




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