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連載
ハロー!Steam広場 第125回:無人となった研究施設で高難度ギミックに挑むパズルアドベンチャー「The Turing Test」
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「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,カラオケ合コンで「Baba Yetu」をおもむろに熱唱し,「パパパパパーン ドドン!」と叫びながらそのまま帰宅する上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第125回は,スクウェア・エニックスが海外で展開する独立系デベロッパの開発支援プログラム「Square-Enix Collective」によって生まれた1人称視点のパズルアドベンチャー「The Turing Test」をメインに紹介しよう。1993年にリリースされたファンタジーアメフトの精神的後継作「Mutant Football League」もあるので,お見逃しなく。
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木星の研究施設で機械相手に四苦八苦する1人称視点のパズルアドベンチャー「The Turing Test」
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今回紹介するのは,スクウェア・エニックスが海外で展開する独立系デベロッパの開発支援プログラム「Square-Enix Collective」によって生まれた1人称視点のパズルアドベンチャー「The Turing Test」だ。開発を手掛けるのは,イギリスのダービー市を拠点とするインディーズ系デベロッパ,Bulkhead Interactiveである。
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このゲームの舞台となるのは,ロボット探査によって生命体が発見され,研究者が送り込まれた木星の衛星エウロパだ。氷に覆われたこの星には,国際宇宙開発局(ISA)の研究施設があるのだが,何らかの理由で施設は今,無人と化している様子。プレイヤーは,局員の1人である女性「エイヴァ・チューニング」となり,この研究施設に隠された謎を解き明かしていくことになる。
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Turing Testというのは,その機械に人間のような思考ができるかどうかを判定するテストのことで,イギリスの学者「アラン・チューリング」によって考案されたもの。チューリング氏と主人公のラストネームが1文字違いというのも,なんらかの伏線なのだろうか。
ゲームの雰囲気は「Portal」に近く,チャンバー(小部屋)ごとに用意されたパズルギミックを1つずつ攻略していくという内容になっている。Portalが,ワープホールを作り出す「ポータルガン」を使って進めていくゲームであったように,本作もエネルギー操作ツール (EMT) を使ってパズルを解いていく感じだ。ツールとは言うものの,ビジュアル的にはEMTのほうがポータルガンよりもガンらしい。
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ゲーム序盤で入手できるこのEMTには,2つの機能が備わっている。1つは,研究施設にある装置の動力源となっている剥き出しの球体エネルギーを,遠距離から吸い寄せて回収するというもの。もう1つが,回収した球体エネルギーを撃ち出すというものだ。停止している機械に向かってエネルギーを撃ちこむと,その機械が動き出すという寸法である。
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各チャンバー内での目的は,次のレベルに進むための扉を稼働させることにある。そのためには,上述した球体エネルギーを,ほかの装置から拝借しなくてはいけないのだが,エネルギーの数はチャンバーごとに決まっているため,どの装置からエネルギーを取り出して,どの装置を稼働させるかという判断が必要になってくる。目の前の扉を開ければクリアなのに,そのための動力源をほかの装置から取り出すと,足場の稼働床が引っ込んでしまう,といったようなシチュエーションが多くて悩ましい。
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「新しいギミックを見せるステージ」と「それを応用して攻略するステージ」のサイクルなので,パズルゲームとしてのテンポは非常に良いのだが,パズルの難度は「Potal」よりも高めなので,序盤から頭をフル回転させて臨むことになるだろう。
なかには,反射神経やAIM力が必要なギミックもあったりと,一筋縄ではいかないのがこのゲームの厄介なところでもある。まあPortalも,後半になるとほぼアクションゲームになっていたような気がするが……。
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1つ引っかかったのは,「これで正解なの?」というクリアの仕方ができてしまうギミックがあるということだ。ネタバレになるのでここでは深く言及しないが,なかばゴリ押しするような形で突破できてしまうチャンバーがいくつかあった。ただ,どんなに頭を捻っても,そうするしか突破方法を見いだせないギミックもあり,この辺りにパズル的な粗が見えてしまう。
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そういった一部分を除けば,全体的に良質なパズルアドベンチャーに仕上がっており,以前紹介した「The Talos Principle」に続いてオススメできるパズルゲームなので,興味のある人はぜひ遊んでみほしい。
「The Turing Test」Steamストア(1980円)
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24年越しの復活を遂げるファンタジー系アメフトゲーム「Mutant Football League」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回はアメリカのゲームデベロッパDigital Dreamsが手掛ける「Mutant Football League」を紹介しよう。
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本作は,さまざまな種族のアメフト選手達が暴力を武器に戦うスポーツ(?)ゲームだ。死者によって作られたチーム「Skeletal Deadheads」,バトルロボットで構成されたチーム「Sentient BattleDroids」,組織化されたエイリアンのチーム「Criminal Aliens」,強化人間が集結したチーム「Bio-engineered Super-Humans」,屈強なオーク達によって編成されたチーム「Monstrous Orcs」というヤる気満々の5チームが,もはやフットボールと呼んで良いのかも分からないような試合を繰り広げていく。ゲームの雰囲気は,Games Workshopのウォーハンマー版アメフト「Blood Bowl」に近い。
実のところ本作にはオリジナル版と呼べるものが存在しており,1993年にElectronic Artsがメガドライブ向けに発売した「Mutant League Football」がそれにあたる。タイトル名が同じように見えるが,よく見るとLeagueとFootballの位置が違うというのがミソで,Digital Dreamsは本作を続編やリメイクではなく“精神的後継作”としている。
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精神的後継作と標榜して良いのは,オリジナル版でそれなりのポジションにいたスタッフが関わっているときだけという,筆者的な暗黙の了解があるのだが,今回のMutant Football Leagueは,オリジナル版でリードデザイナーを務めたMichael Mendheim氏が指揮を執っているとのことなので,これは胸を張って「精神的後継作である」といって問題なさそうだ。EAがどう思っているのかは知らない。
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そんな本作はすでにGREENLIGHTを通過しており,2017年夏にリリース予定となっている。Games Workshopが開拓し続けてきた,ファンタジー+アメフトというジャンルにどのような新風をもたらすのか,今後の動向に注目しておきたい。
「Mutant Football League」GREENLIGHTページ
※お知らせ:来週(2016年9月20日)のハロー!Steam広場は,筆者取材のため休載いたします。次回更新は9月27日となりますので,ご了承ください。
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The Turing Test
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