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ハロー!Steam広場 第328回:不思議な日記の中を冒険する,高難度ローグライクアクション「Diary of Lucie」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,ドミトレスクに追われるステージのセーブデータを別で保存しておく上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
不思議な日記の中を冒険する,高難度ローグライクアクション「Diary of Lucie」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は韓国のデベロッパParange Projectが手掛けるローグライクアクションゲーム「Diary of Lucie」を紹介しよう。
本作はRPGツクールで制作されており,グラフィックは可愛らしい2Dのドット絵タイプだ。ジャンルとしてはローグライクアクションなのだが,実際のプレイフィールは弾幕シューティングなどに近い。当然,敵の攻撃はかなり熾烈で,敵を倒し,落ちているアイテムを集めながら先に進むというローグライクならではの特徴も相まって,可愛らしいのだがちょっと勘弁してほしいくらいの高難度だ。
ある日,主人公の少女「ルーシー」は森の木陰で目を覚ます。ここまでの記憶をなくしているのか,周囲を見回しながら導かれるように進んでいくと,たどり着いたのは不思議な古い屋敷。ほかに行き先がないこともあり,意を決して足を踏み入れたものの,中はもぬけの殻だ。引き返そうとするも,いつの間にか扉にカギがかけられており,閉じ込められてしまう。
屋敷を探し回り見つけたのは,同じく閉じ込められたのだと語る青い髪をした少女「マリー」と古い魔法の杖,そして血に飢えたモンスターだった。モンスターの急襲を何とかしのいだ2人だったが,突如として発生した黒い闇にルーシーとマリーは飲み込まれてしまう。
次にルーシーが目を覚ますと,彼女はマリーと共にある部屋に閉じ込められていた。脱出のヒントになりそうなのは,最後のページに自分と同じ「ルーシー」と名前が書き込まれた日記帳だけ。マリーには読めないらしいその日記を手に取ると,ルーシーはその中に吸い込まれ,雨が降る森の中で凶悪なモンスターと戦い,倒されれば元の部屋に戻される……というループに囚われることになってしまった。
こうしてルーシーの,日記の中で何度も探索と戦闘を繰り返しながら,また部屋で目を覚ます日々が始まることになった。謎の少女マリーの正体はもちろんのこと,古ぼけた館,自分の名前が書かれた日記帳,そして自身の過去すらも分からないままに……。
冒頭でも触れたとおり,本作はローグライクアクションゲームだ。プレイヤーは道中に現れる敵を倒し,落ちているアイテムを集めながら,プレイするたびに変わる自動生成のフィールドを探索して先へと進んでいく。
アイテムはランダム生成なので,強い装備やアイテムがあっさり手に入ることもあれば,弱い装備でひたすら耐えるパターンもあったりするのは,ローグライクのお約束だろう。ステージのどこかにはボスが鎮座しており,それを倒すと次のステージへ進むことができる。
メインとなる武器は,スタンダードでチャージ攻撃ができる「杖」,構えて発射したまま移動できる「弓」,敵弾をはじき返しつつ広範囲を攻撃できる「剣」の3種類だ。いずれも,ステージの構成や戦うボスによって少なからず有利不利があるので,状況に応じて切り替えていくことになる。
また,マントや帽子など,ライフや移動速度を増加させる装備もあり,“やられるとゼロからやり直し”の本作においては,武器以上にこちらの方が重要になることもしばしば。
アイテムの入手方法は宝箱を開ける以外にも,敵からのドロップや定期的に現れるショップでの購入など,それなりに多い。良い装備が手に入ることを祈りつつ先に進もう。なお,武器には耐久度が設定されているので,予備を持ち歩いたり,鍛冶屋的なキャラのところで修理する必要が生じてくる。
本作では,敵の攻撃の多くが「大量の弾」で,雑魚はともかくボスは序盤から大量の弾をばら撒いてくる。通常の移動だけでは避けきることができないので,「回避(クイックステップ)」と「スキル」を活用していく形だ。
回避はボタン1つで発動できる便利なアクションだ。使用と同時に進行方向に一定距離を移動し,その間は無敵状態となる。また,敵の攻撃の回避に成功すると,その後の攻撃が強力になったり,飛び道具の発射数が増えたりと,一種のカウンターとしても機能するようになっている。
もっとも,本作はこの回避を前提とした戦闘バランスになっているので,序盤からでもある程度使いこなしていかないと,先に進むことすらままならない。幸い発動に必要なスタミナはすぐには切れないので,攻防一体となったこの能力を積極的に使い慣れることが,攻略のうえで重要となる。
もう1つのスキルは,レベルアップ時に1つだけ選んで覚えられるルーシーの特殊能力だ。これには純粋な攻撃手段(攻撃魔法)だけでなく,通常攻撃が一定時間強化されたり,一定範囲の敵弾を消滅させたりと,さまざまな効果を持つものが用意されている。
MPを消費するので使用回数は限られるが,タイプによってはかなり強力で,生存の可能性が高まる。ただし,レベルアップ時にピックアップされる能力はランダムなので,拾えるアイテムと同じように,いいものが並ぶことを祈ろう。
プレイしてとくに感じたのは,全体的に難度がかなり高いということだ。スタート地点の部屋のオブジェを触るとノーマルからイージーに変更できるのだが,筆者の場合はイージーでもかなり難しく感じ,ノーマルではまったく歯が立たなかった。
とくにライフの回復手段に乏しいため,ダメージを大きく食らうとその後のリカバリーが難しく,さらにローグライクならではの「死ねばすべてを失い再スタート」という特徴が,なおさら難しさに拍車をかけている印象だ。当然,強い武器を拾えたり,ボスを倒せたときの嬉しさはひとしおで,難度の高いゲームを求めている人であれば,やりごたえを十分に感じられるだろう。
「Diary of Lucie」はかなりの高難度で,正直,万人向けとは言いがたい。それでも,かわいい2Dグラフィックスやローグライクによるマップの自動生成,そして弾幕を適切に回避しつつカウンターをぶつけるシステムなど,刺さるゲーマーは少なくないはず。
ローカライズに関しては,ところどころ(元の言語である)ハングル混じりになっているものの,ヘルプやストーリーは翻訳されているので,プレイに支障はない。謎めいたストーリーも引きが強く,先が気になる展開となっているので,ぜひ遊んでみてほしい。
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