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ハロー!Steam広場 第326回:何もない海底で一から生態系を築き上げていくシミュレーションゲーム「Ecosystem」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,松山英樹選手の活躍に触発されてGolf It!を始める上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
何もない海底で一から生態系を築き上げていくシミュレーションゲーム「Ecosystem」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は,スウェーデンのインディーズゲーム開発者Tom Johnson氏が手掛ける「Ecosystem」を紹介しよう。
本作は,何も存在しない海の中にプレイヤーが生態系を築き上げていくシミュレーションゲームだ。誕生する生命体は,独自の行動原理のもとに繁殖と進化を続けていく。こうして,次々に生まれる生命体の姿や動きを観察して楽しむのが,本作の醍醐味といえるだろう。
海に潜る前に,まずは自分の箱庭となる環境を決める。「Lagoon」「Reef」「Trench」など全部で8つの環境が用意されており,環境の初期パラメータがそれぞれ異なる。パラメータ自体はその場で調整できるので,自分の好みの設定で始めてもいい。
環境を決めると,ゲーム画面が海底に切り替わる。いよいよゲームスタートだ。はじめに,画面左下にある葉っぱのアイコンをクリック。するといくつかの海藻が表示されるので,その中から3種類を選択する。これらを海底に植えて,生命体が快適に過ごせる環境を整えていく形だ。
海藻にはそれぞれ適した場所があるようで,植えるときに表示されるパラメータを参考に,その場所を探っていく。パラメータが1つでも赤くなっていたら,そこは避けよう。
パラメータがオールグリーンになる場所を見つけたので,さっそく海藻を植えてみる。すると,土(というより砂?)が良かったのか,海藻は一瞬にして成長し,その周囲に種のようなものをばら撒き始めた。そして,そこから同じ種の海藻が生え始め,あっというまに海藻の絨毯が敷かれた。
海藻には環境を改善する力があるようで,先ほどまでは適していなかった種類の海藻も,そこに植えられるようになっていた。海藻ってすごい。
そもそも,なぜ海藻を植えているのかというと,これらが生命体の餌になるからだ。というわけで,そろそろ生体投入の頃合いだろう。画面左下にある魚のアイコンをクリックすると,「Forager」「Carnivore」「Apex Carnivore」の3種類が表示される。
順番としては,海藻を食べて成長するForagerの卵を撒いて,数が増えてきたらそれらを餌にするCarnivoreを投入する。Carnivioreがいても生態系のバランスが取れているなら,Apex Carnivoreを泳がせてみるといった感じが良さそうだ。
ちなみに,生命体を投入するにはライフポイントが必要となる。これは海藻が成長したり,生命体が増えたりといった環境の変化によってもらえるポイントだ。普通にプレイしていればガンガンたまるのであまり気にする必要もないが,魚をクリックしても反応がない場合は,ライフポイントが足りているか確認しよう。
Foragerの卵を撒いてしばらくすると,海中を漂う黒い影を発見した。きっと生命体に違いない。どんな姿かたちなのだろうと,ウキウキしながらカメラを近づけてみると,思わずギョッとした。そこにいたのは,どこに目があるのか,どこに口が付いているのかも分からない,不気味な生き物だったのだ。ヒレらしきものを触手のように動かしながら泳いでおり,とても気味が悪い――と,この時は思った。
しかし,筆者が頑張って植えた海藻に向かって,せっせと泳ぎ,必死に食べている姿を見ているうちに,愛情のようなものが芽生えてきた。よく見れば,つぶらな瞳もある。なんだ,全然かわいいじゃないか。
と思っていたのもつかの間。その生命体は生まれて1分もしないうちに死んでしまう。ほかにもいろいろな生命体が誕生したが,どれも観察し始めてすぐに息絶えてしまう。ただ,それと同じだけ新しい命も生まれており,その中には進化を遂げて別の種になったものもいた。
このように本作では,自分の知らぬうちにどんどん新しい生命や種が誕生する。環境がより洗練されていくと,長生きできる種も出てくる。ついに魚っぽい見た目の種が誕生したときは,思わずひとりではしゃいでしまった。
ゲーム中は右上のミニマップからどの種が一番多いのか,どの種が絶滅の危機に立たされているのかが確認できる。このとき筆者が一番気に入っていた種が1匹しかいなかったので,ツール(手のアイコン)のブースト機能で一気に繁殖させてみた。一方で,肉食種が増えすぎて生態系が傾き始めたので,こちらは間引くことに。これで少しバランスが取れた。
このように,神たるプレイヤーはこの箱庭に介入できる。ただ,本作の生命体はすべてに人工知能が搭載されており,どの生命体も自分で考えて動いている。彼らの思うがままに生きてもらうのもシミュレーションゲームとしては正しい姿かもしれない。
さて,その後も観察していると,しばらく新しい種が生まれていないことに気づく。原因は食料だろう。食料は最初に3つ選んだが,ライフポイントを使えば新しいものを開放できる。中には,プランクトンやヒトデといったものもあるので,それらを餌にできれば,また違った種が誕生するきっかけになるはずだ。
生命体とコミュニケーションを取ることはできないが,そのどれもが自分の意思で行動しているので,観察しているだけでも興味は尽きない。
大半はクリーチャーと呼ぶにふさわしい風貌だが,中にはちゃんと魚の形をしているのもいたりして,そういうのを見つけるのも楽しみの1つだ。もし生態系づくりに興味があるなら,紅茶を片手にリラックスしながら観察に勤しんでみてほしい。
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