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ハロー!Steam広場 第325回:地獄の治安を維持する役人となって活動する「ヘルズ・ハイ・ハーモナイザーズ」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,「ウマ娘」の話題についていくために「Winning Post 9 2021」をカートに入れる上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
地獄の治安を維持する役人となって活動する「ヘルズ・ハイ・ハーモナイザーズ」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は日本のインディーズ系デベロッパ,Dear Done Deadが手掛ける「ヘルズ・ハイ・ハーモナイザーズ」を紹介しよう。
本作は,「地獄」の治安を維持するために活動していくゲームだ。内容としてはRPGに近く,プレイヤーは地獄を平穏な環境に保つために働く役人「調停者(ハーモナイザー)」となり,脱走者や反逆者を捕獲したり,困った住人に必要なアイテムを届けたり,モンスターや害虫などが巣くう施設を見回ったりして,日々の業務を片づけていく。
物語の背景には,地獄で反乱を起こした“元魔王”に新人調停者のプレイヤーが立ち向かうという設定があるのだが,全体の作風が“ゆるめ”なので,どちらかと言うとほのぼのとした雰囲気でゲームは進んでいく。
役人としての仕事のほとんどはダンジョンの中で行う。パーティは最大3人で,最初はプレイヤーが作成した主人公と,先輩調停者の2人で進んでいくことになるが,地獄の住民達と会話したりイベントをクリアしたりしてコミュニケーションを深めていくと,「勧誘」してその住民を仲間に加えられる。仲間はそれぞれ固有のステータスを持っており,主人公と入れ替えることもできるので,メンバーが増えるほど編成の自由度も増していくわけだ。
ダンジョンに挑戦するときは,プレイヤーのスタミナを消費する。スタミナが残っているなら,同じダンジョンに繰り返し挑戦してもいいし,いくつもの場所をハシゴすることも可能だ。スタミナが尽きるとそれ以上の探索は不可能となるが,ゲーム内の日付を翌日に進めると回復する。日付は地獄基準のカレンダーで管理されており,ときおり誰かの誕生日や店のセールといったイベントも起きる。
ダンジョンの探索はフルオートで進む。道中では敵や罠が行く手を阻んでくるが,これは「メンバー全員でATK○○以上」や「1名がSPD○○かつINT○○以上」といった,その場で提示される条件をパーティ全体で満たしていれば,無傷で突破できる仕組みだ。なので,チームを編成するときは,ある程度,総合ステータスのバランスを取った方が安定する。
もし条件が満たせなかったとしても,HPが尽きるまでは探索を続けられるし,条件自体は記録されるので,ギミックのクリアを100%にしたい場合は,編成を見直して再度挑めばいい。
パーティの強化方法は,経験値の取得によるメンバーのレベルアップ,店売りやドロップしたアイテムの装備,新たなメンバーの勧誘など,ごく一般的なRPGと同じだ。ただし,各キャラは「ATKとSPDは極端に高いが,それ以外はほぼゼロ」などとがったものが多く,またレベルアップでのステータスの上昇幅が低いので,しばらくは装備での強化がメインとなるだろう。
装備に関しては,剣やハンマーといったRPGでよく見られる武器から,冒険のガイドブックや携帯型音楽プレイヤーといった変わり種まであり,いずれも装備すればキャラクターの能力を上げられる。
そんな本作は,地獄というテーマに合わせて全編ほぼモノクロの画面となっているのだが,全体の空気感はむしろかなりポップなのが面白い。主人公の直属の先輩も(地獄ではそれなりの仕事をこなしてきたはずだが)かなり軽いノリだし,地獄に住む人々も仕事に悩んだり,やる気のないあいさつでコンビニのバイトをしたり,酒に溺れていたりと,我々の世界とあまり変わらない生活を送っていることにちょっと笑ってしまう。見た目はもちろん,性格という点でも個性豊かで,ときおりイベントも起こるので,会話するために定期的にいろいろな場所に顔を出すとより楽しめるだろう。
本作は“地獄生活シミュレーション”としつつも基本はRPGだが,前述のように冒険自体はフルオートとなっており,プレイヤーが介入できる要素はパーティ編成と装備の充実のみ。演出や展開もかなり地味めで,本格的なRPGを求める人には物足りないだろう。
実体は“アドベンチャーゲームにRPG要素が加わったようなもの”だが,独特の空気感が合うなら意外と長時間遊び込めてしまうはず。ここまで読んでみて惹かれるものがあったならぜひ遊んでみてほしい。
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