［GDC 2017］今年のGame of the Yearは「Overwatch」。GDCで行われた「Game Developers Choice Awards」の模様をレポート

　北米時間の2017年3月1日，サンフランシスコで開催中のゲーム開発者会議，Game Developers Conferenace 2017で，第17回を迎える「Game Developers Choice Awards」が行われた。これは，2016年にリリースされたゲームの中から，ゲーム開発者の投票によってBest DesignやBest Technology，そして栄えあるGame of the Yearなど，11部門の受賞作品を華々しく発表する，GDC恒例のイベントだ。


　今年のセッションは例年になく日本人登壇者が多く，また「The Last Guardian」（邦題「人喰いの大鷲トリコ」）や「Super Mario Run」（iOS/Android 邦題「スーパーマリオ ラン」），Pokémon Sun/Moon（邦題「ポケットモンスター サン・ムーン」）など，日本のタイトルもノミネートされていることから，各賞の行方を気にしている人も多いかもしれない。

今年，イベントの司会を務めたのは，有名ゲーム開発者であるTim Schafer（ティム・シェーファー）氏。きわどいジョークを連発して，会場を温めまくった

　……って，タイトルにも書いてしまったし，Twitchの中継を見ていた人もいると思うので，さっそくお伝えすると，2017年のGame of the Yearは日本でも人気の「Overwatch」（PC / PlayStation 4 / Xbox One）が受賞した。「Overwatch」はBest Designとのダブル受賞となる。


　Audience Awardは「Battlefield 1」（PC / PlayStation 4 / Xbox One）が受賞。これは，公式サイトにノミネート作品が掲載されていない部門だが，一般のプレイヤーがネットで投票した結果によるものだ。
　また，Playdeadの「Inside」（PC / PlayStation 4 / Xbox One）は6部門にノミネートされ，Best Visual ArtとBest Audioのダブル受賞を果たしている。というわけで，各部門の受賞作は以下のとおりだ。

「Game Developers Choice Awards」受賞作品リスト

Game of the Year
Overwatch （Blizzard Entertainment）

Audience Award
Battlefield 1（EA DICE/Electronic Arts）

Best Mobile/Handheld Game
Pokémon Go （Niantic）

Best Design
Overwatch （Blizzard Entertainment）

Best Narrative
Firewatch （Campo Santo / Panic）

Best Visual Art
Inside （Playdead）

Best VR/AR Game
Job Simulator: The 2050 Archives （Owlchemy Labs）

Best Technology
Uncharted 4: A Thief's End （Naughty Dog / Sony Interactive Entertainment）

Innovation Award
No Man's Sky （Hello Games）

Best Audio
Inside （Playdead）

Best Debut
Campo Santo （Firewatch）

　個人受賞者としては，ゲーム業界において先進的な業績を残した人に与えられる「Pioneer Award」に，「Karateka」や「Prince of Persia」などの開発で知られるJordan Mechner氏が選ばれた。
　また，開発者ではないが，ゲームを広く世間に知らしめ，ゲーム業界がより良くなるように尽力した個人に贈られる「Ambassador Award」は，Mark DeLoura氏が受賞。さまざまなゲーム企業で重要な地位を占め，ホワイトハウスのデジタルメディア担当シニアアドバイザーを務めた経験もあり，さらに教育の促進にも努めたという人物だ。

Pioneer Awardを受賞したJordan Mechner氏（左）。プレゼンターはWill Wright（ウィル・ライト）氏（右）が務めた

　過去，日本人の受賞も少なくない「Lifetime Achievement Award」には，Epic Gamesの設立者であり，「Unreal Engine」の開発者でもあるTim Sweeney氏が選出されているが，これは発表済みなので知っている人も多いはずだ。

Lifetime Achievement AwardのプレゼンターはJohn Carmack（ジョン・カーマック）氏（右）。「DOOM」エンジンの開発者と，「Unreal Engine」の開発者であるTim Sweeney氏（左）がステージ上で握手を交わした

　例によって，Mega64の制作するコミカルなムービーも，受賞者発表の間に流され，会場を盛り上げた。その中の1つには上田文人氏が登場し，「現在，私が取り組んでいる作品を見てください」などと発言するものだから，「すわ，これは会場を飛び出して速報を打たなければ！」と身構えたところ，その新作というのが，なんだかしょうもないアメフトゲーム「Fumito Ueda's Madden 2018」だったので，がっくり肩を落としたというオチがついたのだった。もう驚かせないでほしい。


　「Game Developers Choice Awards」の前には，インディーズゲームを対象にした「Independent Games Festival」が行われ，こちらも各部門の受賞作が発表されている。大賞に相当する「Seumas McNally Grand Prize」には，Blendo Gamesの「Quadrilateral Cowboy」が選ばれた。ノミネート作品については，2月27日に掲載した連載記事「Access Accepted第529回：いよいよ始まるGDCに向けて，Independent Games Festivalのノミネート作品をチェックする」に詳しいので，ぜひ参考にしてほしい。

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